〈カスタマーサポート担当者解説〉産業医のスケジュールや各種業務の目安時間について
これから産業医を選任するにあたって、訪問時間や実施される業務内容が気になる方も多いのではないでしょうか。
今回は、エムステージの産業保健事業部カスタマーサポート部に所属する山下健司さんに、産業医のスケジュールについて詳しくお話を伺いしました。
この記事では、産業医のスケジュールや業務内容について解説します。産業医の選び方についても説明するので、産業医の導入を検討する際は参考にしてください。
企業を訪問した産業医の業務内容とスケジュールについて
まずは産業医の業務内容や産業医が安全衛生委員会に参加する意義について解説していただきました。産業医のモデルスケジュールについてもお伺いしたので、訪問時間の目安を知りたい場合も、ぜひご覧ください。
産業医の主な業務内容について教えてください。
産業医の業務内容には、職場巡視や安全衛生委員会への参加などの定期的に実施するものと、従業員との面談や就業判定などの適宜実施するものがあります。
産業医の業務のなかでも職場巡視は、労働安全衛生規則で定められているので、少なくとも毎月1回(産業医が、事業者から、毎月1回以上、次に掲げる情報の提供を受けている場合であって、事業者の同意を得ているときは、少なくとも2ヶ月に1回)必ず実施しなければなりません。その他の業務については、弊社では安全衛生委員会への参加や従業員との面談も積極的に進めています。
従業員との面談を実施するタイミングは、ストレスチェックで高ストレスと判定され、従業員が面談を希望した場合、企業で定めている長時間労働面接基準を超える対象者がいる場合、休職・復職の場合等が挙げられます。
また健康診断実施後には、労働者が就業を続けることが可能かどうかを判断する、就業判定も実施が必要です。
産業医が安全衛生委員会に参加する意義はどのようなところにあるのでしょうか。
安全衛生委員会に産業医が参加すると、従業員に産業医の認知度が向上し、これまで自分一人で抱えていた悩みの相談がしやすい雰囲気を作れるメリットがあると思います。
特に中小規模の事業所の場合、産業医が安全衛生委員会に参加するだけでも従業員との距離を縮められるので、体の不調について相談しやすくなるのではないでしょうか。
その結果、産業医が積極的に企業の産業保健に関われるようになり、事業所を訪問した際にしっかりと従業員の健康をサポートできる体制が整うと思います。
産業医は1日にどれくらいの時間をかけて事業所を訪問するのですか。
産業医が事業所を訪れる場合の時間は、事業場の従業員数にも左右されますが、1回60分が目安です。弊社が企業の担当者へ説明する際には、このようなモデルスケジュールを示しているので、参考にしてください。
▼産業医訪問のモデルスケジュール
ただしモデルスケジュールはあくまで一般的なものであって、実際には事業所の規模や状況によって訪問時間は大きく異なります。
例えば面積の広い事業所は、全てを巡回するまでに多くの時間が必要ですし、従業員との面談が多い事業所も訪問時間が長くなる傾向にあります。
従業員との面談がある場合、一般的には職場巡視や安全衛生委員会への参加時間を削って、産業医の訪問時間を60分以内に収めることが一般的です。
しかし弊社の場合、職場巡視や安全衛生委員会の時間をしっかり確保するように努めているため、時間を延長したスケジュールをご提案することもあります。
産業医の定期訪問した際のスケジュールの詳細
産業医が定期訪問すると、職場巡視や安全衛生委員会に参加することが一般的です。職場巡視の際には、あらかじめチェックシートを準備して、それをもとに職場内の安全衛生の確認を行います。
ここでは、実際に使用されるチェックシートを示しながら、職場巡視のスケジュールを解説します。安全衛生委員会が開かれる時間の目安についても説明するので、参考にしてください。
産業医が職場巡視をする際のスケジュールについてお伺いしてもよろしいでしょうか。
基本的なスケジュールで説明すると、多くの企業では職場巡視の時間は20分ほどかかります。
しかし工場をはじめとした規模の大きな事業所は、巡視する箇所やチェック項目が多く時間がかかりやすいです。そのため、年度内で職場巡視を分割して行うケースもあります。
弊社では、保健師の助言や厚労省の資料をもとに作成したチェックシートをあらかじめ準備し、それをもとに巡視します。
そのチェックシートをご覧いただけると、職場巡視についてイメージしやすいと思います。
▼職場巡視チェックシート
こちらは、オフィス向けのチェックシートですが、例えば工場を職場巡視する場合は追加で化学物質や騒音などの作業環境面の測定項目が増えます。チェック項目が多いため、工場の職場巡視は時間がかかる傾向があります。
職場巡視チェックシートを事業所で準備していただいている場合は、それをもとに職場巡視を実施することもありますし、弊社にて雛形をご案内する事も可能です。
産業医の安全衛生委員会への参加時間はどれくらいですか?
産業医が安全衛生委員会に参加する時間は、大体30分ほどです。そのなかの10分ほどで衛生講話を実施したり、事業所内で起こっている問題について意見を述べたりします。
弊社では、インフルエンザや熱中症対策などの季節ごとの病気予防について、年間でテーマをまとめ、ご提案することも多いです。
産業医面談のスケジュール
産業医の面談時間は、高ストレス者や復職希望者などの面談を受ける従業員によって時間が異なります。また保健師が産業保健に関わることで、産業医の面談業務を効率化できます。
ここでは、産業医の面談時間の目安や面談業務の効率化について解説します。
従業員と面談する場合の時間の目安について教えてください。
産業医が従業員と面談する場合は、話す内容によって時間もさまざまです。例えば、高ストレス者や長時間労働者への面談時間は概ね30分です。
また復職時の面談は、1時間程度を見込んでいます。内訳は、休職に至った経緯の確認に15分、従業員との面談に30分、面談後のフォローに15分です。
面談には時間がかかるので、産業医の定期訪問で対応できない場合は、別日に臨時の訪問日を設けて対応する場合もあります。
復職時の面談については、定期訪問とタイミングが合わないケースもあるので、復職時に合わせて産業医が訪問することも多いです。
保健師が産業保健に関わると、産業医の業務効率化につながりますか?
そうですね。産業保健師がいると、事前に健康診断やストレスチェックの結果を確認できます。そのため産業医が面談に集中できたり、訪問時間を短縮できたりするので、産業保健業務の効率化が可能です。
また、産業保健師が従業員に面談をすることで、必要に応じて産業医面談へと移行できることも利点だと思います。従業員の不調が悪化する前に産業医面談につなげて、病気を予防できるので非常に有益ではないでしょうか。
加えて、産業保健師は産業医より高頻度で企業を訪問するのが一般的であるため、その点もメリットだと思います。
例えば高ストレス者は、希望する方のみが産業医の面談を受けるのですが、産業保健師がいない事業場では、人事や労務管理の担当者が従業員に面談を促すことが一般的です。
産業保健師がいると、高ストレス者へ産業医面談を促す役割も担ってくれるので、企業の担当者の負担軽減にもなると思います。
これらのメリットを考えると、産業保健師の存在は産業保健関連の業務を効率化すると同時に、より手厚い保健サービスを従業員に提供することにもつながるといえます。
産業医のスケジュールを決める際のポイント
最後にカスタマーサポートとして産業医のスケジュールを決めるにあたって、気を付けているポイントを伺いしました。エムステージが独自に活用している情報共有書をもとに解説します。
エムステージが産業医のスケジュールを決めるにあたって、気を付けていることを教えてください。
弊社の営業担当者が企業の現状についてしっかりとヒアリングを行い、それに沿ったスケジュールをご提案するように心がけています。
実際には、「産業医選任に関する情報共有書」というものを事前に企業の担当者にご記入いただいて、それをもとに営業がヒアリングをする形で進めています。
情報共有書に記載する内容の一例は、次のとおりです。
- 産業医を募集する背景
- 事業所人数
- 産業保健に関する課題感
事業所の状況を細かく把握して、それぞれの事業所に適した産業医の選任やスケジュールのご提案をできるように努めています。
また産業医訪問のスケジュールを作成する際は、60分を目安にしますが、無理に60分に収めてしまうと、産業保健上のリスクにつながることもあるので注意しています。
例えば産業医訪問を無理に60分に収めたことで、体調不良者への面談が後回しになると、その方が今度は休職者に移行するかもしれません。
そのため、ときにはスケジュールを目安よりも長めにご提案することもあります。スケジュールについては企業規模や状況、事情にも配慮して柔軟に対応するように心がけています。
従業員が50名を超えると、様々な産業保健活動が義務化されます。
株式会社エムステージでは企業の産業保健活動を網羅的にサポートできるよう、サービスを展開しています。ぜひ一度お問い合わせください。