はじめての産休・育休? 健康経営マンガ:ねぎま産業(株)第15回
「健康経営を目指し始めて1周年。思い返せば色々やったなぁ…」と感慨にふける会社があった。――その会社の名は、ねぎま産業株式会社。
健康経営がんばるつもりはある、だけどちょっとずれている。そんな働くトリたちの奮闘記。
今回のテーマは「産休・育休」。
第15回 はじめての産休・育休
健康経営を始めて1周年のねぎま産業(株)。
1年前は残業時間80時間超え、労働環境最悪だった弊社。もともと男性社員が多かったが、労働環境が改善したおかげか最近女性社員が増えてきた。
「やっと弊社も働きやすい職場になったんだな…!(感涙)」
なんて思っていたのに…。
これまで全員寿退社…!?
長時間労働に耐え切れず、結婚を理由に辞めていったんだろうか…。
確かに昔は寿退社も多かっただろうけど、いつまでも昭和初期のままではいられない。
そもそも弊社ができたのは平成になってからだけどな!
健康企業を目指す前に、まずは産休・育休の社内ルールを整えなければ…!
※産休は労働基準法、育休は育児・介護休業法によりそれぞれ規定されているため、企業に前例がない・制度が整備されていない場合でも取得することができます。
また、法律により、企業は妊娠や出産・育児などを理由に解雇や退職強要などをすることは禁止されています。
産休・育休は、企業によって法律上の定めよりも充実した制度を設けている場合があります。ここでは、法律上の定めについて紹介します。
今日の人事労務キーワード:「産休・育休」
産休(産前・産後休業)とは?
労働基準法により、企業は原則として①女性労働者から請求があった場合は、産前の6週間(多胎妊娠の場合は14週間)②請求の有無にかかわらず、産後の8週間―は就業させることはできません。産休とは、この産前・産後の休業を合わせたものを指します。産休は、労働基準法上パート・アルバイトを含むすべての労働者が取得可能です。
ただし、産後休業については、産後6週間以降で本人の希望があれば、医師が支障がないと認めた業務に就業させることができます。
(※編集部注 医師が、心身の健康状態や業務内容、働く環境などを総合的に判断します)
また、1歳に満たない子を育てている女性労働者は、授乳などのための時間である「育児時間」を通常の休憩時間のほかに1日2回、それぞれ少なくとも30分間請求することができます。
産休中、労働者は「出産手当金」を受け取ることができます。出産手当金は、健康保険から休業前の給料の3分の2が支払われます。
出産手当金については、全国健康保険協会の「出産で会社を休んだとき(出産手当金)」もチェックしてみてください。
産休って正社員じゃなくても取れるのか。
育休(育児休業)とは?
育休の対象は、原則、1歳未満の子を養育する日雇い以外の労働者です。男女問わず取得が可能です。
有期雇用の場合は、育休の申請時までに同一の事業主(会社など)に1年以上雇用されており、かつ、子の1歳6ヵ月の誕生日になるまでに雇用契約がなくなることが決まっていない場合は育児休業を取ることができます。
しかし、
①雇用された期間が1年未満である
②育休の申し出から1年以内に雇用契約が終了する
③1週間の所定労働時間が2日以下である
場合は労使協定で育休取得の対象外とされているケースがあるので、会社に確認する必要があります。
ただし、保育園が見つからない、もしくは養育予定だったもう一人の親が死亡または疾患などにより養育が困難な場合は、特例として1歳6ヵ月になるまで延長が可能です。
また、2017年10月の育児・介護休業法改正により、子が1歳6ヵ月の時点で預け先が見つからなかった場合はさらに2歳まで育休が取得可能になりました。
この改正で、企業は育児休業制度の周知・育児目的休暇の導入促進の二つの努力義務を課されました。
育休中は、雇用保険から支払われる「育児休業給付金」という制度があります。
育休中、企業からの給料がない場合、休業開始時から6ヵ月までは休業前の給料の67 %(それ以降は50%)が育児休業給付金として支払われます。
企業から休業前の給料の13%(6ヵ月以降は30%)を超え、80%に達しない額を受け取っている場合は、休業前の給料の80%から育休中の給料を差し引いた額が育児休業給付金です。
休業前の80%以上の給料がある場合は、育児休業給付金はありません。
くわしくは、厚生労働省「育児休業や介護休業をする方を経済的に支援します」が参考になります。
保育園入れないと大変だもんな…。
男性の育休取得を推進する制度
共働き世帯の増加に伴い、改正育児・介護休業法で、「パパママ育休プラス制度」「パパ休暇」など男性の育休取得を推進する制度が整備されました。
パパママ育休プラス制度は、父母それぞれが育休を取得する場合、子どもが1歳2ヵ月になるまでの間に父母それぞれが最大1年間育休を取得できる制度です。従来の制度では、育休は子が1歳になるまでですが、両親が取得することで1歳2ヵ月になるまで取得することができます。
また、育休を取得できるのは「父母それぞれが子一人につき1回まで」が原則となっています。
「パパ休暇」は、女性の出産後8週間以内(産後休業期間)に、父親が育休を取得した場合、その後特別な事情がなくても父親が2回目の育休を取得できる制度です。
企業にパパ休暇を普及させるための制度として、パパ休暇を取得した男性労働者がいる企業には「両立支援等助成金」があります。
▼育児・介護休業法の改正についてはこちらもチェック
厚生労働省「育児・介護休業法について」
全国のお父さん頑張れ…!
産休・育休については、内閣府男女共同参画局の女性応援ポータルサイトも参考にしてみてください。
(by サンポナビ編集部)
マンガ作者プロフィール:とりのささみ。
イラストレーター、デザイナー。
地方から上京しブラック企業に入社、転職に失敗して仕方なくフリーランスをやっている内になんだか楽しくなり、今に至る。ブラックジョークをオブラートに包むイラストが得意。
とりのささみ。 (@torinosashimi) | Twitter
参考)
厚生労働省「改正育児・介護休業法のポイント~平成29年10月1日施行~」
厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」
厚生労働省「父親の仕事と育児両立読本~ワーク・ライフ・バランス ガイド~」
内閣府男女共同参画局「男性の家事・子育てへの参画促進」
厚生労働省職業安定局「雇用継続給付『育児休業給付について』」
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▼この記事は「健康経営マンガ:ねぎま産業(株)」の第15回です。
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