〈企業の法定雇用率は2.3%へ〉「障害者雇用促進法」のポイントを解説

最終更新日:2020年3月

近年ではダイバーシティの観点からも障害を持つ労働者の活躍に期待が集まっています。

また、障害者を「貴重な労働力」として考える企業も増え、障害者雇用促進法はその動き後押しするような形で改正を経てきました。

従業員が多ければ多いほど達成のハードルが高くなる法定雇用率と、雇用・就労時のポイントについて解説します。

目次[非表示]

  1. 1.2021年4月、民間企業における障害者の法定雇用率は2.3%に
    1. 1.1.2018年に施行された改正障害者雇用促進法の目指すもの
    2. 1.2.2021年4月までに、企業の法定雇用率が2.3%へ引き上げられる
  2. 2.精神障害者もカウントされる?障害者法定雇用率の計算方法
    1. 2.1.障害者法定雇用率の算出(計算)方法は?アルバイトは含まれる?
    2. 2.2.2018年の法改正で変更になった精神障害者の算定方法
    3. 2.3.法定雇用率を満たしていない場合の罰則は?障害者雇用納付金制度の解説
  3. 3.障害者の雇用方法と、就業後の安全配慮義務は?
    1. 3.1.障害者を雇用する際にはどこに相談すればいい?

2021年4月、民間企業における障害者の法定雇用率は2.3%に

2018年に施行された改正障害者雇用促進法の目指すもの

障害者雇用促進法が目指すものは、障害を持つ労働者の雇用促進や職業生活の継続です。

地方公共団体のみならず、民間企業にも障害者の法定雇用率を満たす義務が生まれ、2018年に施行された障害者雇用促進法では、障害者の更なる雇用推進を目指した内容となっています。

厚生労働省は、障害者の雇用により期待されている事項について、以下の3つを挙げています。

  • 共生社会の実現:障害に関係なく、意欲や能力に応じて、誰もが職業を通して社会参加できる「共生社会」の実現。
  • 労働力の確保:障害者の「できること」に目を向け、活躍の場を提供することで、企業にとっても貴重な労働力の確保につながる。
  • 生産性の向上:障害者がその能力を発揮できるよう職場環境を改善することで、他の従業員にとっても安全で働きやすい職場環境が整えられる。

2021年4月までに、企業の法定雇用率が2.3%へ引き上げられる

2018年4月1日に施行された障害者雇用促進法によって、民間企業における障害者の法定雇用率は2.2%になりました。

しかし、この法定雇用率2.2%という数値は経過措置なので注意します。

具体的な時期は未定ですが、2021年4月までに2.3%に引き上げる計画があるため、企業にはさらなる障害者雇用に向けた対応が求められています。

なお、2018年に施行された障害者雇用促進法では、障害者雇用義務の民間企業の範囲がこれまでの「従業員50人以上」から「従業員45.5人以上」に変更されています。

つまり、この2.2%(2019年時点)という法定雇用率を満たすためには、従業員が46人以上の企業であれば、障害者を1人以上雇用しなければ達成できないということになります。


精神障害者もカウントされる?障害者法定雇用率の計算方法

障害者法定雇用率の算出(計算)方法は?アルバイトは含まれる?

すべての事業主には、従業員の一定割合以上の障害者を雇用することが義務付けられており、これが「障害者雇用率制度」と呼ばれるものです。

なお「障害者」として認められるのは「障害者手帳」を持っている方に限られます。

では、民間企業の基準となっている法定雇用率2.2%を満たすための計算方法を見ていきましょう。

障害者雇用率の計算方法は「常時雇用する従業員数」×「2.2%」(小数点以下は切り捨て)にて計算ができます。

例えば、従業員数が120人の企業であれば2.64になりますので、障害者を「2人」雇用する必要があるということになります。

出典:厚生労働省「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律の概要

「常時雇用している労働者」とは:1週間の所定労働時間が20時間以上で、1年以上雇用の見込みがある(あるいは1年以上雇用されている)労働者を指します。この「常時雇用している労働者」であれば、パート・アルバイトでも1名としてカウントされます。

2018年の法改正で変更になった精神障害者の算定方法

精神障害者の雇用安定を目指し、2018年の障害者雇用促進法改正では精神障害者の算定方法が変更されており、以下の条件に該当することで「1名」としてカウントすることが可能になりました。

  • 短時間労働者であって、雇入れから3年以内の方
  • あるいは精神障害者保健福祉手帳の取得から3年以内の方
  • なおかつ2023年3月末までに雇入れられ、精神障害保健福祉手帳を取得した方

ただし、条件に該当していても対象とならない場合もありますので、詳細についてはハローワークへお問合せください。

出典:厚生労働省「障害者雇用のご案内」リーフレット」より

法定雇用率を満たしていない場合の罰則は?障害者雇用納付金制度の解説

障害者の法定雇用率を満たしていない企業に対して「罰則」が設けられているわけではありませんが、事業主には「障害者雇用納付金」として料金を納めることが義務化されています。

一方で、障害者を多く雇用している事業主に対しては、調整金や報奨金といった助成金を受け取ることができます。

これを「障害者雇用納付金制度」といい、制度のポイントは以下の3つとなります。

①常時労働者を100人以上雇用している企業の事業主には毎年度の納付金申告が必要。

②法定雇用率を下回る場合には、申告とともに納付金の納付が必要。

③法定雇用率を上回る場合には、事業主の申請に基づいて調整金が支払われる。

「障害者雇用納付金制度」の納付金・助成金の金額については、以下の図を参考にしてください。

出典:厚生労働省「障害者雇用のご案内」リーフレット」より


障害者の雇用方法と、就業後の安全配慮義務は?

障害者を雇用する際にはどこに相談すればいい?

障害者を雇用する際には、最寄りのハローワークに相談する方法が挙げられます。

ハローワークには「就労支援ナビゲーター」や「障害者雇用トータルサポーター」が在籍していることもあるため、求人・雇用のタイミングから相談に対応してもらえます。

それだけでなく、障害者が職場に定着するための専門的なアドバイスや支援を行っていますので、障害者を雇用する際には心強い存在になります。

この、支援を受けられるということが重要だといえます。理由としては、厚生労働省の調査を見ると、障害者の離職率が高いことで、職場への定着にも注意が必要となるからです(※)。

なお、企業には「安全配慮義務」があります。障害を持つ従業員に対して、就業中の体調管理や服薬の管理、事業場のバリアフリー化といった活動を行う際には、産業医などと連携し、障害を持つ従業員が長く勤められるような企業からの支援も大切になります。

※出典:厚生労働省「障害者雇用の現状等

国が推進している障害者雇用にはいくつかの義務がありますが、活動をすることで助成金を受け取ることもできますので、検討してみてはいかがでしょうか。


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