【労務担当向け】うつ病から復職するまでの流れとは?注意点についても解説!
うつ病を発症した従業員が休職した場合、まずは回復を優先させ療養に専念してもらう必要があります。連絡回数や電話での会話などに気を付け、休職者に精神的負担をかけないように配慮しましょう。
また復職が視野に入ってきた場合は、うつ病が再発したり、再燃したりしないように、適切な流れを守って復帰までのプロセスを進めることが大切です。
この記事では、休職中の従業員に連絡をする際のポイントやうつ病から復帰するまでの流れについて解説します。うつ病の従業員が復職をするときの課題と注意点についても説明するので、復職のサポートに役立ててください。
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うつ病で休職中の従業員に連絡する際のポイント
うつ病で休職中の従業員に連絡する際のポイントは次のとおりです。
- 業務については話さない
- 月1~2回の電話がおすすめ
- 病状に合わせて柔軟に対応する
- 対応窓口を1つに絞る
以上の注意点を守って休職者に連絡しましょう。
業務については話さない
休職期間中の従業員は、療養に専念して症状を回復させることが大切です。そのためにも、連絡の際には業務に関連した内容を話さないようにしましょう。
業務に関する心配事や、自分の業務をカバーする同僚への気苦労を、休職者に抱かせないようにする点がポイントです。
従業員から業務に関することを聞かれた場合も、安心して療養に専念するように伝え、休職者に精神的負担がかからないように配慮しましょう。
月1~2回の電話がおすすめ
休職者に電話をかける頻度は、月1~2回程度が適切です。家族のサポートを受けられる状況にあるのであれば月1回程度、一人暮らしだったり、家族が不在な時間が多かったりして孤独を感じやすい場合は月2回程度の電話をかけるとよいでしょう。
電話の回数については産業医を交えながら、休職者本人に相談して決めると、休職者に負担をかけることなく連絡を取り合えます。
病状に合わせて柔軟に対応する
休職者との連絡手段や回数は、病状に合わせて柔軟に変えていくこともおすすめです。病状が思わしくない場合は、メールで連絡を取るようにすると休職者の負担を軽減できます。もしくは、家族が本人に代わって連絡をする手段も考えられます。
連絡手段については、事前に家族も含めて打合せをして決めておくとよいでしょう。
社内報を送り、回復をじっくりと待つ姿勢を見せ、焦る必要がない旨を伝えると、休職者は安心して職場復帰を目指せます。
ただし職場復帰への意欲が焦りにつながると、休職者の精神的な負担になる可能性もあるため注意しましょう。産業医の意見を取り入れつつ、休職者にストレスのかからない連絡を心がけることが大切です。
対応窓口を1つに絞る
休職中の対応窓口は1つに絞り、休職者が混乱しないように配慮しましょう。窓口の担当者も、上司や同僚を避け、業務の話題を持ち出さないようにすることが大切です。
上司や同僚が独断で復職後の話をすることで、休職者が療養に専念できなくなったり、復職の時期や復職後の業務内容についてトラブルを抱えたりするリスクもあります。休職者との連絡は、人事部や労務管理の担当者が受け持つとよいでしょう。
うつ病の従業員が復職するまでの流れ
うつ病の従業員が復職するまでの流れは次のとおりです。
- 復職診断書の提出
- 休職者に関する情報の収集
- 産業医面談
- 復職判断の条件
- 職場復帰支援プランの作成
- 職場復帰の決定
- 職場復帰後のフォロー
各手順について詳しく解説します。
次の記事では、理想の復職プロセスについて産業医にインタビューした内容を伝えているので、どうぞご覧ください。
復職診断書の提出
復職する際に診断書の提出が必要かどうかは、会社の就業規則によります。復職診断書の提出が必要な場合は、主治医の診察を受けて診断書を書いてもらうよう休職者に伝えましょう。
ただし主治医が発行する復職診断書では、日常生活を送るのに差し支えないくらいまで病状が回復したら、復職が可能と判断される場合もあります。そのため職場の業務を遂行できる状態まで病状が回復したかどうかを判断するためには、情報が不十分なこともあります。
復職診断書以外にも、休職者に関する情報を集めて、事業者が適切な判断を下すことが大切です。
休職者に関する情報の収集
職場復帰後の再発を防ぐためにも、産業保健スタッフが中心となって、休職者の復職の可否を判断するために必要な情報を収集する必要があります。
主治医が発行した診断書と収集した情報をもとに、復職を希望する従業員の状態を分析して、事業者が復職の可否を判断します。さらに復職面談を実施して、従業員から直接話を聞いて情報を得ることも大切です。
復職面談(産業医面談)
復職面談は、復職を希望する従業員が本当に働けるのかどうかを判断するために行われます。産業医を交えて面談をできる場合は、専門的な見地から復職を希望する従業員の病状や状態を確認して、復職の可否を判断できます。
また産業医は復職面談で得た情報をもとに、主治医が発行した診断書に対する意見書の作成が可能です。診断書と意見書をもとに復職の可否を判断することで、復職後の再発や再燃、再休職を防げます。
復職判断の条件
適切に復職の可否を判断して、職場復帰後の症状の再発や再燃を予防することが大切です。復職判断の条件について、具体例を挙げると次のとおりです。
復職判断の条件例
- 復職する意思がある
- 整ったリズムで生活できている
- 職場復帰への意欲が見られる
- 通勤の時間帯に問題なく通勤できる
- 定時に勤務できる
- 短くても決められた時間働ける
- 決められた勤務日に仕事ができる
- 主治医から復職可とする診断書が出ている
- 家族の支援を受けられる
- 職場の受け入れ態勢が万全である
- 復職支援プランが作成されている
以上を参考に自社の状況に合わせた条件を設定して、適切な復職の判断を下しましょう。
職場復帰支援プランの作成
職場復帰支援プランを作成すると、問題が生じた場合に、的確な対応をとれるようになります。復職した従業員に合わせた柔軟な対応をするためにも、以下の点に留意して職場復帰支援プランを作成しましょう。
- 従業員のプライバシーに配慮しながら、プランを練る
- 産業保健スタッフの意見を取り入れつつ、復職した従業員と管理監督者が連携を図れるようにする
- 従業員の同意を得て、主治医から情報を集めたり、意見を聞いたりする
- 職場復帰を果たした従業員の働く様子が休職前の状態に戻るまで、回復の程度に応じたプランを設定して復職をサポ―トする
- 試し出勤制度を実施する場合は、事業場で事前にルールを決めておく
職場復帰支援プランの作成例
引用:両立支援プラン/職場復帰支援プランの作成例|厚生労働省
職場復帰支援プランには「治療の予定」と「復帰までのプラン」の情報を並べて記載すると、復職者の治療に配慮した計画を立てやすくなります。また復職者の治療状況や職場での様子に応じて、定期的にプランを見直すことが大切です。
職場復帰の決定
次の手順に従い、事業者が職場復帰を決定します。
- 労働者の状態の最終確認:疾患の再燃・再発の有無等について最終的な確認を行います。
- 就業上の配慮等に関する意見書の作成:産業医等は「職場復帰に関する意見書」等を作成します。
- 事業者による最終的な職場復帰の決定:事業者は最終的な職場復帰の決定を行い、就業上の配慮の内容についても併せて労働者に対して通知します
職場復帰の決定後は、職場復帰に向けた事業場の対応や就業上の配慮などを、復職する従業員を通して主治医に伝えましょう。
職場復帰後のフォロー
管理監督者は職場復帰を果たした従業員を観察しながら、適切にフォローすることが大切です。さらに産業保険スタッフも復職した従業員をフォローしながら、定期的に職場復帰プランの評価や見直しをしましょう。
うつ病の従業員が復職をするときの課題と注意点
うつ病から復職する従業員が抱える課題のひとつに、症状の再発や再燃が挙げられます。実際に、うつ病をはじめとしたメンタルヘルスで休職した場合、復職後に再発を繰り返していることがわかりました。
引用:~「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」調査結果~ |独立行政法人 労働政策研究・研修機構
半数以上の企業で、メンタルヘルス不調から復職した従業員の再発が見られます。その他の身体疾患の再発確率と比べても、2倍以上の確率です。そのためうつ病からの復職を目指す従業員に対しては、再発しないように入念にサポートする必要があります。
産業医や保健スタッフ、人事・労務の担当者、管理監督者が連携したうえで、職場復帰の可否を判断し、職場復帰支援プランを作成することが大切です。
次の記事では、メンタルヘルス不調者の再休職を防ぐための復職支援について詳しく解説しているので、どうぞご覧ください。
うつ病からの復職を適切にサポートしよう
うつ病をはじめとしたメンタルヘルス不調から復職した後は、症状の再発や再燃を防ぐためにも、適切な流れのもとで復職をサポートすることが大切です。
また休職から復職にスムーズに移行させるためにも、休職中の従業員に連絡する際は、精神的な負担がかからないように配慮しましょう。
うつ病は再発を繰り返しやすい精神疾患です。うつ病の再発や再燃による休職の繰り返しを防ぐためにも、メンタルヘルス不調者には適切な対応を心がけてみてください。
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