【健康経営×産業医】最前線で活躍する講師陣が語った「新時代の産業保健」とは?
2019年11月27日、産業保健サービスを提供している株式会社エムステージは「令和時代の産業保健と健康経営~社会に求められる産業医と企業リスク~」をテーマに、都内でセミナーを開催しました。
講師は浜口伝博氏(産業医科大学 産業衛生教授)、小島玲子氏(株式会社丸井グループ執行役員)、小島健一氏(鳥飼総合法律事務所パートナー弁護士)の3名。
企業の人事労務担当の方をはじめ、多くの方が参加されました。
セミナーの様子をレポートします。(取材:サンポナビ編集部)
〈講師:浜口伝博氏〉新時代に需要が高まる「できる産業医」とは?
〈講師プロフィール〉
浜口伝博(産業医科大学 産業衛生教授・産業医アドバンスト研修会 理事)
産業医科大学医学部卒業。病院勤務後、東芝(1986~1995)および日本IBM(1996~2005)にて専属産業医として勤務。その後、Firm & Brainを設立し開業型の産業医として独立。株式会社ファーストリテイリングなど大手企業を顧客企業とし、統括産業医、労働衛生コンサルタントとして活躍するかたわら政府委員や医師会、関係学会の役員を務めながら、産業医科大学をはじめ、慶應義塾大学医学部、順天堂大学医学部、東海大学医学部にて教鞭をとっている。
企業の課題を解決「できる」産業医が求められている
最初に登壇したのは、株式会社ファーストリテイリングの統括産業医であり、産業医科大学産業衛生教授の浜口伝博氏。
「できる産業医はここが違う!」というテーマで講演し、産業医に求められている本来の「役割」について、改正された労働安全衛生法の視点と、職場の視点から語りました。
そして、現代の企業が抱えている課題を解決するためには「専門家としての産業医」が必要であることを述べました。
これからの時代に求められる産業医は、法令を遵守するためだけの「地域保健型産業医」ではなく「自主対応型産業医」だとして、職場の課題解決に向けて活動できることが条件と語る浜口伝博氏は、ご自身も「産業医アドバンスト研修会」の理事として、産業医の育成に努めています。
〈講師:小島玲子氏〉丸井グループの事例から学ぶ健康経営
〈講師プロフィール〉
小島玲子(株式会社丸井グループ執行役員・専属産業医)
産業医科大学医学部卒業。横浜労災病院 内科系臨床研修修了後、同院心療内科にて6年間外来診療を担当するとともに、2002年より大手メーカー専属産業医として約10年間勤務。2006年より北里大学大学院 医療系研究科 産業精神保健学に在籍し、2010年医学博士号取得。2011年丸井グループの産業医として健康経営推進役となる。2014年健康推進部が新設され部長に着任。2019年同社執行役員。著書に「産業保健活動事典」(2011年バイオコミュニケーションズ出版、共著)、「職場面接ストラテジー」(2014年 同)など。日本産業衛生学会指導医、社会医学系指導医、労働衛生コンサルタント有資格。
「健康がゴールではない」丸井グループの健康経営
続いては産業医であり株式会社丸井グループの執行役員も務める小島玲子氏が「丸井グループのウェルネス経営~健康を通じた人と社会のしあわせを目指して~」というテーマで講演。
その中で、健康推進に向けて丸井グループが行っている数多くの活動を事例として紹介しました。
また、それぞれの活動が「従業員の健康レベル向上にどう寄与したか」また、ウェルネス経営の推進で「対外的な評価(株価)はどのように推移したか」という、健康経営の効果について語りました。
専属産業医の立場としてだけでなく、執行役員として経営的な視点からもアプローチしていく事例の数々は、小島玲子氏ならではの講演であり、参加者からも多くの注目を集めていました。
〈講師:小島健一氏〉企業が抱えている法的リスクを弁護士が解説
〈講師プロフィール〉
小島健一(鳥飼総合法律事務所 パートナー弁護士・日本産業衛生学会倫理審査委員会委員)
人事労務を専門とし、問題社員の処遇から組織・風土の改革、産業保健、障害者雇用まで、先手必勝の企業経営に貢献する紛争予防・迅速解決のコンサルティングを提供。メンタルヘルス不調やハラスメントが関わる深刻な案件も、早い段階から依頼者に寄り添い解決まで支援している。「メンタルヘルス/産業保健法務主任者」資格講座運営・認定委員など人事労務と産業保健を架橋する諸活動の他、「働き方改革」「健康経営」「精神/発達障害の就労支援」「治療と仕事の両立支援」等での著作・講演も多数。
法改正の内容から読む、企業が対応すべき課題
最後には、日本産業衛生学会倫理審査委員会の委員も務める弁護士の小島健一氏により「法改正で飛躍的に高まる産業医への要求と企業リスク」というテーマで講演が行われました。
「産業医の権限強化」「治療と仕事の両立支援」「合理的配慮」3つの視点から、企業と職場の産業医に要求されている対応について語り、ハラスメントや過重労働の防止に取り組まない企業が抱えるリスクなどを解説。
今、企業と産業医に迫られている変革の内容が具体的に説明され、それらの活動を適切に進めて行く上で欠かせない「産業保健チーム」の存在や、専門的な知識・能力を持った産業医の重要性が述べられました。
また、講演の最後には質疑応答の時間が設けられ、登壇者と参加者による活発な意見交換が行われ、盛会のうちに幕を閉じました。
株式会社エムステージグループでは、今後も産業保健や健康経営をテーマにしたセミナーを開催予定とのこと。
人事ご担当の方、経営者の方は参加をご検討されてみてはいかがでしょうか。
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