治療と仕事の両立 健康経営マンガ:ねぎま産業(株)第17回
年明けの初詣で、「今年はより健康な企業になりますように…!」
そう願掛けをする会社があった。――その会社の名は、ねぎま産業株式会社。
今回のテーマは「治療と職業生活の両立支援」。
第17回 治療と仕事の両立
ねぎま産業の社内システムを管理する社員のトキさん。社内で、システムに詳しいのはトキさんだけである
そんなトキさんがガンの診断を受けて、しばらく治療が必要らしい。
トキさんは「治療費がかかるし、仕事を続けたい」って言っているみたいなんだけど…。
でも、入院即日に病室でリモートワークってブラックすぎない?
違う、そうじゃない。確かに仕事は続けられるけど、そういうことじゃないんだ…!さすがに今回はニワトリもドン引きです。
トキさんが治療をしながら仕事を続けられる、何かいい方法はないのか!?
今日の人事労務キーワード:治療と職業生活の両立支援
治療と職業生活の両立支援とは
医療技術の進歩により、かつては治すことが難しかった病気の生存率が向上し、治療をしながら働く人が増えました。しかし、治療のための休暇制度や復職制度が不十分で、通院のために欠勤になってしまう、休業後そのまま退職してしまうなどの問題が起きることがあります。例えば、2013年の労働政策研究・研修機構の調査では、「過去3年間の病気休職制度利用者の退職率の平均値は37.8%である」という結果が出ています。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構(2013)「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」
こうした背景を受け、厚生労働省は2016年2月に「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を公開。企業に対し、治療が必要な労働者が安心して働き続けられるような環境整備・両立支援をするように呼びかけています。
通院しながら働ける環境づくりが必要なんだね。
両立支援を行う環境・体制づくり
両立支援を行うためには、まずは両立をしやすい環境・制度づくりを行います。
環境づくりの取り組みとしては、企業が支援についての社内ルールを作成し、支援の必要性や意義について労働者へ周知する、社員全員に研修などで意識啓発を行うなどがあります。
また、制度づくりの例として①相談窓口・情報の取り扱いルールの明確化②休暇制度・勤務制度の整備があります。
【両立支援に関する制度の例】
①休暇制度:時間単位の年次有給休暇、傷病休暇・病気休暇など
②勤務制度:時差出勤制度、短時間勤務制度、在宅勤務(テレワーク)、試し出勤制度など
特に、②勤務制度の「試し出勤制度」は、休業からの円滑な復職をサポートする効果があります。
※時間単位の年次有給休暇:労働基準法に基づく年次有給休暇は、1日単位で与えることが原則であるが、労使協定を結べば、1時間単位で与えることが可能(上限は1年で5日分まで)。
試し出勤制度か…。段階を踏むことが大事なんだな
治療と職業生活の両立支援の流れ
では、病気になってしまった労働者が両立支援を受けるためにはどうすればいいのでしょうか。
支援を受けるためには、まず労働者が主治医に勤務情報を伝え、主治医に意見書を書いてもらい企業に提出する必要があります。それを受け、企業は主治医・産業医などの意見を参考に、休業措置、就業上の措置や治療への配慮を検討し実施します。
このとき、企業は措置や配慮などについてまとめた計画を策定するのが望ましいです。
休業が必要でない場合は「両立支援プラン」を、入院などで休業が必要な場合は「職場復帰支援プラン」を策定します。
また、2018年3月から主治医が産業医の助言を得て治療計画の見直しを行った場合、診療報酬で評価されるようになり、産業医と主治医の連携に向けた体制作りが進められています。
治療と職業生活の両立支援について、詳しくは厚生労働省の「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」が参考になります。両立支援プラン・職場復帰支援プランの作成例も記載されています。
ガイドラインを参考にして、ねぎま産業のみなさんもトキさんの「職場復帰プラン」をつくってみてくださいね。
トキさんが安心して帰ってこられるように頑張らなきゃ!
(by サンポナビ編集部)
マンガ作者プロフィール:とりのささみ。
イラストレーター、デザイナー。
地方から上京しブラック企業に入社、転職に失敗して仕方なくフリーランスをやっている内になんだか楽しくなり、今に至る。ブラックジョークをオブラートに包むイラストが得意。
とりのささみ。 (@torinosashimi) | Twitter
参考)
厚生労働省 事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン
厚生労働省 「事業場における治療と職業生活の 両立支援のためのガイドライン」リーフレット
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▼この記事は「健康経営マンガ:ねぎま産業(株)」の第17回です。
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