〈まとめ〉従業員が50人になったら発生する5つの義務とその対応
最終更新日:2023年2月14日
従業員が50人を超えると、産業医の選任や衛生委員会の設置等、企業には様々な義務をクリアすることが求められています。
本記事では、従業員が50人になった時に対応が必要となる主な5つの義務と、その対応策をまとめています。
「これから従業員が50人になる」あるいは「もうすぐ50人になりそう」という企業担当者の方は、ぜひ〈まとめ〉の部分だけでもお読みななって、ご参考にしてください。
あわせて、従業員数のカウント方法や「50人未満はどうなの?」「10名以上の義務は?」といった疑問についてもご紹介していきます。
目次[非表示]
〈まとめ〉従業員が50人になったら義務になる5つのこと
従業員が50人以上になると生じる主な法的義務
事業場の従業員が50人以上になると、会社としてやらなければならないことが途端に増えます。例えば、ストレスチェックの実施をはじめ、産業医の選任等が挙げられます。
そして、その「やらなければならないこと」は法律で定められた義務であるため、企業の担当者は対応漏れがないようにする必要があります。
従業員が50人以上の企業(事業場)の主な義務内容は以下の5つです。ここでは概要のみを紹介しており、詳細はそれぞれに関連記事がありますので、一つずつ確認していきましょう。
▼従業員50人以上の事業場に課された5つの義務
- ストレスチェックの実施
- 産業医の選任および届出
- 衛生委員会の設置
- 衛生管理者の選任(資格取得)
- 定期健康診断結果報告書の提出
50人以上の義務①:ストレスチェックの実施
ストレスチェック:従業員50人のカウント方法
正社員だけでなくパートタイマー、アルバイト、契約従業員、派遣従業員も労働者数にカウントします。雇用形態や契約期間の定めの有無は問いません。
正社員だけでなくパートタイマー、アルバイト、契約従業員、派遣従業員も労働者数にカウントします。雇用形態や契約期間の定めの有無は問いません
2015年12月からは、従業員が50人以上の事業場にて「ストレスチェックの実施」が義務化されています。
企業(事業場)では、ストレスチェックを1年ごとに1回実施し、労働基準監督署まで報告書を提出します。
ストレスチェックについては、以下の関連記事で詳しく解説しています。
50人以上の義務②:産業医の選任および届出
産業医の選任 労働者50人のカウント方法
正社員だけでなくパートタイマー、アルバイト、契約従業員、派遣従業員も労働者数にカウントします。雇用形態や契約期間の定めの有無は問いません。
労働安全衛生法により、50人以上の労働者がいる事業場では「産業医を選任する」ことが義務になります。
産業医は、従業員が50人になった時点から14日以内に選任し、選任報告書を速やかに労働基準監督署へ提出しなければなりません。
ちなみに、業種・業態等によって、選任すべき産業医の人数および業務形態(専属あるいは嘱託)が異なりますので、詳しくは以下の関連記事を参考にしてみてください。
50人以上の義務③:衛生委員会の設置
労働安全衛生法により、労働者が50人以上の場合には業種を問わず、衛生委員会の設置をする必要があります。
衛生委員会とは、働く人の健康を守るためや、労働災害を防止することを目的とした委員会です。職場の健康保持増進および健康教育を目的として設置することが法律で定められています。
委員会の形式である理由の一つとして、健康保持に関する施策が事業者からの一方的な指示によるものではなく、労働者の参加や協力も重要視されているからです。
一方、安全委員会は業種により設置基準の人数が50人、または100人と異なります。詳しくは以下の関連記事にて解説しています。
50人以上の義務④:衛生管理者の選任(資格取得)
衛生委員会の設置・衛生管理者の選任 労働者50人のカウント方法
正社員だけでなくパートタイマー、アルバイト、契約従業員、派遣従業員も労働者数にカウントします。雇用形態や契約期間の定めの有無は問いません。
衛生管理者とは、会社で働く人の健康障害や労働災害防止のために活動を行う存在であり、労働安全衛生法で定められた国家資格。
従業員が50人になったら14日以内に衛生管理者をに選任し、選任報告書を労働基準監督署に提出します。よって、社内に衛生管理者の有資格者がいない場合は、従業員のどなたかがこの資格を取得する必要があります。
また、前述した衛生委員会を設置する際、構成メンバーとして指名される衛生管理者も、このタイミングで選任が義務になります。
衛生管理者の資格については以下の関連記事にて詳しく紹介しています。
50人以上の義務⑤:定期健康診断結果報告書の提出
定期健康診断結果報告書の提出 労働者50人のカウント方法
1年以上雇用しているか、する予定で、週の労働時間が正社員の4分の3以上の労働者をカウントします。必ずしも正社員に限られず、条件を満たしたパートやアルバイトでも該当する場合があります
健康診断そのものは労働者が1人でも実施しますが、健康診断の結果を労働基準監督署へ報告する義務が生じるのは、事業場の労働者が50人になった時点からです。
また、健康診断の結果については、保管方法等も法律で定められていますので、事前に確認しておくことが重要です。
健康診断についての詳細は以下の記事で詳しく解説しています。
以上が、事業場の従業員が50人以上になったら新たに義務になること5つでした。
「これから従業員が50人になる」という企業担当者の方は、ここまでの項目についてそれぞれ確認しておきましょう。
ちなみに以降では、50人に達する前に(少し中途半端な数字ですが)45.5人を越えると義務になること、そしてある程度の人数を超えたら努力義務になることがあります。0.5人のカウント方法もあわせて解説します。
〈補足〉従業員50名未満の義務・努力義務の内容
従業員50人未満の企業の主な努力義務
義務ではありませんが、50人未満の場合でも実施することが望ましいとされている主な内容(努力義務)は、以下になります。
一つずつ確認しておきましょう。
- ①ストレスチェックの実施
- ②医師等による健康管理等
- ③障害者の雇用義務
①ストレスチェックの実施
50人未満の会社では、ストレスチェック制度は当分の間、努力義務とされていますが、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止のため、できるだけ実施することが望ましいとされています。
②医師等による健康管理等
産業医の選任は義務ではありませんが、医師等による健康管理等については努力義務とされています。
③従業員45.5人以上で障害者の1人の雇用義務
障害者雇用 労働者45.5人のカウント方法
週の労働時間20時間以上30時間未満の短時間労働者の場合、1人を0.5人としてカウントします。また、派遣従業員については、派遣先が雇用主ではないためカウントに含めません。
障害者雇用促進法により、45.5人を越えると障害者1名の雇用が義務になります。(法定雇用率2.2%)
また、労働者が100人を越えた企業では、法定雇用率を未達成の場合に障害者雇用納付金が徴収されます。
詳しくは厚生労働省「障害者の雇用」のページで確認できます。
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以上、従業員の人数別に人事・労務面で義務になっていることをまとめました。
あなたの会社の規模に応じて、やるべきことをチェックしてみてください。まだできていない場合は、さっそく取り組みをスタートしましょう。
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