【2021年版】衛生管理者ってどんな資格?よくある10の疑問をQ&Aで解説
(最終更新日:2021年1月5日)
労働者が50人以上いれば、衛生管理者が必要になる
衛生管理者は、労働者の健康障害や労働災害を防止するために、労働安全衛生法で定められた国家資格です。
50人以上の労働者がいる職場では、衛生管理者を選任しなければなりません。
「急に職場で資格を取得するように言われた!」ということになっても慌てないように、事前に内容を把握しておきましょう。
衛生管理者の資格について、よくある10の疑問にお答えします!
目次[非表示]
Q1 衛生管理者は何をするの?
衛生管理者の主な仕事は、作業環境の管理、労働者の健康管理、労働衛生教育の実施、健康保持増進措置などです。
少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。
また、衛生委員会を設置する場合、構成メンバーとして指名されます。
●衛生委員会、構成メンバーの役割とは?
衛生委員会の構成メンバーの役割についてはこちらの記事でくわしく説明しています。
Q2 いつ衛生管理者の選任義務が発生するの?
衛生管理者を選任する義務が発生するのは、事業場単位で見て常時50人以上の労働者がいる事業場になります。
「事業場」とは、同じ場所で相関連する組織的な作業をできる場所の単位のことで、同じ会社であっても、支店、支社、店舗ごとに1事業場となります。
衛生管理者は専属でなければならず、他の事業場との兼任はできません。
ただし、2人以上の衛生管理者を選任する場合で、衛生管理者の中に労働衛生コンサルタントがいるときは、1人は非専属で差支えありません。
下表のように、事業場の規模ごとに選任しなければならない衛生管理者の数は変わります。
事業場の規模(労働者数) |
衛生管理者の数 |
50人以上~200人以下 |
1人 |
201人以上~500人以下 |
2人 |
501人以上~1,000人以下 |
3人 |
1,001人以上~2,000人以下 |
4人 |
2,001人以上~3,000人以下 |
5人 |
3001人以上 |
6人 |
事業場の労働者数が50名を超えるタイミングでは、衛生管理者の選任の他にも、衛生委員会の設置、産業医の選任など、複数の義務が発生します。
そのため、何をすればいいかわからずに困っている人事・労務担当者様は非常に多いのです。
法律で義務付けられているこれらの業務を実施していく上で鍵になるのが、企業の健康管理業務の柱として助言ができる「頼れる産業医」を選任することです。
●頼れる産業医って?
法令を遵守した保健活動の実現には、協力的な産業医の存在が不可欠です。
頼れる選任するために必要な基礎知識は、「産業医選任ガイドブック」で解説しています。
▶「はじめての産業医選任まるわかりガイドブック」のダウンロードはこちらから
Q3 衛生管理者を置かなかった場合の罰則は?
選任義務があるのに衛生管理者を置かなかった場合、50万円以下の罰金に処するという罰則規定が、労働安全衛生法で第120条に記載されています。
選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、遅滞なく所轄の労働基準監督署へ報告する必要があります。
Q4 誰が衛生管理者の資格を取得できるの?
代表的な受験資格は以下になります。次のうちいずれか一つに該当すれば、受験できます。
- 大学または高等専門学校(短大を含む)を卒業し、労働衛生の実務経験が1年以上ある。
- 高等学校を卒業し、労働衛生の実務経験が3年以上ある。
- 労働衛生の実務経験が10年以上ある。
労働衛生の実務の確認として、事業者証明書が必要です。
これ以外の受験資格の詳細は、公益財団法人 安全衛生技術試験協会 の試験情報ページをご覧ください。
●誰が衛生管理者に適任?
衛生委員会において、どのような人が衛生管理者に適任かについてはサンポナビの関連記事でも説明しています。
Q5 衛生管理者の資格取得までの流れは?
衛生管理者の免許を取得するには、公益財団法人安全衛生技術試験協会の行う国家試験に合格する必要があります。試験は、全国7ブロックの安全衛生技術センターで、毎月1~3回程度行なわれます。
詳しい試験日・受験場所については、公益財団法人 安全衛生技術試験協会 の試験情報ページをご覧ください。
試験2週間前までに受験申し込みをし、衛生管理者国家試験を受験し、試験に合格すると資格を取得できます。
Q6 第一種衛生管理者と第二種衛生管理者はどう違うの?
第一種免許は全業種で対応可能ですが、第二種免許では、対応できない業種があります。
第二種は、有害業務と関連の少ない情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業など一定の業種においてのみ、衛生管理者となることができます。
第二種衛生管理者免許では対応できない業種は、下記の通りです。
農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業
Q7 衛生管理者の試験内容とは?(出題内容、試験時間、配点)
試験科目は第一種衛生管理者と第二種衛生管理者ともに、以下の3つの範囲から出題されます。
(1)関係法令(労働基準法、労働安全衛生法)
(2)労働衛生
(3)労働生理
各範囲の出題数・配点は以下のように、少し異なります。
<第一種衛生管理者>
(1)関係法令 17問(配点150点)
(2)労働衛生 17問(配点150点)
(3)労働生理 10問(配点100点)
※合計44問:試験時間3時間
<第二種衛生管理者>
(1)労働衛生 10問(配点100点)
(2)関係法令 10問(配点100点)
(3)労働生理 10問(配点100点)
※合計30問:試験時間3時間
Q8 衛生管理者の試験の合格基準と合格率は?
合格基準は、範囲ごとの得点が40%以上で、かつ、その合計が60%以上であることです。
2019年度の合格率は「第一種衛生管理者」が46.8%、「第二種衛生管理者」が55.2%と発表されています。
Q9 合格後の手続きは?
衛生管理者試験は第一種と第二種ともに、合格後に自分で免許の申請をしなければなりません。
都道府県労働局及び各労働基準監督署にある免許申請書に必要事項等を記入し、免許試験合格通知書と必要書類を添付のうえ、東京労働局長に免許申請をすることで、はじめて免許証が交付されます。
Q10 衛生管理者の資格に、更新の試験はあるの?
衛生管理者の資格に有効期限はないため、一度取得すると更新手続きは不要です。
以上、衛生管理者の資格について、よくある10の疑問についてお答えしました。
衛生管理者を目指す皆さんの合格を応援しています!
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●衛生管理者になったら「産業医」との業務がはじまる
衛生管理者は、産業医と連携して「保健活動」をしていくことが必要になります。
産業医の選任は、もうお済みでしょうか?
「これから産業医を選任するつもり」
「産業医の交代を考えているけれど、はじめてなのでよくわからない」
という方に、エムステージでは無料で資料を提供していますので、確認してみてはいかがでしょうか。
(株)エムステージのサイトにリンクします。
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