5分でわかる「ストレス」~健康経営マンガ「ねぎま産業(株)」のやさしい衛生講話 第1回
健康経営をがんばりたい、ねぎま産業(株)。
従業員が50人を超え、従業員の労働災害の防止・健康増進について話し合う「衛生委員会」を毎月開いています。ようやくまじめな産業医が選任され、期待が高まるトリたち…。
産業医のハシビロ先生が労働衛生・健康について講義をする「衛生講話」をのぞいてみましょう。
ねぎま産業(株)のキャラクターたちと一緒に健康について学ぶ新連載「やさしい衛生講話」。
衛生講話のテーマ選びの参考にどうぞ。
第1回のテーマは「ストレス」です。
衛生委員会
企業が、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに設置するよう義務付けられている。労働者側委員や事業者側委員が衛生に関することを調査したり話し合ったりして、事業者に意見する場。毎月1回以上開催する。
衛生講話
産業医や保健師が労働衛生・健康について行う講義。従業員の健康教育の一環として、衛生委員会の中で実施する。
~これまでのねぎま産業(株)のあらすじ~
従業員が50人を超え、産業医を選任したねぎま産業(株)。しかし、選任したフクロウ産業医はちゃんと仕事をしてくれないし、口を開けば自分の経営する焼き鳥屋の話ばかり。そこで、ペンギン上司は新たな産業医を選任することに…! ※ねぎま産業(株)第14回はこちら
っていうか、いつの間に産業医変わってたの…!?byニワトリ
<登場人物プロフィール>
ハシビロ先生:ペンギン上司が「いい先生がいる」といって見つけてきた産業医。フクロウ先生の後任として、新しくねぎま産業(株)の産業医になった。まじめで優しい。
ペンギン上司:ちょっと毒舌。健康経営を目指して奮闘しているが、いつも詰めが甘い。
ニワトリ:平社員。ツッコミ担当。ペンギン上司によく振り回されている。
ストレスとは?
ペンギン上司:議長を務めますペンギンです。ではハシビロ先生、衛生講話をお願いします。
ハシビロ先生:今回のテーマはストレスですね。実は「ストレス」って、物理学の用語が由来なんです。
ニワトリ:えっ、物理学?心理学とかじゃなくて?
ハシビロ先生:そうなんです。「ストレス」はもともと、「物体に圧力がかかったときの物体のゆがみ」を指す物理学の用語でした。
1930年代に、カナダのある生理学者が、「ストレス学説」という論文を発表したことにより、「人の体や心への外からの刺激」の意味で使われるようになりました。
ストレスを引き起こす外部からの刺激を「ストレス要因」、それによって心身に生じたゆがみ・元に戻ろうとする反応のことを「ストレス反応」といいます。
このイラストでは、指による圧力がストレス要因、ひよこのほっぺたが凹んでいる状態がストレス反応に該当しますね。
ニワトリ:何の罪もないひよこにひどいことしやがる…
主なストレス要因
ペンギン上司:ストレス要因にはどんなものがあるんですか?
ハシビロ先生:ストレス要因は大きく分けると、物理的ストレス要因、化学的ストレス要因、心理・社会的ストレス要因に分けることができます。
・「物理的ストレス要因」=暑さや寒さ、騒音や振動、混雑など
・「化学的ストレス要因」=公害物質や薬物、酸素欠乏・過剰、一酸化炭素など
・「心理・社会的ストレス要因」=人間関係や仕事上の問題、家庭の問題など
一般的に、「ストレス」と呼ばれるものは心理・社会的ストレス要因を指すことが多いです。
ニワトリ:暑さや寒さ、公害物質も「ストレス」なんだな…。
ストレス反応
ハシビロ先生:ストレス反応はストレス要因によって引き起こされる心身の反応ですが、心理的反応・身体的反応・行動化の三つに分けることができます。
それぞれ具体的な例を挙げましょう。心理的反応は、活気の低下・おっくう感・イライラ感・不安感・落ち込みなどです。
身体的反応では、肩こり・頭痛・めまい・だるさ・動悸・下痢、便秘などが見られます。
行動化は、酒が増える・タバコの本数が増える・食べすぎる、食べなくなる・買い物しすぎる・ギャンブルにのめりこむなどの反応が該当します。
ペンギン上司:おれのお酒の量が増えたのはストレスが原因だった…!?
ハシビロ先生:ん~、原因の一つかもしれませんね。
もし不安であれば、一度時間をとって産業医面談をしてみましょうか?
ニワトリ:(優しい…!前任のポンコツ産業医とは大違いだ…。)
個人・職場のストレス対策
ニワトリ:ストレスをためないようにするにはどうすればいいんでしょうか?
ハシビロ先生:いい質問ですね。
個人でできることとして、まずはストレスに気づくことが大切です。その方法の一つとして、ストレスチェックがあります。
ストレスチェックの結果には、自分に影響を及ぼしているストレス要因や、現在自分に起こっているストレス反応などについてこまかく書かれています。
厚生労働省のポータルサイト「こころの耳」には、5分でできるストレスチェックが用意されています。ストレスチェックを参考にして自身のストレスについて把握しましょう。
他にも、ストレスへの対処法として「三つのR」というものがあります。
ニワトリ:三つのR…。リデュース、リユース、リサイクル…みたいな?
ハシビロ先生:それも三つのRですが、今回は違います。(笑)
ストレス対処法の三つのRは、Rest(休息)、Recreation(気晴らし・娯楽)、Relax(くつろぎ)の頭文字をとったものです。
具体的には、睡眠をしっかりとる、運動や趣味など仕事以外で没頭できることをする、瞑想や音楽鑑賞などをするなどがいいでしょう。
ペンギン上司:ストレスに対して、職場でなにか対策できることはありますか?
ハシビロ先生:会社でできることとして、社内・外に相談窓口を置くのはいかがでしょうか。
例えば、職場で産業医や特定のメンバーを相談窓口として設定し、周知をすることが望ましいです。
また、外部の相談窓口として電話やメールで匿名相談ができるサービスを活用している企業もあります。
ペンギン上司:相談窓口か…。そういえば決めてなかったな。じゃあおれが職場の悩みの相談窓口として正式に立候補しよう!
ニワトリ:いやいや!ペンギン上司は外出で社内にいないことも多いですし…。フラミンゴさんとかどうですかね?優しいし面倒見がいいですから!(…正直、ペンギン上司が相談役になっても相談なんかできねぇ)
ペンギン上司:そうか…それもそうだな。そうしようか。(残念そうな表情)
★「やさしい衛生講話」は原則月1回のペースで連載予定です。
イラスト/とりのささみ。 (@torinosashimi) ・ 文/サンポナビ編集部
参考)
こころの耳 - うさぎ商事の休憩室〜みんなで知りたいメンタルヘルス~
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