2021年:労災認定基準が改正「過労死ライン」に企業はどう対応する?

最終更新日:2021年9月17日

2021年9月、労災認定の基準が約20年ぶりに改正され、いわゆる「過労死ライン」の見直しが行われました。

2020年は新型コロナウイルスの流行によって働き方にも大きな変革があり、リモートワークでの過重労働対策も課題になっています。

過労死を防ぐために個人・企業が知っておきたいことをまとめました。

目次[非表示]

  1. 1.「過労死」の現状と定義を知る
    1. 1.1.過労死にまつわる現状
    2. 1.2.そもそも「過労死」とは何か―厚生労働省の定義
  2. 2.2021年の新基準は?「過労死ライン」とその対策
    1. 2.1.残業は何時間で「過労死ライン」?
    2. 2.2.2021年9月改正:労災認定の新基準
    3. 2.3.新基準における「過労死ライン」労働時間だけでは判断されない
    4. 2.4.勤務間インターバル制度の適切な運用を
    5. 2.5.●「勤務間インターバル」の解説記事
  3. 3.コロナ禍の過労死防止対策。専門家の活用を
    1. 3.1.リモートワークで「隠れ長時間労働」が増えている?
    2. 3.2.過労死を防ぐために、専門家を活用する


「過労死」の現状と定義を知る

過労死にまつわる現状

厚生労働省の公表(※)によると、過労死等に関連した2020年度の労災請求の件数は2,835件で、2019年度に比べ161件減少しています。

しかし、支給決定は802件と、依然として多くの労災が発生している現状があります。

また、過労死等に関する死亡(自殺含む)の件数は148件(2020年度)発生しており、企業における対策が喫緊の課題となっています。

過労死の発生は、働く方やその周囲の人だけでなく企業にも大きなダメージがありますので、適切な対策を講じてください。

※出典:厚生労働省「令和2年度版 過労死等の労災補償状況」


そもそも「過労死」とは何か―厚生労働省の定義

過労死とは、仕事上の過重な負荷による脳血管疾患による死亡。

あるいは、仕事における強い心理的な負荷による精神障害を原因として自殺・死亡(過労自殺)してしまうことといわれています。

つまり、仕事が原因で死亡(あるいは自殺)してしまうことを指します。

なお、厚生労働省では「過労死等の定義」を次のように定めています。

●過労死等の定義

・業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡

・業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡

・死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害

出典:厚生労働省リーフレット「過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ」


2021年の新基準は?「過労死ライン」とその対策

残業は何時間で「過労死ライン」?

長時間労働は過労死の最も重要な要因と考えられています。

長時間にわたる残業が常態化している。休日を返上して働いている従業員が多い。

このようなケースがある企業では特に注意が必要になりますので、いわゆる「過労死ライン」として考えられてきた労働時間数をまずは知っておきましょう。

旧来の脳血管疾患の労災認定基準では「(発症前1か月間ないし6か月間にわたって)1か月間あたりの時間外労働がおおむね45時間を超え、時間外労働の時間が長くなるほど、業務と発症の関連性が徐々に強まると評価される」とされていました。

そして「業務と発症の関連性が強い」と評価されるのが、いわゆる「過労死ライン」と呼ばれるもので「(発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月月間ないし6か月間にわたって)1か月間あたりの時間外労働がおおむね80時間を超える労働が認められる場合」と定められています。

長時間労働と健康被害のリスク関係については以下の図で確認しておきましょう。

図の出典:厚生労働省リーフレット「過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ」


2021年9月改正:労災認定の新基準


2021年9月に改正された脳・心臓疾患の労災認定、新しい基準では、以下がポイントとされていますので確認しておきましょう。

<脳・心臓疾患:労災認定基準の要点>

■長期間の過重業務の評価に当たり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化

■長期間の過重業務、短期間の過重業務の労働時間以外の負荷要因を見直し

■短期間の過重業務、異常な出来事の業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化

■対象疾病に「重篤な心不全」を追加

出典:厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定基準を改正しました」


新基準における「過労死ライン」労働時間だけでは判断されない

改正された労災認定の基準では、単純に労働時間数のみで過重労働を評価するわけではなく、他の要因も含めることが挙げられています。

前述した「過労死ライン」の労働時間数を超過していない場合でも、その水準に近い時間数の労働であること、そして、一定の労働時間以外の負荷がある場合では、業務と発症との関連が強いと評価されます。

例えば、勤務間のインターバルとして、終業から次の始業までの時間数が11時間未満である場合や、勤務が連続しているケース、身体的な負荷といった要因がありますので、労災認定の新基準について確認しておくことをおすすめします。

厚生労働省「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の 認定基準について」


勤務間インターバル制度の適切な運用を

長時間労働・過重労働を減らすことが、過労死防止の対策につながります。

そこでまず大切になるのが、従業員の労働時間を適正に把握すること。

そして、働き方を見直し、ワーク・ライフ・バランスを実現することが求められています。

対策方法としては「勤務間インターバル制度」を適切に導入・運用することが大切です。


●「勤務間インターバル」の解説記事

  勤務間インターバル制度、運用の注意点は? 導入のメリット、有効な活用方法や注意点について紹介します。 エムステージ 産業保健サポート


また、精神障害の対策には職場のハラスメントを防止することも重要になります。

いわゆる「パワハラ防止法」は2020年の6月からスタートしていますので、確認しておきましょう

●「パワハラ防止法」の解説記事

  【義務化にどう対応する?】人事向け「パワハラ防止法」罰則・就業規則のポイント (2020年6月2日最終更新)2020年6月にスタートした「パワハラ防止法」をやさしく解説。この記事では経営者・人事担当者が知っておきたいパワハラの定義や法律に対応するための実務ポイントを解説しています。 エムステージ 産業保健サポート


コロナ禍の過労死防止対策。専門家の活用を

リモートワークで「隠れ長時間労働」が増えている?

2020年は新型コロナウイルスの流行により、リモートワークの普及が進みました。

在宅勤務による業務の効率性に注目が集まっていますが、一方水面下では「子どもが寝てからじゃないと仕事ができない」や「コミュニケーションに時間がかかり、スムーズに仕事ができない」という悩みもあるようです。

リモートワークでは、働く人個人だけでなく、企業もこうした「隠れ長時間労働」に注意を払うことが重要です。

労務管理ツールやストレスチェックを活用し、いち早く従業員の変化に気づくことが大切になります。


過労死を防ぐために、専門家を活用する

自分が「過労死ライン」を超える可能性がある。あるいは、過重労働が心配される従業員がいる―そうした場合には、専門家へ相談することが大切になります。

過重労働に関する相談窓口は、国や民間の団体が運営しているものが多数ありますので、ぜひ活用でください。

また、会社で産業医などの産業保健スタッフを選任している場合には、心強い相談先になるはずです。

こうした資源を有効活用して、過労死・過重労働の対策を行いましょう。

​​​​​​​


■関連記事■

  〈精神科医に聞いた〉企業と産業医はテレワーク社員の「コロナ鬱」をどうケアすべきか 新型コロナウイルスの感染拡大によりテレワーク(在宅勤務)の数も急増。「コロナ鬱」が流行し、海外では家庭内暴力が増加しているようです。ストレスとの上手な付き合い方、企業や産業医の対応について、精神科医の吉野聡先生にお話をうかがいました。 エムステージ 産業保健サポート
サンポナビ編集部

サンポナビ編集部

企業の産業保健を応援する『サンポナビ』編集部です。産業医サポートサービスを提供している株式会社エムステージが運営しています。 産業医をお探しの企業様、ストレスチェック後の高ストレス者面接でお困りの企業様は、ぜひお問い合わせボタンからご相談ください。

\導入数1,700件超!/エムステージの産業保健サービス

◇産業医紹介/選任後サポートはエムステージにお任せください【従業員50人以上の事業所必須】 ◇

サービス料金 初期費用0円&月額3万円~【業界最安値水準】

2か月に1回・60分の業務頻度で月額3万円のプランからご検討可能です。実際の月額費用は、業務時間・業務頻度・候補産業医の経験・対象事業場所在地等により変動します。貴社にマッチするプランを各種ご提案可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

産業医紹介で終わらない 業界最高水準のサポート体制/専任カスタマーサポート

専任カスタマーサポートによる実務相談、衛生委員会の運営支援、業務内容の事前調整や日程調整、様々な資料やフォーマットの提供、産業保健業務管理クラウドの提供等、産業医の紹介後も充実のサポートでご担当者の業務負担を大幅に軽減いたします。

サービス導入実績 全国700企業・1,700事業所以上/大手から中小企業まで

従業員数1,000人以上の大手企業から、50人未満の中小企業まで幅広くご活用いただいています。登録産業医10,000名以上&全国7拠点のネットワークで、日本全国で産業医をご紹介可能です。また、100事業所以上の産業医を同時選任した実績もございます。

関連記事


急増するテレワーク社員の労務管理~メンタルヘルス、長時間労働対策のポイント

【社労士に「テレワーク」のポイントを聞いてみました】新型コロナウイルス感染症の拡大によりテレワークを導入する企業が急増中。働き方を変化させる時には適切な労務管理を行わないと大きなトラブルにつながる恐れがあります。注意点について確認しましょう。

テレワークガイドライン改定~厚労省のチェックリストを活用して作業環境管理を~

テレワークガイドラインの改定、事業者向け「テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト」と、従業員向け「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト」のポイントを解説します。

「安全配慮義務違反」と「予見可能性」企業が対応するためのポイント解説

企業には、従業員の安全と健康をまもるための「安全配慮義務」があります。安全配慮義務を違反することは、労災やメンタルヘルス不調を引き起こす原因になり、最悪の場合には過労死などにも繋がってしまいます。管理監督者や人事が取り組むべきポイントについて紹介します。

◇外部相談窓口の設置◇
社員のメンタル不調の防止だけでなく、健康増進による生産性の向上で企業の業績改善に!

◇メンタルヘルス研修の実施◇
専門家による質が高い研修を実施!集合研修、オンライン研修、動画研修と幅広くご対応可能

\1回ごとに産業保健業務を委託可能なサービス《スポット産業医紹介》/


◇メンタルヘルスの法令対応はお済みですか?◇

《従業員50人以上の事業所》 労働安全衛生法への対応はお済みですか?

衛生管理者の選任や産業医の選任、衛生委員会の設置、ストレスチェックの実施、定期健康診断結果報告書の提出が必要になります。法令対応のサービスはこちらから。

中小企業へのパワハラ防止法施行予定《2022年4月》職場のハラスメント対策が必要!

2022年4月に中小企業にパワハラ対策が義務化!※大企業はすでに義務化済み。外部相談窓口の設置やハラスメント研修で対策可能です。

\\導入企業700社・事業所1,700以上の導入実績!大手から中小企業まで幅広くご活用//

◆TOP5◆

いま最も読まれている記事



産業医のオススメ記事

業保健おすすめサービス


◆TOP5◆

ダウンロード数の多い資料



業保健のオススメ資料


新型コロナウイルス感染症対策の資料(産業保健師監修)<企業向け>
企業においては、感染予防に関する正しい知識を衛生委員会で共有し、従業員に啓発することが求められます。「産業保健担当者向け資料」と「衛生講話資料」、そして基本的な感染症対策についてまとめた「衛生講話サマリー」(社内掲示用)、「COVID-19のワクチンについて」の4つをご用意しました。

▷無料でダウンロード


生委員会のオススメ記事


令対応のサービスを提供


部相談窓口設置で専門家に相談可能/企業向けサービス


ンタルヘルス研修で従業員の不調を未然に防ぐ


「メンタル不調の社員が増加している」「産業保健業務が多すぎて、産業医の対応時間内に収まらない」という悩みはございませんか?
そんなときは「産業保健師の選任」がオススメです!産業保健師が社内にいると、保健指導や健康相談、健診前後サポート、フォロー面談等が実現可能です。\産業医との同時活用で、充実の産業保健体制に!/

▶産業保健師の紹介/選任サービス


〒141-6005 東京都品川区大崎2-1-1 ThinkPark Tower5F

☎03-6697-1660
(9:00~18:00 土日祝を除く)