健康診断結果は会社の誰が見られる?再検査は強制?よくある6つの疑問を解説

最終更新日:2021年3月4日


健康診断に関する前回の記事「健康診断を実施しよう<準備編>」で事前のチェックができたら、いよいよ健康診断のスタートです。

今回は、健康診断の実施にあたってよくある「6つの疑問」について解説します!

<特集>はじめてでも、すぐわかる。産業保健の基礎を学ぼう!

STEP1.健康診断の実施  ← 今はここ 
STEP2.ストレスチェックの実施
STEP3.安全衛生委員会の立ち上げ
STEP4.産業医の選任


目次[非表示]

  1. 1.Q1:健康診断を受けている間の賃金は支払われるのか
  2. 2.Q2:健康診断の結果は、会社の誰が見られるのか
  3. 3.Q3:会社に求められる健康診断を受診した後のフォローとは
    1. 3.1.①    健康診断結果を通知すること
    2. 3.2.②    健康診断結果について医師から意見を聴くこと
    3. 3.3.③    就業上の措置を決定する
  4. 4.Q4:従業員に再検査の受診を強制することはできるのか
  5. 5.Q5:実施後の報告はどうすればいいのか
  6. 6.Q6:健康診断結果はいつまで保存するか(保存期間)
  7. 7.まとめ

Q1:健康診断を受けている間の賃金は支払われるのか

一般健康診断は一般的な健康確保を目的として企業に実施義務があるものなので、業務遂行と直接の関連があって行われるものではありません。

そのため、受診のための時間についての賃金は労使間の協議によって定めるべきものになります。ただし、円滑な受診を考えれば受診にかかった時間の賃金を企業が支払うことが望ましいでしょう。

一方、特殊健康診断は業務遂行に直接関連して、労働者の健康確保のために実施しなければならない健康診断なので、特殊健康診断の受診のための時間は労働時間であり、賃金の支払いが必要です。

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Q2:健康診断の結果は、会社の誰が見られるのか


労働安全衛生法では、健康診断の結果、異常所見がある者は、医師の意見を聞き、必要に応じて就業制限を行うなどの措置をとらなければならないことになっています。 

また「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」によると、関係者に健康情報を提供する必要がある場合は、その健康情報の範囲は就業上の措置を実施する上で必要最小限とすることが定められています。

この場合の「関係者とは健康診断の実施の実務に従事している者、人事労務部門の担当者、職場の管理監督者などを指します。

50人以上の会社では「衛生管理者(※)がこの職務につくことが一般的ですが、資格がない人でも健康診断の実務に従事することは可能です。

※「衛生管理者」については関連記事「衛生管理者ってどんな資格?よくある疑問をQAで解説」にてくわしく解説しています。

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Q3:会社に求められる健康診断を受診した後のフォローとは


会社(人事総務)が健康診断の結果を受領したら、次のステップを行いましょう。

①    健康診断結果を通知すること

所見の有無にかかわらず、受診者全員に健康診断の結果を文書で通知する必要があります。


②    健康診断結果について医師から意見を聴くこと

健康診断等の結果、異常の所見があると診断された社員について、就業上の措置について、3か月以内に医師等の意見を聴かなければなりません

意見を聴く医師ですが、産業医がいれば職場の産業医が担当します。

産業医の選任義務のない規模の職場の場合は、地域産業保健センターの相談窓口などを活用しましょう。




医師からの意見によって、次のように対応が分かれます。

  • 通常の勤務でよい場合 → 通常勤務
  • 勤務を休む必要がある場合 → 休業
  • 勤務を制限する必要がある → 就業上の措置の決定等(次で解説します)


③    就業上の措置を決定する

医師等の意見を参考に、必要があるときは就業場所の変更作業の転換労働時間の短縮などの措置を決定します。

また、医師等の意見をふまえ衛生委員会等への報告を行います。


Q4:従業員に再検査の受診を強制することはできるのか

健康診断後の再検査については、労働安全衛生法上は会社の実施義務と社員の受診義務を定めていません。

そのため、再検査の受診については社員の判断に委ねられています

しかし会社には、労働者が安全・健康に働くことができるように配慮する「安全配慮義務」があります。

再検査又は精密検査を行う必要のある社員に対して検査を勧奨するとともに意見を聴く医師等に再検査の結果を提出するよう働きかけることが望ましいです

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Q5:実施後の報告はどうすればいいのか

常時50人以上の労働者を使用している会社は、健康診断の結果を労働基準監督署へ報告する義務があります。

健康診断結果報告書のフォーマットは「人事のお役立ち資料」にリンクをまとめているあので、ぜひご活用ください。


Q6:健康診断結果はいつまで保存するか(保存期間)

健康診断の結果については、健康診断個人票を作成のうえ、5年間保管しておく義務があります。

健康診断個人票のフォーマットは「人事のお役立ち資料」にリンクをまとめているあので、ぜひご活用ください。

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まとめ

ではここで、学んだことをおさらいしてみましょう!

\ここがポイント!/

・健康診断の間の賃金支払いについては、労使間の協議で定めるべきもの

・健康診断の結果が「関係者」に提供される場合は、必要最小限の内容を適切に加工した上で行う

・「関係者」とは、健康診断の実施の実務に従事している者、人事労務部門の担当者、職場の管理監督者など

・健康診断受診後は①結果通知 ②医師からの意見聴取 ③就業上の措置を実施する

・再検査の受診については社員の判断に委ねられている

・50人以上の労働者がいる職場は、健康診断結果を労働基準監督署へ報告する義務がある

・健康診断の結果は5年間保存する


確認しよう!学び度チェック

【問題】会社は一般健康診断を受けている間の賃金を支払う必要がある?

A.支払う義務がある

B.無条件で払わなければならない

C.労使間で協議することが望ましい




正解は…「C」!

健康診断の間の賃金支払いについては、労使間の協議で定めるべきものです。ただし、受診にかかった時間の賃金を企業が支払うことが望ましいでしょう。



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