【2023年版】ストレスチェック後の「高ストレス」面接指導・面談の流れは?
(最終更新日:2023年3月20日)
従業員50人以上の事業場ではストレスチェックを実施することが義務付けられています。
検査の結果、「高ストレス者」と選定された労働者から申し出があった場合は、産業医などの医師による面接指導を実施することも事業者の義務です。
ストレスチェックから、高ストレス者の面接指導を実施するまでの流れを確認してみましょう。
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ストレスチェックの実施は「面接指導」の体制を整えてから行う
ストレスチェックの結果に対する企業の準備は
労働者のストレスの程度を定期的に把握するストレスチェック制度。
従業員50人以上の事業場では、ストレスチェックを年に1回実施することが労働安全衛生法により事業者に義務付けられています。
労働者は「職場のストレス要因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」の3つの領域の質問について回答し、検査結果は検査を実施する医師、保健師などの「実施者」から直接本人に通知されます。
また、検査結果について、実施者が本人の同意なく事業者に提供することは禁止されています。
事業者がストレスチェックを実施する際は「面接指導」への対応についても準備しておく必要があります。
ストレスチェック後に「高ストレス判定」が出た場合の対応
検査の結果「高ストレス者」と判定された労働者から申し出があった場合、産業医などの医師による面談(面接指導)を実施することは、事業者の義務です。
また、面接指導の結果に基づき、医師の意見を聞き、必要に応じ就業上の措置を講じることも義務となります。
ストレスの高い労働者を早期に発見し、医師による面接指導につなげることで、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することが目的です。
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面接指導は、医師が面接してメンタルヘルス不調のリスクを評価すること
産業医による「面接指導」とは何か
それでは、面接指導とは何でしょうか。
産業医などの医師が労働者と面接をして、心身や勤務の状況などを確認することで、その労働者のメンタルヘルス不調のリスクを評価し、本人に指導を行うことです。
ストレスチェック実施後の面接指導までの流れを説明します。
産業医などのストレスチェック実施者は、労働者から回収したストレスチェックの結果をもとに、ストレスの程度を評価し、高ストレス者で医師の面接指導が必要な者を選びます。
高ストレス者とは、ストレスの自覚症状が高い人や、自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲のサポートの状況が著しく悪い人です。
出典:厚生労働省「ストレスチェック制度 簡単!導入マニュアル」
ストレスチェック後の面接指導は速やかに実施すること
実施者は、ストレスの程度の評価結果や、高ストレスかどうかの判定、医師の面接指導の必要性について、労働者に通知します。
実施者が面接指導の必要があると判断し、本人が面接指導を希望した場合は、事業者は面接指導を実施しなければなりません。
面接指導を受ける必要があると認められた労働者は、できるだけ申し出をして、医師による面接指導を受けることが望ましいとされています。
出典:厚生労働省「厚生労働省ストレスチェック指針」
事業者への医師からの意見提出は、労働者本人の意向に十分な配慮が必要
医師は面接指導で聴取した内容のうち、労働者の安全や健康確保のために事業者に伝える必要がある情報について、事業者に提供します。
これは、事業者が適切な措置を講じることができるようにするためです。
ただし、事業者への意見提出の際は、労働者本人の意向への十分な配慮が必要です。
事業者は、医師から面接指導結果の報告を受け、必要に応じて就業上の措置を講じます。具体的には以下のような事項などが挙げられます。
面接指導を踏まえた就業上の措置に関する医師の意見は、必要な情報に限定すれば本人の同意がなくても事業者に伝えることができます。
しかし、厚生労働省は、「円滑に行うためには、面接指導の際に事前に本人にその旨を説明して、了解を得ておくことが望ましい」としています。
事前に本人からの了解が得られない場合に取れる対応としては、どのようなものがあるでしょうか。
まず、法に基づく面接指導は事業者に結果が伝わる仕組みである旨を説明します。
そして、本人の了解を得た上で、法に基づく面接指導ではなく、事業者に伝えないことを前提とした通常の産業保健活動での相談対応として実施するなどがいいでしょう。
出典:厚生労働省「ストレスチェック制度関係Q&A」
また、面接指導の実施後に、事業者はストレスチェックと面接指導を受けた人数を労働基準監督署に報告する必要があります。
「高ストレス者」を放置するとどうなるか~企業のリスクと回避方
高ストレス者の放置は「民事訴訟」に発展するリスクがある
高ストレス者を放置することは企業にとって重大なリスクがあります。
具体的には、従業員からの民事訴訟や労働紛争といったものが挙げられ、問題化した際に企業が受けるダメージは計り知れません。
編集部では、労働問題に詳しい弁護士の倉重公太朗先生にインタビューし「どのようにして従業員からの民事訴訟リスクを回避するか」というポイントをお聞きしました。
●弁護士に聞いた「高ストレス者放置」の危険性
以下のリンクからご覧になれます。
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ストレスチェック実施後の面接指導の流れについて確認できましたか?
ストレスチェックを適切に運用するためには「頼れる産業医」が欠かせません。
「産業医が全然協力的じゃない」
「産業医から『精神科は専門外だからストレスチェックは対応できない』と言われてしまった」
そのような場合では、安全配慮義務を果たすことが出来ない恐れがありますので、産業医の交代も検討が必要です。
メンタルヘルスの不調を未然に防げるよう、ストレスチェックを実施するときは、面接指導を含めた体制までしっかり整えてから臨みましょう。
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