月80時間で「過労死ライン」リモートワークだからこそ注意したい過重労働

毎年11月は「過労死防止啓発月間」です。

2020年は新型コロナウイルスの流行によって働き方にも大きな変革があり、リモートワークでの過重労働対策も課題になっています。

過労死を防ぐために個人・企業が知っておきたいことをまとめました。

目次[非表示]

  1. 1.「過労死」の現状と定義を知る
    1. 1.1.過労死にまつわる現状-労災請求件数は増えている
    2. 1.2.そもそも「過労死」とは何か―厚生労働省の定義
  2. 2.80時間以上は要注意!「過労死ライン」とその対策
    1. 2.1.残業は何時間で「過労死ライン」?
    2. 2.2.過労死の防止に効果的な対策とは?
  3. 3.コロナ禍の過労死防止対策。専門家の活用を
    1. 3.1.リモートワークで「隠れ長時間労働」が増えている?
    2. 3.2.過労死を防ぐために、専門家を活用する


「過労死」の現状と定義を知る


過労死にまつわる現状-労災請求件数は増えている

厚生労働省の公表(※)によると、過労死等に関連した2019年度の労災請求の件数は2,996件で、2018年度に比べ299件増加し、支給決定の件数も増えました。

また、158件(2018年度)だった死亡件数は、174件(2019年度)に増加しています。

過労死の発生は、働く方やその周囲の人だけでなく企業にも大きなダメージがあります。

※出典:厚生労働省「令和元年度版 過労死等の労災補償状況」


そもそも「過労死」とは何か―厚生労働省の定義

過労死とは、仕事上の過重な負荷による脳血管疾患による死亡。

あるいは、仕事における強い心理的な負荷による精神障害を原因として自殺・死亡(過労自殺)してしまうことといわれています。

つまり、仕事が原因で死亡(あるいは自殺)してしまうことを指します。

なお、厚生労働省では「過労死等の定義」を次のように定めています。

●過労死等の定義

・業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡

・業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡

・死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害

出典:厚生労働省リーフレット「過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ」


80時間以上は要注意!「過労死ライン」とその対策


残業は何時間で「過労死ライン」?

長時間労働は過労死の最も重要な要因と考えられています。

長時間にわたる残業が常態化している。休日を返上して働いている従業員が多い。

このようなケースがある企業では特に注意が必要になります。

脳血管疾患の労災認定基準では「(発症前1か月間ないし6か月間にわたって)1か月間あたりの時間外労働がおおむね45時間を超え、時間外労働の時間が長くなるほど、業務と発症の関連性が徐々に強まると評価される」としているからです。

そして「業務と発症の関連性が強い」と評価されるのが、いわゆる「過労死ライン」と呼ばれるもので「(発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月月間ないし6か月間にわたって)1か月間あたりの時間外労働がおおむね80時間を超える労働が認められる場合」と定められています。

長時間労働と健康被害のリスク関係については以下の図で確認しておきましょう。


図の出典:厚生労働省リーフレット「過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ」


過労死の防止に効果的な対策とは?

長時間労働・過重労働を減らすことが、過労死防止の対策につながります。

そこでまず大切になるのが、従業員の労働時間を適正に把握すること。

そして、働き方を見直し、ワーク・ライフ・バランスを実現することが求められています。

対策方法としては、国も推進している「勤務間インターバル制度」を導入することが挙げられます。

●「勤務間インターバル」の解説記事

  勤務間インターバル制度、運用の注意点は? 導入のメリット、有効な活用方法や注意点について紹介します。 エムステージ 産業保健サポート


また、精神障害の対策には職場のハラスメントを防止することも重要になります。

いわゆる「パワハラ防止法」は2020年の6月からスタートしていますので、確認しておきましょう

●「パワハラ防止法」の解説記事

  【義務化にどう対応する?】人事向け「パワハラ防止法」罰則・就業規則のポイント (2020年6月2日最終更新)2020年6月にスタートした「パワハラ防止法」をやさしく解説。この記事では経営者・人事担当者が知っておきたいパワハラの定義や法律に対応するための実務ポイントを解説しています。 エムステージ 産業保健サポート


コロナ禍の過労死防止対策。専門家の活用を


リモートワークで「隠れ長時間労働」が増えている?

2020年は新型コロナウイルスの流行により、リモートワークの普及が進みました。

在宅勤務による業務の効率性に注目が集まっていますが、一方水面下では「子どもが寝てからじゃないと仕事ができない」や「コミュニケーションに時間がかかり、スムーズに仕事ができない」という悩みもあるようです。

リモートワークでは、働く人個人だけでなく、企業もこうした「隠れ長時間労働」に注意を払うことが重要です。

労務管理ツールやストレスチェックを活用し、いち早く従業員の変化に気づくことが大切になります。


過労死を防ぐために、専門家を活用する

自分が「過労死ライン」を超える可能性がある。あるいは、過重労働が心配される従業員がいる―そうした場合には、専門家へ相談することが大切になります。

過重労働に関する相談窓口は、国や民間の団体が運営しているものが多数ありますので、ぜひ活用でください。

また、会社で産業医などの産業保健スタッフを選任している場合には、心強い相談先になるはずです。

こうした資源を有効活用して、過労死・過重労働の対策を行いましょう。


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