ストレッサーとは?種類や具体例、対処法について解説!
職場環境の改善に努めるためには、ストレッサーの性質を把握して、適切な対策を講じることが大切です。
とくに昨今は、メンタルヘルス不調が増加傾向にあることから、心理的・社会的ストレッサーへの対策が欠かせません。
本記事では、ストレッサーの種類や職場のストレッサーの具体例、対処法について解説します。
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ストレッサーとは
ストレッサーとは、ストレスの原因となる外部からの刺激を指し、ストレス要因とも呼びます。従業員がストレッサーから大きな影響を受けたり、長時間に渡ってストレッサーのある環境下で働いたりすると、精神や身体に影響が出て健康障害につながる可能性があります。
企業が従業員のヘルスケアに取り組むためには、いかにしてストレッサーへの対策を行っていくのかがポイントになるでしょう。
対策を適切に行うためにも、4種類あるストレッサーの性質や特徴について解説します。
ストレッサーの種類
心身に影響を与えるストレッサーは、次の4種類に分けられます。
- 物理的ストレッサー
- 化学的ストレッサー
- 生物的ストレッサー
- 心理的・社会的ストレッサー
それぞれについて解説します。
物理的ストレッサー
物理的ストレッサーとは、物理的な環境刺激によるストレス要因を指しさします。たとえば、熱すぎたり、寒すぎたりする室温や暗すぎる照明、騒音などが物理的ストレッサーとして考えられます。
長時間パソコンで作業する従業員の場合は、業務内容が物理的ストレッサーとなりVDT症候群を引き起こすこともあります。VDT症候群については、次の記事を参考にしてください。
化学的ストレッサー
化学的ストレッサーとは、化学物質から受けるストレス要因を指しさします。たとえばタバコの煙、強い臭いを発する食事などのオフィスで触れる可能性のある物質から、石綿や鉛、有機溶剤などの特別な業務に就く従業員が触れる可能性のある物質までさまざまです。
化学物質を扱う従業員には、特殊健康診断が実施され化学的ストレッサーによる健康被害を被っていないか定期的に確認する必要があります。特殊健康診断については、次の記事で詳しく解説しています。
生物的ストレッサー
生物的ストレッサーとは、生体の免疫反応の要因となる刺激です。たとえば、花粉やウイィルス、ダストなどが考えられます。
とくに花粉は、日本人に大きな影響を与えるストレッサーのひとつです。環境省の報告によると、2019年時点で3人に1人以上が花粉症を患っており、20年前の倍以上に増加しています。
職場環境の改善の一環として、花粉をオフィスに持ち込ませないルールを定めたり、エアコンのフィルターをこまめに掃除したりして花粉症対策を行う企業も見られるようになりました。
心理的・社会的ストレッサー
心理的・社会的ストレッサーとは、社会生活の営みや社会的立場、人間関係を通して受けるストレス要因です。日常的には、精神的ストレスもしくは、単にストレスと呼ばれることもあります。
職場では、仕事の量や質、対人関係などが心理的・社会的ストレッサーとなり、多くの企業が従業員のメンタルヘルス不調に対する課題を抱えています。
実際に精神障害に関連する労災請求件数は平成12年より一貫して上昇傾向です。
産業医やその他保健スタッフと人事・労務管理の担当者が連携して、従業員のメンタルヘルスケアに取り組むことが求められています。
次項では、職場における心理的・社会的ストレッサーについて具体例を紹介します。
職場におけるストレッサーの具体例
職場におけるストレッサーの具体例として、次の4つが考えられます。
- 組織の役割を果たすことで生じるストレ ッサ ー
- 人間関係によるストレッサー
- 仕事を遂行する過程で発生するストレッサー
- キャリア形成に関するストレッサー
職場のさまざまな場面や立場によって、それぞれ性質の異なるストレッサーに悩まされる可能性があります。
各ストレッサーの特徴について解説するので、従業員のストレス軽減を考える際には、参考にしてください。
組織の役割を果たすことで生じるストレ ッサ ー
従業員が組織の役割を果たすうえで、仕事内容が曖昧だったり、葛藤が生まれたりすると、それがストレッサーとなる可能性があります。
役割を果たす上で遂行すべき仕事内容が曖昧だと、多くの仕事を引き受けてしまいがちです。仕事量が負担になってストレスを感じるようになります。
また葛藤とは、役割を果たそうとする義務感と、仕事に対する嫌悪感により、理性と感情が一致していない状態です。「やりたくないのにやるしかない...」という状態が続くことで、ストレスを抱えます。
人間関係によるストレッサー
職場における人間関係によるストレッサーには、同僚や上司、顧客との関係などが考えられます。近年は、パワーハラスメントが人間関係の問題としてクローズアップされるようになりました。
過去3年間のハラスメントの相談件数を見ても、パワーハラスメント(パワハラ)は、他のハラスメントと比べて最も高い割合を示しています。
引用:令和2年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)|厚生労働省
パワーハラスメントの事例は多岐にわたり、殴る、蹴るなどの身体的な攻撃や、人格を侮辱したり、人前で叱責したりする精神的な攻撃などさまざまです。
パワハラ対策についての詳細は次の記事を参考にしてください。
仕事を遂行する過程で発生するストレッサー
仕事を遂行する過程で、業務への動機付けが低い状態が続くと、仕事自体がストレッサーになる可能性があります。
動機付けとは、目的や目標、意欲などに基づいて行動を起こす心理状態です。モチベーションとも呼ばれ、仕事の生産性だけではなく、従業員のストレスに影響を与える場合があります。
たとえば与えられた業務に対する動機付けが低いと、「仕事をやらされている」という感覚が強くなり、仕事に対してストレスを感じるようになります。(参照:これからはじめる職場環境改善~スタートのための手引~|厚生労働省)
キャリア形成に関するストレッサー
現在は企業が終身雇用を維持できなくなったことで雇用が不安定になり、自身のキャリアに不安を感じる従業員も多いと考えられます。
厚生労働省の調査によると、とくに派遣労働者は雇用の安定性について強いストレスを感じていることがわかりました。
引用:令和3年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況|厚生労働省
組織のストレッサーを把握する際のポイント
組織のストレッサーを早期に把握するためには、ストレスチェックを実施して集団分析に役立てることが大切です。
ストレスチェックの実施
ストレスチェックとは、職場で受けるストレスに関するアンケートに対して従業員に回答してもらい、その結果を集計・分析して職場のストレッサーやストレス反応を調べる取り組みです。
労働安全衛生法が改正されて以降、従業員が50人以上の事業所では1年に1回実施することが義務付けられました。
ストレスチェックを実施するためには、まずは実施者を決める必要があります。詳しくは次の記事をご覧ください。
集団分析の実施
ストレスチェックを実施した後は、個人のストレスを把握するとともに、集団分析に活かすことが大切です。事業所に所属する従業員全体のストレッサーの傾向を把握することで、ストレッサーを排除してメンタルヘルス不調を予防できます。
集団分析を行う際は、ストレスチェックの結果を部署ごとに整理して、まずは高ストレスの従業員が多い部署を明らかにしましょう。さらに高ストレスの状況下にある部署で働く従業員の仕事の量や質、および健康リスクを他の部署と比較します。
分析結果をもとに産業医や保健スタッフから専門的な助言を受けると、より高度な職場環境の改善が期待できます。
ストレスチェックの集団分析に関する詳細は、次の記事をご覧ください。
企業で取り組むストレッサーへの対処法
企業でストレッサーに対処する方法としては、メンタルヘルス対策やストレスマネジメントが考えられます。それぞれについて、詳しく解説します。
メンタルヘルス対策
メンタルヘルス対策とは、すべての従業員のメンタルヘルスを改善する取り組みで、次の3つの段階からなります。
- 一次予防(健康の保持増進・健康障害の防止)
- 二次予防(健康障害の早期発見、早期対処)
- 三次予防(健康障害の再発・再燃の防止、職場復帰支援)
メンタルヘルス対策を効果的に進めるためのケアとして、「セルフケア」や「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」、「事業場外資源によるケア」の4つが推奨されています。4つのケアについて詳しくは、次の記事を参考にしてください。
ストレスマネジメント
ストレスマネジメントとは、ストレスとうまく付き合いながら、ストレッサーにうまく対処することです。
ストレスへの対処法(コーピング)を学んだり、ストレスに対する考え方を変えたりすると、ストレスマンジメントを実践できるようになります。
ストレスマネジメントの実践方法についての詳細は、次の記事をご覧ください。
ストレッサーに対処して従業員のメンタルヘルス不調を予防しよう
ストレッサーには、次の4種類があります。
物理的ストレッサー
化学的ストレッサー
生物的ストレッサー
心理的・社会的ストレッサー
以上のうち、心理的・社会的ストレッサーへの対策を講じると、メンタルヘルス不調の予防になります。
企業全体の心理的・社会的ストレッサーを把握して、適切なメンタルヘルス対策やストレスマネジメントを実践しましょう。
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