5分でわかる「ノロ」~やさしい衛生講話 第3回

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健康経営をがんばりたい、ねぎま産業(株)

従業員が50人を超え、従業員の労働災害の防止・健康増進について話し合う「衛生委員会」を毎月開いています。産業医のハシビロ先生が労働衛生・健康について講義をする「衛生講話」をのぞいてみましょう。

ねぎま産業(株)のキャラクターたちと一緒に健康について学ぶ「やさしい衛生講話」。

第3回のテーマは「ノロウイルス」です。

衛生委員会
企業が、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに設置するよう義務付けられている。労働者側委員や事業者側委員が衛生に関することを調査したり話し合ったりして、事業者に意見する場。毎月1回以上開催する。

衛生講話
産業医や保健師が労働衛生・健康について行う講義。従業員の健康教育の一環として、衛生委員会の中で実施する。

登場人物プロフィール

ハシビロ先生:ペンギン上司が「いい先生がいる」といって見つけてきた産業医。まじめで優しい。

 ペンギン上司:ちょっと毒舌。健康経営を目指して奮闘しているが、いつも詰めが甘い。

ニワトリ:平社員。ツッコミ担当。ペンギン上司によく振り回されている。

ノロウイルスはどうやって感染するの?

ペンギン上司:ではハシビロ先生、衛生講話をお願いします。

ハシビロ先生:今回のテーマは「ノロウイルス」です。冬はカキのおいしい季節、みなさん今年はもう食べましたか?

ニワトリ:この前ちょうど会社の飲み会でカキ食べました。プリプリの生ガキがおいしかった~。

 ペンギン上司:よく生ガキなんて食べたなぁ。オレは怖くて焼いたやつしか食べなかったぞ。

ニワトリ:えっ、生ガキって食べたら危ないんですか…!?おいしいのに…。

ハシビロ先生:とてもおいしいカキですが、生だったり加熱が不十分だったりすると、ノロウイルスによる食中毒を起こしてしまう危険があります。カキなどの二枚貝はノロウイルスに汚染されている可能性があるんです。

ノロウイルスは1年を通して発生しますが、特に11月~1月にピークを迎えます。ちょうどカキのおいしい季節ですね…。

ノロウイルスの潜伏期間は24~48時間で、おう吐・下痢・腹痛などを起こします。


そんなノロウイルスですが、実はカキなどの二枚貝を食べなくても、感染してしまう恐れがあるって知っていますか?

 ペンギン上司:ええっ!?知らなかった…!

ハシビロ先生:では、ノロウイルスの感染経路についてご説明しますね。

ノロウイルスはウイルスが口に入ると感染する「経口感染」で、主な感染経路は「食べ物からの感染」と「人からの感染」です。



「食べ物からの感染」とは、加熱が不十分な二枚貝を食べた場合や、ノロウイルスに感染した人が調理した食べ物を食べた場合などです。

ノロウイルスは感染力が強く、少しのウイルスが口に入るだけで感染します。調理者の手や調理器具に付いていたウイルスが別の食材に付き、その食材を食べることで感染することがあるんです。


「人からの感染」は、患者のふん便やおう吐物からの感染、家庭や施設内での飛沫などによる感染があります。患者のふん便やおう吐物には大量のウイルスが含まれるため、患者の触れたドアノブ・手すりなどに触れた後に食事をしたり、患者の咳やくしゃみ・おう吐物をふき取る際に生じた飛沫を吸い込んだりすることで、ウイルスが口に入り感染することがあります。

※飛沫=ウイルスを含んだ小さな水滴。


また、直接おう吐物などに触れない場合も、処理が不十分だったおう吐物の残留物が風に乗って舞い上がり、口に入ることで感染することもあります。12日以上前にノロウイルスに汚染されたカーペットを通じて、感染が起きた事例もあります。

ペンギン上司:カキを食べなくても感染するなんて…。冬は細心の注意を払わなければ…!

ニワトリ:(ペンギン上司、そういえば去年の忘年会の後、しばらく会社来なかったっけな…。)


ノロウイルスの感染を防ぐには?

ペンギン上司:ノロウイルスに感染しないためには、どうすればいいのでしょうか。

ハシビロ先生:ノロウイルスの感染を防ぐには、①ウイルスを口に入れない②ウイルスを失活させることが大切です。

対策としては、「手洗い」「食品の加熱」「調理器具の加熱」が有効です。



まず、「手洗い」は、調理を行う前、食事の前、トイレに行った後、患者の汚物処理の後(手袋をしている場合でも)には必ず行いましょう。手洗いの際は石けんを十分に泡立てて、ぬるま湯ですすぎます。

ウイルスを失活化させる「食品の加熱」も、感染予防として有効です。カキなどの二枚貝などを調理する際は、中心部が85~90度になるように、90秒以上加熱するようにしてください。

また、家庭や飲食店での調理器具を介した感染を防ぐため、「調理器具の消毒」を行いましょう。ノロウイルスは薬品や熱に対する耐性が高いため、85度以上のお湯での熱湯消毒、または次亜塩素酸ナトリウムで消毒を行います。

次亜塩素酸ナトリウムは、塩素系漂白剤に含まれる成分です。家庭や職場での消毒の際は、塩素系漂白剤で代用が可能です。

 ペンギン上司:塩素系漂白剤なら弊社にもあるし、いざって時にも安心だな!


感染拡大を防ぐために

ニワトリ:家庭や職場などで感染者が出た場合、感染拡大を防ぐにはどうすればいいですか?

ハシビロ先生:そうですね。感染拡大防止のためには、適切な吐物の処理、食器・環境・衣類などの消毒が重要です。

まず、「おう吐物の適切な処理方法」についてお話しますね。

処理の際は、飛沫を吸い込まないよう必ず換気を行いましょう。おう吐物には大量のウイルスが含まれています。

服装は、使い捨てのマスク・手袋を着用し、エプロンをつけます。職場などでエプロンがない場合は、大きなゴミ袋で代用できます。

処理の手順としては、まず汚物が飛び散らないよう静かに拭き取り、消毒のため次亜塩素酸ナトリウムで浸すように拭き取り、最後に水拭きをします。



おう吐物を処理する際は、手袋・マスク・エプロンを着用します。

【処理の手順】

①おう吐物を使い捨てペーパータオルなどで静かに拭き取る。

②次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)に浸したタオルで5分間覆い拭き取る。

③ビニール袋におう吐物・タオル・使用後の手袋などを入れ、しっかり縛る。

④石けんでよく手を洗う。


次に、「食器・環境・衣類などの消毒」についてです。服装は、先ほどの処理の際と同様です。

感染者の使った食器や衣服は他のものと分けて洗浄・消毒します。食器は食後すぐに次亜塩素酸ナトリウム液に浸し消毒します。

また、ノロウイルスは感染力が強いので、感染者が出た場合はドアノブ・スイッチ・日用品等を次亜塩素酸ナトリウムで消毒します。

おう吐物やふん便が付着した衣服は、洗剤を入れた水で、そっともみ洗いをした後、85度で1分以上の熱水洗濯や次亜塩素酸ナトリウムでの消毒を行います。

ニワトリ:食器にドアノブ、衣服まで…。それぞれ消毒が必要なんですね。

ペンギン上司:ノロウイルスに感染してしまったら、どうすれば治るんですか?

ハシビロ先生:ノロウイルスにはワクチンがないため、治療は対処療法に限られます。

注意点として、下痢の症状を抑える下痢止めは、回復を遅らせるため使用しないことが望ましいです。

また、乳幼児・高齢者は、脱水症状・体力の消もうを防ぐため、十分に水分と栄養の補給をしてください

ペンギン上司:全部出しちゃった方がいいってことか…。

ニワトリ:ちょ、上司それは汚い。

ハシビロ先生:そうですね。ちょっと言葉はアレですが(笑)

「ノロウイルスに絶対に感染しない!」というのは難しいですが、感染経路や感染してしまった場合の対処法を知り、普段から予防を心がけましょう。

ニワトリ:よ~し!まずは手洗いをしっかりするところから始めるぞ!


イラスト/とりのささみ。 (@torinosashimi) ・ 文/サンポナビ編集部


参考)

厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」

国立感染症研究所感染症情報センター「ノロウイルス感染症とその対応・予防(医療従事者・施設スタッフ用)」​​​​​​​


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