【まとめ】ストレスチェック義務化の内容&対応するために知っておくべきこと
最終更新日:2021年6月1日
ストレスチェックが実施の義務となるのは、従業員の数が50人以上の職場です。
この記事を見ていただいているということは、あなたの会社もストレスチェック実施義務の対象ですね?
もし、今年がはじめてのストレスチェック実施でも、これを読めば大丈夫!
義務化に対応するためにも、まずはストレスチェックを実施する準備をはじめましょう!
目次[非表示]
- 1.「誰」がストレスチェック義務の対象者なのかを知る
- 1.1.ストレスチェック義務の対象となる人は「常時使用する労働者」
- 1.2.「常時使用される労働者」がストレスチェック実施義務の対象。アルバイトやパートが含まれることも
- 1.3.社長や役員は「使用者」ストレスチェック義務の対象外になる
- 2.ストレスチェックは「1年に1回の義務」その後の実施時期は?
- 3.ストレスチェックの義務を果たさない場合の「罰則」
- 4.ストレスチェックは義務に対応した「調査票」を使って実施する
- 5.ストレスチェック実施者・実施事務従事者に関する義務
- 6.ストレスチェックに関するお役立ちマニュアル・行政リンク集
- 7.記事のまとめ
「誰」がストレスチェック義務の対象者なのかを知る
ストレスチェック義務の対象となる人は「常時使用する労働者」
ストレスチェック実施の義務となる対象者は、厚生労働省が「常時使用する労働者」であると定めています。
では「常時使用する労働者」の定義は、どのようなものでしょうか。
以下で確認しておきましょう。
●ストレスチェックの対象者「常時使用する労働者」とは?
「常時使用する労働者」とは、次の①、②の要件を満たす労働者を指します(一般定期健康診断の対象者と同様です)。
① 期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の契約期間が1年以上である者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者及び1年以上引き続き使用されている者を含む。)であること。
② その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。
出典:厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」
「常時使用される労働者」がストレスチェック実施義務の対象。アルバイトやパートが含まれることも
先述した「常時使用する労働者」の要件①と②のどちらかを満たしていれば、ストレスチェックの義務で対象とされる労働者となる、というわけです。
つまり、ストレスチェックの対象者は正社員に限らないということになります。
通常の労働者の「1週間の所定労働時間が4分の3以上働いている」という部分に該当する場合には、パート・アルバイトがストレスチェック対象者となることもあるのです。
社長や役員は「使用者」ストレスチェック義務の対象外になる
社長や役員はストレスチェック義務の対象となるのでしょうか?
結論から言うと社長や役員は「使用者」であるため、ストレスチェックの対象者には含まれません(※)。
余談ですが、派遣社員はストレスチェックの実施義務が派遣元にあるので、派遣先の会社に実施義務はありません。
ただし、ストレスチェックの実施対象をどこまでにするかは、衛生委員会等での調査審議を踏まえて、会社としてルールをつくることができます。
※詳しくはサンポナビの関連記事「2つの規定がある!?ストレスチェックの対象となる「労働者」」でも解説しています。
ストレスチェックは「1年に1回の義務」その後の実施時期は?
「1年に1回」ストレスチェックが実施義務になっている理由
ストレスチェックの実施は、50人以上の労働者がいる会社に1年に1回の実施が義務づけられています(従業員が50人未満の場合は「努力義務」)。
1年に1回、実施を行う理由には「メンタルヘルス不調の未然防止」である1次予防の推進があります。
ストレスチェックの実施時期はどのように決めるか
ストレスチェックは「毎年何月に実施しなくてはいけない」というものではありませんが、1年以内ごとに1回のサイクルで実施していくものです。
つまり、2回目以降の実施は「その会社が前回実施したときから1年以内」となります。
また、業務の繁閑がストレスチェックの結果に影響を与えることもありますので「いつ実施するのがベストか」ということを衛生委員会で討議することが推奨されています。
ストレスチェックの義務を果たさない場合の「罰則」
ストレスチェックの義務を果たさなければ罰則が課せられることも
ストレスチェックは、実施しないことによる直接の罰則はありません。
しかし、労働基準監督署へストレスチェック実施の報告を怠ると罰金が課せられることになります。
労働安全衛生法では、ストレスチェックの実施報告を怠った場合には「罰金50万円以下」と定めていますので、実施報告は適切に行ってください。
※詳しくはサンポナビの関連記事「ストレスチェックを実施しない場合の罰則はあるの?」でかいせつしています。
ストレスチェックは義務に対応した「調査票」を使って実施する
ストレスチェックは、義務に対応した調査票を使って実施します。
調査票には、次の1~3の項目が含まれている必要があります。
1 職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
2 当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
3 職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目
(労働安全衛生規則 第52条の9 より)
厚生労働省が提供する「職業性 ストレス簡易調査票(57項目)」を用いてストレスチェックを実施する事が推奨されています。また、これを23項目に簡略化した質問票も公開されています。
これらの項目が含まれていれば、衛生委員会等での調査審議を踏まえて、会社の判断で項目を追加することが可能です。
※「たくさんある調査票の種類の違いを知りたい」という方はサンポナビの関連記事「57項目・80項目・外国語版対応、ストレスチェック調査票がDLできるサイトまとめ」がおすすめです。
ストレスチェック実施者・実施事務従事者に関する義務
ストレスチェックを実施するには「実施者」と「実施事務従事者」という役割の人が必要です。
両者について一つずつ見ていきましょう。
主に産業医などが担当する、ストレスチェックの「実施者」
ストレスチェックを企画し、結果の評価をする人のことです。
医師、保健師、看護師、精神保健福祉士などが担当します。
ストレスチェックの結果を集計・分析して、面接指導が必要な社員を選定するのも実施者です。
なお、ストレスチェックの実施者は、外部に委託することも可能ですが、自社企業のことを良く知っている産業医に依頼する方が好ましいとされています。
しかし「産業医がストレスチェックに携わってくれない」「産業医が自社に合っていない」という場合には、産業医の変更も検討してみてはいかがでしょうか。
※自社に合った産業医を選任するための基礎知識は「産業医選任ガイドブック」で解説しています。
ストレスチェック「実施事務従事者」とは?
実施者の補助を行う人のことです。
ストレスチェックの調査票の配布や回収、個人への結果通知、面接指導対象者へ面接の勧奨、ストレスチェック未受検者への声かけ、などを行います。
社内の衛生管理者やメンタルヘルス担当者、産業保健スタッフ、人事担当などが担当することが多いです。外部機関に実施事務従事者を委託することも可能です。
衛生管理者の資格については、「衛生管理者ってどんな資格?よくある疑問をQAで解説」の記事も参照ください。
実施者・実施事務従事者になれない人とは?
社員の解雇、昇進又は 異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある人は、ストレスチェックの実施者・実施事務従事者になることはできません。
人事部に所属していると、実施者・実施事務従事者になれないと誤解されているケースもありますが、人事部所属であっても、社員の解雇、昇進又は 異動に関して権限を持たない場合は、実施者・実施事務従事者になることができます。
詳しくは、サンポナビの関連記事「ストレスチェックの実施者と実施事務従事者は何をするの?」もご参照ください。
ストレスチェックに関するお役立ちマニュアル・行政リンク集
厚生労働省では、ストレスチェックのマニュアルを公開しています。わからないことがあったら、まずはこちらをチェックしてみましょう
●ストレスチェック制度を知るのに役立つ資料
・ストレスチェック制度 導入ガイド - 厚生労働省
ストレスチェック制度とは何か?何のために何をやればいいのか?がわかりやすく書かれている導入マニュアルです。・労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル(改訂版) - 厚生労働省
より詳細な、ストレスチェック、面接指導の実施マニュアルです。労働安全衛生規則の規定、ストレスチェック指針、指針の解説、運用の参考になる具体的な事例を記載しています。・ストレスチェック制度関係 Q&A- 厚生労働省
ストレスチェック制度のよくある疑問がQ&A形式でまとめられています。
記事のまとめ
ストレスチェックの実施に関する義務の内容は確認できましたか?
では最後に、ここで学んだことをおさらいしてみましょう!
\ここがポイント/
・ストレスチェックの対象者は「常時使用する労働者」
・ストレスチェックは1年に1回実施し、労基署への報告を欠かさないこと
・ストレスチェックを実施するには、調査票を用いる
・「実施者」と「実施事務従事者」がストレスチェックを実施する
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