何時間あければOK?「勤務間インターバル制度」運用のポイントと注意点

最終更新日:2021年4月1日

2019年の4月から導入が企業の努力義務となった「勤務間インターバル」は、長時間労働対策や従業員のワークライフバランス向上の有効的な手段として注目を浴びています。

勤務間インターバル制度導入のメリットをはじめ、有効な活用方法や注意点について紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.「勤務間インターバル」とは?導入のメリット
    1. 1.1.勤務間インターバルとは、休息確保を目指した制度
    2. 1.2.勤務間インターバルを導入することのメリット
  2. 2.勤務間インターバル運用のステップ~何時間に設定?就業規則は?
    1. 2.1.〈ステップ1〉従業員が実際に働いている時間を知る
    2. 2.2.〈ステップ2〉「インターバルの時間設定」と「就業規則の見直し」
  3. 3. 勤務間インターバルの注意点:運用の際に陥りがちなケース
    1. 3.1.注意点①:勤務間インターバル導入によって残業の悪循環が発生してしまうケース
    2. 3.2.注意点②:インターバルの時間を守らずに勤務する従業員がいるケース
  4. 4. 勤務間インターバルのスムーズな運用に助成金や産業医の活用を
    1. 4.1.厚生労働省の助成金を活用する
    2. 4.2.産業医と連携して従業員に働きかける


「勤務間インターバル」とは?導入のメリット

勤務間インターバルとは、休息確保を目指した制度

「勤務間インターバル」とは、その名の通り、当日の勤務と翌日の勤務の間にインターバル(連続休息時間)を確保するための制度。

一定以上の休息時間を設けることで、働く人の睡眠時間や生活時間を確保し、働く人のワークライフバランスの向上を目指すものです。

勤務間インターバルは、EUの企業で運用されてきた制度であり、日本では新しい長時間労働対策として注目され、導入する企業も増えてきています。


勤務間インターバルを導入することのメリット

長時間の残業が常態化している企業が勤務間インターバルを導入する一番大きなメリットは、従業員のワークライフバランス向上につながることです。

また、適切な休息時間をとることによって集中力がアップし、生産性の向上も見込めるだけでなく、対外的な効果としては、健康意識の高さや取組が評価されることによって人材の確保や定着にも期待ができます。



勤務間インターバル運用のステップ~何時間に設定?就業規則は?

〈ステップ1〉従業員が実際に働いている時間を知る

勤務間インターバル制度導入の第1ステップは「労働時間の実態の把握」です。

まずは、従業員の労働時間を確認し、自社で運用が可能かどうかを検討します。ここで大切なのが労働時間の「実態」を把握することです。これには正確な勤怠管理が求められます。

よって、従業員が「タイムカード上では退勤しているけれど実際は残って仕事をしている」といった実態がある場合には注意が必要です。


〈ステップ2〉「インターバルの時間設定」と「就業規則の見直し」

次のステップで必要となるのが「インターバルの時間設定」と「就業規則の見直し」です。

インターバルを何時間に設定すべきかお悩みの企業も多いかと思いますが、厚生労働省によれば、確保するインターバルの時間は「8時間~12時間」としており、各企業の工夫に委ねる形をとっています。

また、勤務間インターバル導入時の就業規則の整備の際には、主に以下1~3について定めるとよいとされています。

  1. 休息時間と翌日の所定労働時間が重複する部分を労働とみなす場合の規定
  2. 始業時刻を繰り下げる場合の規定
  3. 災害その他避けることが出来ない場合に対応するための規定

なお、このほかにも必要に応じて「勤務間インターバルに関する申請手続き」や「勤務時間の取り扱い」などについて、就業規則の整備が求められています。

厚生労働省のホームページには就業規則の規定モデルが掲載されています。参考にされてみてはいかがでしょうか。

厚生労働省「勤務間インターバル就業規則規定例」



 勤務間インターバルの注意点:運用の際に陥りがちなケース


ワークライフバランスの向上のために運用した勤務間インターバル制度が原因で、逆に従業員の健康を害するようなことがあってはなりません。

次のようなケースでは、制度導入の本来の意義から離れてしまう可能性がありますので、対策が求められます。


注意点①:勤務間インターバル導入によって残業の悪循環が発生してしまうケース

例えば、制度を運用することで残業の悪循環を引き起こしてしまうような場合です。

長時間の残業をした後、インターバル確保のため翌日の始業時刻が遅くなり、その影響で時間内に仕事が終わらず翌日も残業……という悪循環になってしまう場合には注意が必要です。

そのような事態を防ぐためには、社会保険労務士などの専門家へ相談し、従業員に対する業務量を見直すことも大切でしょう。


注意点②:インターバルの時間を守らずに勤務する従業員がいるケース

せっかく定めたインターバル制度ですが、業務の都合や従業員個人の特性などから、インターバルの時間を守らない従業員がいるような場合です。

そういったケースでは、長時間労働が健康に与える悪影響や対策について、従業員に知ってもらうための個別対応も求められます。


 勤務間インターバルのスムーズな運用に助成金や産業医の活用を

厚生労働省の助成金を活用する

就業規則の見直しや、外部の専門家に相談する場合には、コストが発生する可能性があります。

そこで、厚生労働省では企業の勤務間インターバル制度導入の後押しをするため、助成金制度を設けています。助成金を活用することで導入のコストを抑えることも可能となります。

助成金の対象となるのは、以下となります。

1労務管理担当者に対する研修

2労働者に対する研修、周知・啓発

3外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング

4就業規則・労使協定等の作成・変更(計画的付与制度の導入など)

5人材確保に向けた取組

6労務管理用ソフトウェアの導入・更新

7労務管理用機器の導入・更新

8デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新

9テレワーク用通信機器の導入・更新

10労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)

また、支給対象となる取組は「成果目標」の達成を目指して実施することが条件となっていますので、条件についてもあわせて確認するようにしましょう。

助成金の詳細については厚生労働省のホームページよりご覧になれます。

厚生労働省「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」


産業医と連携して従業員に働きかける

②のインターバル時間を守らない従業員がいるケースについてです。

業務量の見直し等をした上で、まだ従業員の長時間残業がなくならない、といった場合には、長時間労働が健康に与える悪影響について、本人の理解を得るためにも必要に応じて産業医等との面談も検討します。

従業員個人だけでなく、企業全体で改善に向けて行動し、勤務間インターバルの風土を醸成するとよいでしょう。

勤務間インターバル制度は、上手に運用することで従業員のワークライフバランスの向上が見込めるだけでなく、業務の効率化や企業のイメージアップにもつながります。

助成金の活用や産業医との連携をすすめ、導入を検討してみてはいかがでしょうか。



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