「#リモラブ」で話題の”産業医”って?産業医になる方法&基礎知識を解説
ドラマ「#リモラブ」で女優の波瑠さん演じる主人公・大桜美々の職業は「産業医」。
劇中のストーリーや人間模様についてなどは数多くのサイトで詳しく解説がされていますので、ここは産業保健情報サイトとして「産業医ってどんな仕事?」「会社における産業医の役割とは?」といったテーマを取り上げていきます。
目次[非表示]
- 1.「#リモラブ」で話題の産業医とはどんな仕事?どうしたら産業医になれる?
- 1.1.「#リモラブ」主人公の職業として注目を集める「産業医」とはどんな仕事?
- 1.2.「#リモラブ」のシーンから見る、産業医が日常的に行う「健康管理」
- 1.3.「#リモラブ」のような、企業で働く産業医になる方法
- 2.「#リモラブ」の主人公、大桜美々は専属産業医?
- 2.1.「#リモラブ」の舞台「鐘木パルプコーポレーション」の規模ならば専属産業医
- 2.2.〈専属と嘱託〉産業医が必要になるのは、従業員が”何人以上”の会社?
- 2.3.健康に関する課題解決には、産業医と企業の協力が欠かせない
- 3.「会社の産業医の顔を知らない」というケースも…。~企業における産業医の実態
「#リモラブ」で話題の産業医とはどんな仕事?どうしたら産業医になれる?
「#リモラブ」主人公の職業として注目を集める「産業医」とはどんな仕事?
2020年10月スタートのドラマ「#リモラブ」では、女優の波瑠さんが産業医の役を演じることで、大きな注目を集めています。
では、産業医の仕事とはどのようなものでしょうか。
東京都医師会によれば「産業医とは、事業場において労働者が健康で快適な作業環境のもとで仕事が行えるよう、専門的立場から指導・助言を行う医師」であり、
「産業医学の実践者として産業保健の理念や労働衛生に関する専門的知識に精通し労働者の健康障害を予防するのみならず、心身の健康を保持増進することを目指した活動を遂行する任務があります。」とされています。
つまり、産業医とは、会社等で従業員の健康管理を行う医師のことです。
「#リモラブ」のシーンから見る、産業医が日常的に行う「健康管理」
劇中では、産業医の大桜美々(波瑠さん)が従業員に対して、マスクや手洗い等、衛生面の不備を見つけ、厳しく注意する場面や、遅くまで残業している社員に対して注意を行うといった場面も。
こういった日常の健康管理も産業医の重要な仕事です。
残業や職場環境、メンタルヘルス等ついては、特に「働き方改革」以降、産業医の活躍による改善が期待されてきました。
その他、企業が産業医に依頼する業務としては主に以下のものがあります。
●産業医に依頼する主な10の仕事
- 衛生委員会の出席
- 衛生講話
- 職場巡視
- 健康診断の結果チェック
- 健康相談
- ストレスチェックの実施者
- 高ストレス者の面接指導
- 長時間労働者の面接指導
- 休職面談
- 復職面談
「#リモラブ」のような、企業で働く産業医になる方法
産業医になるためには、まず医師である必要があります。
そして、医師であることに加え、産業保健の専門的医学知識について法律で定める以下の一定要件を備えなければなりません。
企業で産業医として働くためには、各種の講習・研修などを受講し、これら要件をクリアする必要があります。
●産業医になるために、法律で定められている一定要件
- 労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であって厚生労働大臣の指定する者(法人に限る。)が行うものを修了した者
- 産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であって厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業した者であって、その大学が行う実習を履修したもの
- 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの
- 学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師(常勤勤務する者に限る。)の職にあり、又はあった者
- 前各号に掲げる者のほか、厚生労働大臣が定める者
―労働安全衛生規則 第14条第2項
「#リモラブ」の主人公、大桜美々は専属産業医?
「#リモラブ」の舞台「鐘木パルプコーポレーション」の規模ならば専属産業医
主人公の大桜美々(波瑠さん)が劇中で勤務する「鐘木パルプコーポレーション」は、従業員数は1,129人。
従業員数のが999名までの会社では、産業医も嘱託で可能ですが、1,000名以上の場合には専属産業医を選任する必要があります。
つまり、ドラマの舞台となる「鐘木パルプコーポレーション」において、主人公は専属産業医として勤務していることになるでしょう。
専属産業医は、嘱託産業医よりも企業に滞在する時間が長い傾向がありますので、それに比例して従業員との交流も多いことが考えられます。
●産業医って、実際どんな仕事?
・・・では、実際の専属産業医ってどんな仕事をしているのでしょうか?
現役産業医の先生に編集部がインタビューした記事もぜひご覧ください。
〈経験者に聞く〉今、注目が高まる「専属産業医」という働き方のやりがいとキャリア
〈専属と嘱託〉産業医が必要になるのは、従業員が”何人以上”の会社?
従業員が1,000名以上の事業場では、専属産業医の選任が必要になることは前述しました。
では、従業員が「何人以上」なら嘱託産業医の選任が必要となるのでしょうか。
嘱託産業医が必要にはなる規模の定義は「事業場の従業員が50人以上」。
ですので、従業員が50名以上ならば、会社に産業医がいるはずです。
ちなみに、従業員の健康管理のため、50名以上の企業では、産業医と協力して、以下の義務の果たしていかなければなりません。
●従業員が50人以上になると義務となる5つのこと
- 産業医の選任
- 衛生管理者の選任
- 衛生委員会の設置
- 定期健康診断結果の報告書提出
- ストレスチェックの実施
健康に関する課題解決には、産業医と企業の協力が欠かせない
上で記載した①~⑤をはじめ、法律で義務付けられているこれらの業務を実施する上で鍵になるのが、頼りになる産業医を選任することなのです。
しかし、なかなか良い産業医に巡り合うことが出来ず、健康に関する課題を解決できていない企業も多いといわれています。
ひとつの視点として、特に人事担当者が「(会社の)産業医の顔を知らない」という場合には注意が必要でしょう。
「会社の産業医の顔を知らない」というケースも…。~企業における産業医の実態
担当者が「産業医の顔を知らない」そんな実態も…。”名義貸し”に要注意
読者の方、特に人事・衛生担当の方は、会社の産業医に会ったことがありますか?
あるいは、産業医の顔がわかりますか?
ドラマ「#リモラブ」のように、社内で存在感を放つ産業医がいる場合は問題ありません。
しかし、実態としてはいまだに産業医を”選任しているだけで活動していない”つまり「名義貸し」状態の企業もあるといわれています。
産業医の名義貸しとは「労働基準監督署に対する産業医の名前の届け出はあるものの、産業医の活動実績がほとんどない」という状況です。
企業側がコストを抑えるために意図的に名義貸し状態にしているケースや、産業医側が法定業務をしっかりと実施していないために名義貸しになっているケースなどがありますが、このような場合には大きなリスクがあります。
「名義貸し産業医」の存在は高リスク。企業に与えるダメージも大きい
「名義貸し産業医」を選任することのリスクについては、メディアでも話題となってきています。
その背景には「働き方改革関連法」で産業医の権限が強化され、労働基準監督署の行政指導件数が増加されたことなどがあります。
リスクについては、労働基準法や安全配慮義務を果たしていない企業において、労働者が労働基準監督署に通告したり、休職者などから訴訟を受けたりする可能性があります。
また、従業員がそういった事実をSNSで公開することも考えられますし、それによる企業のイメージダウンや株価、人材採用への影響は避けられないでしょう。
もし、自社の産業医が名義貸し状態であれば、速やかに産業医の交代を検討しましょう。
●産業医はどこにいる?
産業医の探し方には、医師と直接契約する方法と、産業医紹介業者を使用する方法があります。
方法によって費用、サポート内容などに違いがありますので、こちらの記事もチェックしておくことをおすすめします。
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「#リモラブ」をはじめ、産業医がメディアに取り上げられる機会は格段に増えました。
ドラマの中だけでなく、実際に産業医は「働く人の日常の健康管理」という、企業活動において欠かせない主人公です。
今後も一層、その存在に対する期待が高まっていくことが考えられます。