浜口伝博氏が語る「産業医アドバンスト研修会」設立への想い


職場の課題を解決するプロフェッショナルな産業医を育成するE-ラーニングサイト「産業医アドバンスト研修会」が2019年9月からスタートします。

国内および外資企業での専属産業医キャリアを持ち、日本産業衛生学会にて産業医教育の責任職を長期にわたり担当されている浜口伝博先生に、これからの産業医に求められる役割と必要な知識や技能、そして「産業医アドバンスト研修会」設立への想いについてお話を伺いました。

時代とともに変化してきた産業医の役割

産業医としてのご経歴を教えてください

今から34年前に産業医科大学(旧労働省1978年設立)を卒業しました。

大学卒業後は病院勤めの後、専属産業医として㈱東芝に10年間勤務、96年からは日本IBM㈱に移って10年間在職し、統括産業医、アジアパシフィック産業医等の産業医活動をしました。

その後は産業保健コンサルティングを行うFirm&Brain(有)を設立。開業型の産業医として現在は活動しています。大手企業の統括産業医や企業によっては労働衛生コンサルタントとして関わらせて頂いています。また、医師会や企業団体にて講師もさせて頂いています。

産業医の役割は、どのように変化してきたのでしょうか

産業医に求められる役割や技能は時代とともに変化しています。

その背景には、国内の主要産業が製造業だった時代から、情報通信や金融、流通、サービス業といった第三次産業へシフトしてきたという産業構造の変化の影響があると思います。

オフィスワーカーが増えた現代社会では、人材の維持管理の観点から健康管理や人材教育への関与が産業医にも期待されるようになってきていると感じます。

実際に産業医は、過重労働対策やメンタルヘルス対策に関わらなければなりません。

また、もっと積極的な関わりとしては「働き方改革」や「健康経営」を進めるために、従業員のヘルスリテラシーの向上についてもアドバイスしなければなりません。

職場の健康問題にを解決していくことは、結局のところ人材維持にもかかわるわけです。ですので最終的には経営上の関心にもなるわけです。企業の本質はやはり“人材”に尽きるわけです。

産業医にはOJTで学ぶチャンスがほとんどない

―「産業医アドバンスト研修会」を設立した理由を教えてください

法的義務にある産業医業務だけを実施して、それ以上をしようとしない「職務提供型産業医」の時代はもう終わりを迎えていると考えています。

反対に、これからは組織が抱えている産業保健課題に対して果敢に取り組んでいく専門家としての産業医が求められます。私は、こうした解決指向を持ってスキルを獲得していく産業医を「問題解決型産業医」と呼んでいます。

また、知識・スキルを身に付けたいと考える、若い世代の意欲的な産業医が増えてきていると感じるています。彼らの学習意欲や向上心にこたえる団体として「産業医アドバンスト研修会(以下、「アドバ研」)」のような教育機能が絶対必要だと思った次第です。

課題に感じていたことは、病院でいう臨床研修現場に匹敵するような“産業医研修現場“がないことでした。アドバ研は、バーチャルではありますが、それに少しでも代わる機能を持つような研修会にしていこうと思っています。

アドバ研は、産業医科大学と協力関係のもとに運営され、実際に全てのコンテンツは熟練した産業医たちで制作されていますので、ぜひ信頼して、安心してご参加頂きたく思います。

―「問題解決型産業医」と、その教育プログラムについて教えてください

問題を解決出来る産業医として、現場で活躍するためには「法令適応力」「安全衛生力」「健診活用力」「面接指導力」「事例解決力」「教育指導力」「組織活性力」7つのスキルが必要だと考えています。

アドバ研では、実務に役立つ教材と情報を提供することで、これらのスキルが学べるよう工夫しています。

アドバ研の教育プログラムの大きな特長は、オンラインで自由に研修に参加できること。

オンラインですので、“好きな時間、好きな場所“で受講が可能です。これによって「遠方在住のため参加できない」「忙しくて参加できない」といった地域や時間の制約を乗り越えることが可能になりました。

この手法なら地域による教育の質の格差も生まれませんし、いつでもどこでも先生方は自己研鑽することができます。

「産業医って社会に絶対必要だよね」と言われる社会を目指す

―会員同士の情報交換も可能なのでしょうか?

アドバ研の会員になることで、ウェブ上でクローズドな場を設計することができます。そこでは活動する地域ごとや専門領域ごと、出身大学ごと、など産業医同士でコミュニティを作ることが可能です。そこで自由に意見交換や交流をすることができます。

企業において産業医は“一人職場”であることが多いのですが、OJTとまではいかないまでも、その意味では、こうした“生きた情報・経験・体験”を共有できる場があることで、日常の産業医活動において有益な情報が入手できるでしょう。また。自分の活動を客観的多面的にもとらえる機会になると思っています。

―「産業医アドバンスト研修会」発足への想いをお聞かせください

アドバ研が目指すものは「独力で職場の課題を解決できる産業医」を育成すること。

たとえば、企業の方に「企業活動をする上で弁護士は必要ですか?」と聞くと、もちろん「はい、絶対」という返事が返ってきますよね。法律では企業が弁護士を選任する義務はありませんが、企業は「絶対必要」という認識を持っているわけです。

同じレベルとは言わないまでも、企業の方々に「産業医って必要だよね!」と言われたいという願望があります。

そのためには、最前線で活動する産業医の先生方のスキルアップと活動力が欠かせないのです。そして、産業医ひとり一人の実践力と解決力が企業側に伝わる必要があります。

これらの想いが「産業医アドバンスト研修会」に詰まっています。

浜口伝博(はまぐち・つたひろ)

産業医科大学医学部卒業。病院勤務後、(株)東芝(1986~1995)および日本IBM(株)(1996~2005)にて専属産業医として勤務。その後、Firm & Brain(有) を設立し開業型の産業医として独立。大手企業を顧客企業としてもち、統括産業医、労働衛生コンサルタントとして活躍するかたわら政府委員や医師会、関係学会の役員を務めながら、産業医科大学をはじめ、慶應義塾大学医学部、順天堂大学医学部、東海大学医学部にて教鞭をとっている。


▶「産業医アドバンスト研修会」の詳細は以下よりご覧になれます◀


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