「ストレスマネジメント」とは?企業・個人に与える効果と実践方法を紹介
私たちは、仕事やプライベートの中でさまざまなストレスを感じながら、日々生活をしています。
また、昨今のコロナ禍によって働き方には変化が起こり、これまで以上にストレスとの向き合い方が重要視されています。
本記事では、ストレスが発生する原因や種類、ストレスマネジメント(対処法)について、基本から解説します。
目次[非表示]
- 1.「ストレッサー」と「ストレス反応」を知る
- 2.ストレスマネジメントとは?企業・個人に与える効果
- 2.1.ストレスマネジメントとは
- 2.2.ストレスマネジメントが企業に与える効果
- 2.2.1.ストレスマネジメントの効果①:休職・離職を防ぐ
- 2.2.2.ストレスマネジメントの効果②:職場環境の改善
- 3.「コーピング」の種類と実践方法
- 3.1.コーピングとは?主な3つの種類
- 3.1.1.1.問題焦点型コーピング
- 3.1.2.2.情動焦点型コーピング
- 3.1.3.3.ストレス解消型コーピング
- 3.1.4.コラム:企業におけるストレス対策は「4つのケア」を軸に行う
「ストレッサー」と「ストレス反応」を知る
代表的な3つの「ストレッサー(ストレス要因)」
「ストレス」とは、外部から刺激を受けた時、身心に発生する緊張状態のこと。
ストレスの要因となる外的刺激を「ストレッサー」といいます。
このストレッサーには心理的なものをはじめ、主に3つの種類があります。
ストレッサーの種類
①物理的ストレッサー:気温や騒音、人ごみ等
②化学的ストレッサー:酸素欠乏、公害物質等
③心理・社会的ストレッサー:人間関係、仕事や家庭の問題等
一般的に「ストレス」と呼ばれているものは、③の「心理・社会的ストレッサー」に該当しますが、職業生活の中では上述したように、その他のものもストレスの要因になります。
身心に起こる主な3つの「ストレス反応」
適度な緊張感は業務に良い影響を与えるといわれていますが、過度なストレスは心身・行動に変化をもたらします。
それが「ストレス反応」というもので、主に以下の3つに大別されます。
ストレス反応の種類
①心理的反応:活気の低下やイライラ、不安、抑うつ(気分の落ち込み、興味・関心の低下)など
②身体的反応:肩こり、腰痛、眼精疲労、動悸、胃痛など
③行動的反応:遅刻や欠勤、飲酒・喫煙量の増加、仕事でのミスや事故など
これらのストレス反応は、前述したストレッサーにより引き起こされるものであり、長引くことはうつ病などの疾病につながる恐れがあります。
よって、症状が重いような場合にはなるべく早く精神科医などの専門医に相談する必要があります。
また、日常におけるストレスとの付き合い方を学んでおくことも大切です。
その手法が「ストレスマネジメント」や「コーピング」といったもの。以下で詳しく見ていきましょう。
ストレスマネジメントとは?企業・個人に与える効果
ストレスマネジメントとは
厚生労働省のホームページを見ると、ストレスマネジメントとは「ストレスとの上手な付き合い方を考え、適切な対処法をしていくこと。」と説明されています。
ストレスを知り・ストレスと付き合い・ストレスに対処する……これらについて考え、あるいは指導していくことがストレスマネジメントです。
また、ストレスマネジメントを実践することは、働く人だけでなく企業にも好影響を与えるといわれています。
ストレスマネジメントが企業に与える効果
ストレスマネジメントが適切に行われることで、企業にはさまざまな効果あると考えられています。
ストレスマネジメントの効果①:休職・離職を防ぐ
ストレス症状が悪化することで「うつ」や「自律神経失調症」などにつながる恐れがあります。
症状の深刻化による休職あるいは離職の発生は、従業員本人のみならず、企業へのダメージも大きいはずです。
ストレスマネジメントには、こうした損失を防ぐ効果があります。
なお、働く人が個人で取り組む「セルフケア」については、以下の記事で詳しく解説していますので、確認しておきましょう。
ストレスマネジメントの効果②:職場環境の改善
ストレスは職場でまん延するといわれています。
また、ストレスが過剰な職場では、パワーハラスメント等の発生している可能性が高いことも考えられます。
一方で、適切なストレスマネジメントができている従業員が多ければ、これらの事態を防ぐことができ、職場の環境改善につながります。
その上、社員のモチベーションがアップすることは、生産性の向上にも期待ができます。
具体的には、管理職によるラインケアやアンガーマネジメントが重要となりますので、以下の関連記事もチェックしておきましょう。
「コーピング」の種類と実践方法
コーピングとは?主な3つの種類
コーピングとは、ストレッサーによる問題を解決しようとする努力、対処方略(行動特性)のことです。
ストレスコーピングには、大きく分けて以下の3つがあります。
1.問題焦点型コーピング
問題焦点型コーピングとは、ストレッサーに働きかけ、問題そのものを変化させ解決を図ろうとすること。
ストレス要因の見極めを行い、それを取り除くための具体的な対策を考えるコーピングです。
たとえば「残業が多くてストレスになっている」というようなケースであれば、業務量の調整や人員の配置などを企業が行うことによって、ストレスの要因を解決することができます。
2.情動焦点型コーピング
情動焦点型コーピングは、ストレスを感じている本人の意識を変化させる対処法です。
たとえば「日常的な指導がストレスになっている」というようなケースであれば、その事実をマイナスに捉えず「自分には期待がされているんだ」と意識を変化させことです。
意識を変化させることには時間も要しますが、自身の成長にもつながるコーピングともいえます。
3.ストレス解消型コーピング
ストレス解消型コーピングは、その名の通りストレスを発散させる対処法です。
たとえば、十分な休息・睡眠をとることをはじめ、運動等によってストレスを緩和・解消します。その他にも、趣味やショッピングに時間を使うことも含まれます。
ただし「ストレスの根本原因が解決したわけではない」という点に注意が必要となります。
コラム:企業におけるストレス対策は「4つのケア」を軸に行う
企業におけるストレス対策は「4つのケア」が基本となります。
「4つのケア」には、個人で取り組む「セルフケア」、管理職が行う「ラインケア」等、様々な方法で不調を防ぐ仕組みが示されています。
●メンタルヘルス対策における4つのケア
・セルフケア
・ラインにケア
・事業場内産業保健スタッフ等によるケア
・事業場外資源によるケア
「4つのケア」については以下の記事で解説しています。
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企業においてメンタルヘルス不調対策に取り組む際には、上述した「4つのケア」をはじめ、ストレスチェックを有効活用することも欠かせません。
メンタルヘルス不調者を出さないためにも、ストレスマネジメントの機能を有効活用してみてください。