【義務化にどう対応する?】「パワハラ防止法」定義・罰則・就業規則のポイント

(最終更新日:2020年1月24日)

ニュースなどで「ハラスメント」という文字を目にしない日は無くなり、ハラスメントへの注目が高まっていることがわかります。

そして、2020年6月には、ついにパワーハラスメントの防止に関する法律が施行されます。

では、施行される「パワハラ防止法」とはどのようなものでしょうか。そして、何をしたらパワハラに該当するのでしょうか。

ここでは「パワハラ防止法」で注意すべき点と、企業で対応する際のポイントについて解説していきます。

目次[非表示]

  1. 1.【いつから施行?】「パワハラ防止法」の施行日と義務・罰則の内容とは
    1. 1.1.「パワハラ防止法」はいつから施行される?罰則は?
    2. 1.2.企業が講じなければならない「義務」とは?
  2. 2.パワハラ防止法の指針から読む「定義(類型)」と「境界線」
    1. 2.1.職場における「パワーハラスメント」の定義って?
    2. 2.2.2019年11月「パワハラ防止法」の指針で示された「境界線」とは?
  3. 3.「パワハラ防止」を就業規則等で定め、人間関係にも注意する
    1. 3.1.職場のパワハラ対策、改正法に対応するには何から始めればいい?
    2. 3.2.パワハラの発生状況など、自社の人間関係を知る

【いつから施行?】「パワハラ防止法」の施行日と義務・罰則の内容とは

「パワハラ防止法」はいつから施行される?罰則は?

2019年5月、職場における「いじめ・嫌がらせ」を防止するための「パワハラ防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)」が成立しました。

企業(使用者)に課せられた義務は「雇用管理上必要な措置を講じること」。そして、このパワハラ防止法が施行されるのが2020年6月(中小企業は2022年4月)です。

パワハラ防止法に違反した際の罰則は設けられていないのですが、場合によっては「勧告」「指導」の対象となってしまうため注意が必要です。

また、当然のことながら使用者は「安全配慮義務」を負っていますので「パワハラの実態を知っていたが放置していた」などということになれば、民法上の不法行為責任(※)に問われる可能性もあります。

パワーハラスメントの定義や社内での対応について見ていきましょう。

※民法第709条、第715条

企業が講じなければならない「義務」とは?

企業に課せられた義務は「雇用管理上必要な措置を講じること」(同法第30条)とされています。

では、具体的な「措置」とはどのようなものでしょうか?

2019年11月に示された「職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針」では、以下の1~4を事業主の義務としています。

  1. 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
  2. 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
  3. 職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
  4. 1~3までの措置と合わせて、相談者・行為者等のプライバシーを保護すること、その旨を労働者に対して周知すること、パワハラの相談を理由とする不利益取扱いの禁止

つまり、パワハラに対する社内方針の明確化と周知・啓発相談体制の整備、被害を受けた労働者へのケアや再発防止について、適切な措置を取ることが求められているのです。


パワハラ防止法の指針から読む「定義(類型)」と「境界線」

職場における「パワーハラスメント」の定義って?

パワハラを防止するためには「どんな行為がパワハラに該当するのか」について知っておく必要があります。

パワハラの定義は「優越的な関係を背景とした」「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により」「就業環境を害すること」とされています。

しかし、これだけではなく「パワーハラスメントの6類型」として、以下1~6のように、具体的な行為を分類し、法で定めているのです。

1.身体的な攻撃(暴行・傷害)

2.精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)

3.人間関係の切り離し(隔離・仲間外し・無視)

4.過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行可能なことの強制、仕事の妨害)

5.過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)

6.個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

※注意:1~6がすべての類型を網羅しているわけではありません。

2019年11月「パワハラ防止法」の指針で示された「境界線」とは?

どこまでが「業務上の指導」で、どこからが「パワーハラスメント」となるのか、使用者や管理職の方たちは知っておくことが重要です。

そこで、2019年11月に「職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針」が示されました。

その指針の中で、パワハラの境界線について、さらに具体的な例を明示しています(以下の図を参照)。

この例示については様々な意見が交わされていますが「これに該当しないからパワハラにはならない」ということにはなりませんので、十分に注意すべきです。


「パワハラ防止」を就業規則等で定め、人間関係にも注意する

職場のパワハラ対策、改正法に対応するには何から始めればいい?

職場におけるパワハラ対策のためにまず取り組むべきことは「企業がパワハラ対策を講じていること」を従業員に明言することです。

それと同時に、以下の点を就業規則(あるいは「ハラスメント規程」など)に盛り込むことが求められています。

すでにセクシュアルハラスメントの服務規律がある場合にはその規律に盛り込む形でもよいでしょう。

●パワーハラスメントの定義

・行為の禁止

・懲戒

・相談、苦情への対応

※注意点:就業規則を改訂する際は必ず労使間で意見交換を行うこと。

そして「ハラスメント防止」の規程を就業規則に盛り込んだら、従業員への説明会や文書の配布なども忘れずに行い、周知を徹底します。

なお、厚生労働省が運営する「あかるい職場応援団」では、就業規則の策定モデルを公開していますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

また「あかるい職場応援団」には労働者からの相談を受け付ける窓口も開設されていますので、働く方にとっても心強い味方になるでしょう。

出典:あかるい職場応援団「パワハラ対策7つのメニュー〈ルールを決める〉

パワハラの発生状況など、自社の人間関係を知る

企業がすべきことは、安全配慮義務をしっかり守ることといえます。

具体的には、前述した「就業規則等でハラスメントについて規定する」のほか「相談窓口の開設」や「相談者の不利益取扱いを行わない」ことが挙げられます。

このほかにも、日頃から従業員の行動に注目することも大切です。

例として「勤怠の様子がおかしい従業員がいないかどうか」「声を荒げている管理職などがいないかどうか」といった部分に気をつけます。

そして、ストレスチェックの結果などとも照らし合わせ、必要に応じて産業医と連携したフォローを行っていくことも有効でしょう。

また、労働者もハラスメントについて関心を持ち、理解を深めることが重要です。普段の言動や行動には注意を払い、事業主が行う措置への協力に努めることが大切です。


いかがでしたでしょうか。

過度なハラスメントによって、従業員が精神障害の労災認定を受けてしまったら……従業員はもちろん、企業にも大きなダメージを受けることになってしまいます。

ついに法律で定められた「パワハラ」について、しっかりと対策していきましょう。

参考:厚生労働省リーフレット「パワーハラスメントが義務化されます


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㈱エムステージ「産業医サポートサービス」のサイトにリンクします。



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