障害者雇用水増し問題どう考える?~企業に障害者雇用の現状と意識をアンケート調査しました


中央省庁が、障害者の雇用割合を水増ししていたことが明らかになり、厚生労働省が各省庁を再点検した結果、雇用した障害者の約半数を不正に算入していたことがわかりました。

民間企業の障害者雇用はどのような状況なのでしょうか。また、企業は今回の中央省庁の障害者雇用水増し問題をどのように受け止めているのでしょうか。


産業保健に関するサービスを提供するエムステージは、
サービスのご利用やメールマガジン登録などをしていただいた企業・団体の担当者様を対象に、障害者雇用の実態や意識についてのアンケート調査を実施しました。

≪調査概要≫


障害者雇用の実態や意識についてのアンケート調査

期間:2018年8月28日~9月5日

対象:エムステージの産業保健サービスのご利用やメールマガジン登録などをしていただいた企業・団体の担当者様

調査方法:インターネット調査


≪回収結果≫


有効回答数:73人

回答者の属性:民間企業66人、国・地方公共団体2人、その他5人

この記事では、回答者の属性として多数を占めた民間企業の担当者様66人に限定した調査結果について紹介します。

(グラフ中の割合は四捨五入したものです)


従業員規模はどれくらいですか

「50人以下」、「101~300人」、「1000人以上」の従業員規模の企業に所属する回答者が多いです。


障害者を雇用していますか


回答した民間企業の担当者のうち、73%が障害者を現在雇用していると回答しました。

一方で、一度も雇用したことがないと回答した担当者も15%いました。


雇用している障害者の方の障害区分を教えてください

≪障害者を現在、または過去に雇用していると回答された方≫(複数回答可)

障害者を現在、または過去に雇用していると回答した人のうち、94%は身体障害者を雇用しています。

精神障害者、知的障害者はそれぞれ30%前後と、身体障害者と比べると雇用が進んでいないことがわかります。


雇用した理由は何ですか

≪障害者を現在、または過去に雇用していると回答した方≫(複数回答可)

最も多い、障害者の雇用理由は「法定雇用率の達成」で、回答者の69%が理由に挙げています。

「社会的責任」と「業務に適した人材だった」がそれぞれ29%です。

もともといた従業員が障害者になったと回答した人も27%いました。


法定雇用率を満たしていますか


法定雇用率

従業員45.5人以上の民間企業2.2%、特殊法人・独立行政法人2.5%、国・地方公共団体など2.5%、都道府県などの教育委員会2.4%


回答者が所属する民間企業の73%が障害者を雇用しているものの、現在法定雇用率を満たしている企業は48%と半数に満たないことがわかりました。

法定雇用率の対象となる企業に限定しても、達成は49%です。

また、「満たしたことがない」と回答した人も21%いました。

障害者を雇用している企業も、法定雇用率の達成には課題を抱えているようです。


法定雇用率を満たしていない理由はなんですか

≪法定雇用率を「現在は満たしていない」「満たしたことはない」と回答した方≫(複数回答可)

法定雇用率を満たしていない理由として、最も回答が多かったのは「適する業務がない」で63%です。

そのほか、多い理由としては「障害者からの応募がない」(42%)、「職場の施設・設備環境の整備が不十分)(33%)、「ほかの従業員の障害者への理解が不十分」(25%)の順で続きました。


中央省庁や地方自治体の障害者雇用割合の水増し問題についてどう考えますか

(自由記述)

中央省庁が障害者の雇用割合を水増ししていた問題についても、自由記述で考えを聞きました。

民間企業では、常用労働者100人を超える、法定雇用率が未達成の企業は納付金を徴収される仕組みになっています。雇用状況に改善が見られない場合は、企業名が公表されることもあります。

一方で、中央省庁は納付金を徴収されることはありません。


アンケートでは、国の障害者雇用割合の水増しに対して「民間ばかり」という憤りの声のほか、法定雇用率を達成することの難しさに一定の理解を示したり、法定雇用率の見直しの必要性を投げかけたりする意見もありました。また、障害者雇用への国の認識の低さを嘆く回答もありました。
(要約や表現の統一のために、回答を一部編集しているものがあります)


憤り

非常に憤りを感じる

あまりに私たち民間の取り組みをバカにした内容だと大変憤る。大臣をはじめ責任者、担当者の処罰と、民間同様の報告方法・チェック体制を強く求める。また民間同様の納付金を課す体制も必要

強い憤りを感じる。障害者手帳を確認することは、人事担当者として常識と感じる(確認の方法などは配慮が必要だが)。法令等を遵守させる側の非常識、監督官庁への不信感はぬぐえない


法定雇用率達成の難しさに一定の理解、雇用率の見直しの検討も必要では

納得できない話だが、障害者雇用の難しさをあらわしているのかもしれない

・現在の雇用率が現実的には難しいことの証左であり、雇用率のあり方も検討の必要があると感じる

・法定雇用率の設定をもう少し慎重に検討すべき。雇用する側も身構えてしまうし、身構えた結果が水増しへとつながったのだと考える。それでは本来の意味での社会参加支援にはならず、数値をクリアする為だけの頭数あわせとなる懸念がある。仕方なく雇用するのではなく、あなたが必要だから雇用する、そういった風潮を促す制度にするべき


障害者雇用への認識の低さを指摘

・管理すべき自治体がこのような対応をするのは非常に遺憾。障害者雇用自体への認識が低すぎると考えます

民間企業の模範となって率先して行うべき

・旗振り役たる公的機関にこのような不正があることで、障害者雇用制度全体の信頼性が損なわれた


編集部記


障害者の雇用率制度は、障害者が能力を最大限発揮し、適性に応じて働くことができる社会を目指し、設けられています。


障害者が、一般労働者と同じ水準で常用労働者となり得るよう機会をつくるよう、
民間企業の法定雇用率設定基準は、

となっています。

また、算定基礎の対象は身体障害者と知的障害者に限られていましたが、2018年4月から新たに精神障害者が追加され、民間企業の法定雇用率は2.0%から2.2%に引き上げられました。さらに2021年4月までに2.3%に引き上げられることが決まっています。

アンケート調査からは、法定雇用率の達成に課題を感じている企業の担当者が少なくないことがわかりました。今後、さらに法定雇用率が引き上げられることから、現在は達成している企業でも、障害者雇用を進めるためにどうすればいいのか悩んでいる担当者もいるのではないでしょうか。

一方で、障害者の雇用理由に69%が「法定雇用率の達成」を挙げていることから、法定雇用率が障害者雇用推進のための大きな柱になっていることもわかります。


障害者の自立、社会参加のために、就業の議論は欠かせません。

社会は、今後どのように障害者の雇用・就業を進めていけばいいのでしょうか。


(サンポナビ編集部)


参考

厚生労働省:障害者雇用率制度​​​​​​​



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