【2021年3月】改定されたテレワーク「新ガイドライン」ポイントと注意点
最終更新日:2021年4月6日
新型コロナウイルスの流行により「テレワーク」が普及しました。
首都圏を中心に発出されていた2度目の緊急事態宣言が解除後、2021年3月25日にはテレワークに関する新しいガイドラインが、厚生労働省より公表されました。
改定されたガイドラインをもとに、テレワークの導入・実施時のポイントと注意点について紹介します。
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2021年3月公表:改定されたテレワーク「新ガイドライン」のポイント
2021年3月、テレワークの「新ガイドライン」が公表された
総務省が公表している「情報通信白書(令和2年版)」によれば、テレワークの導入率は2020年3月に17.2%(※)でした。
しかし、新型コロナウイルスの流行やそれに伴う緊急事態宣言などの影響により、2020年4月には38.8%(※)に上昇しています。
また、2021年1月には2度目の緊急事態宣言も発出され、テレワークを働き方のスタンダードにした企業も登場。
そして2021年3月には、厚生労働省からテレワークに関する新たな方針「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(以下、「新ガイドライン」)が公表されています。
新型コロナウイルス対策としてテレワークを開始した企業も多いようですが、導入にはメリットだけでなく、注意点もあるためしっかり確認しておきましょう。
※緊急事態宣言対象の7都道府県 出典:総務省「令和2年版 情報通信白書」
「新ガイドライン」で示されたテレワーク導入に関するポイント
テレワークの導入には、生産性の向上や感染症の低減など、さまざまなメリットがあります。
テレワークの「新ガイドライン」では、こうしたメリットを生かすため、そして円滑にテレワークを実施するための留意点が示されています。
テレワークの実施については、企業の経営者等がその必要性を理解し、方針を示す必要があります。
テレワークの「新ガイドライン」に示されたポイントをまとめると次のようになっています。
●新ガイドライン:テレワーク導入に関するポイント
- 導入が難しい業種であっても、テレワークの実施を検討すること
- オフィスに出社する労働者に業務が偏らないようにすること
- 非正規雇用等を理由にテレワーク対象者から除外しないこと
- 新入社員等には特にコミュニケーション円滑化の配慮をすること
- 不必要な押印や署名の廃止、書類のペーパーレス化、決済の電子化
改定テレワーク「新ガイドライン」で示された人事評価・費用負担・の注意点
ガイドラインにおける注意点①:テレワーク従業員の適切な人事評価
2021年に公表されたテレワークの「新ガイドライン」では、人事評価・労務管理に関するルールも示されています。
これは、テレワークで働く人と出社して働く人とで評価に差をつけてはならない、というものです。
ですので、例えば「彼は会社に出社して働いているから評価しよう」や「テレワークで働く社員は評価しない」といった人事評価をすることはNGです。
こうした人事評価は、労働者がテレワークを実施する際の妨げになりますので、適切な人事評価を行いましょう。
ガイドラインにおける注意点②:テレワークにかかる費用負担のルール決め
テレワークで働く際には、通信費や電気料金などが発生します。
こうした費用の負担については、企業と従業員が話し合い、状況に応じて就業規則に規定するなどのルール化が必要になります。
その際には、テレワークで働く従業員にとって過度な負担とならないよう、合理的・客観的に費用を算出することがガイドラインにて示されているのです。
また、テレワークで働く従業員の人材育成については、テレワークの有用性を活用し、オンラインによる教育を行うことなど、管理職のマネジメント能力向上に取り組むことも求められています。
改定テレワーク「新ガイドライン」における健康管理のポイント
改定テレワークガイドラインで示された健康管理・安全衛生確保の重要性
会社に出勤して働く従業員も、テレワークで働く従業員も、労働基準法・労働安全衛生法・最低賃金法など、適用される労働関係法令は同じです。
したがって、テレワークで働く従業員であっても、通常の従業員と同様に、適切な健康管理が必要になります。
また、離れて働くことで、上司・部下のコミュニケーションが不足になりがちであるため、テレワークの「新ガイドライン」では、健康相談体制を整備することや、「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト(厚生労働省)」を活用することが推奨されています。
テレワーク時の労災・ハラスメン対策のポイント
テレワーク中であっても、仕事中のケガ・病気は労災保険給付の対象となります。
したがって、テレワークで働く従業員の健康管理は重要であり「新ガイドライン」においても、企業(使用者)が、パソコン等の情報通信機器の使用状況、労災発生時の状況等を正確に把握し、その記録に関し従業員に周知することが求められています。
また、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント等、各種のハラスメントの防止についても、職場における対策と同様に取り組むことがポイントです。
ガイドラインによるテレワーク時の長時間労働対策のポイント
職場で一緒に働いているのであれば、上司が部下の働きすぎに気づくことは容易かもしれません。
しかし、テレワークで働く従業員の労働時間は見えづらいものですので、より注意することがポイントになります。
テレワークの「新ガイドライン」では「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」をもとに、次のような方法で労働時間を把握し、長時間労働の対策に取り組むことが示されています。
●テレワーク時:長時間労働を防ぐポイントの例
- パソコン等(情報通信機器)の使用時間を記録する
- 労働者の自己申告により労働時間を把握する
- 就業時間外のメール、システムのアクセス制限
- 就業時間外に働く場合は、申請等の手続きを行うようにする
- 労使間の合意によって、時間外労働の上限時間数を定める など
●労働時間の把握についてはこちらの記事に詳しく解説があります。
直接対面する時間が少ないテレワーカーにこそ必要な“産業保健”
テレワークで働く従業員とは、直接対面する機会が必然的に減ることになりますので、企業としては心身の健康状態をしっかり把握しておくことが重要です。
そのためにも、定期健康診断やストレスチェックの結果について相談できる産業医・保健師などの産業保健スタッフの存在も欠かせません。
また、テレワークでは、長時間パソコンを使った作業を行うことも多いため。産業医からは「VDT作業(※)」について、衛生講話をしてもらうこともよいでしょう。
※現在「VDT」は「情報周辺機器」という名称に変更されています。
●VDT作業についてはこちらの記事に詳しく書かれています。
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ワークライフバランスが実現しやすい「柔軟な働き方」といわれるテレワーク。
メリットと注意点を理解して、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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