特定健診とは?特定保健指導の目的と企業・保険者の義務、費用負担を解説

40歳~74歳の人が対象となる「特定健診」とは、どのようなものでしょうか。

また、特定健診と特定保健指導の実施は誰に義務付けられているのでしょうか。

特定健診の目的や事業者(企業)の義務について解説します。



目次[非表示]

  1. 特定健診とは?生活習慣病の予防と早期発見が目的
    1. 特定健診とは、40歳以上を対象とした健診
    2. 特定健診により、特定保健指導につなげる目的
      1. ●生活習慣病について
  2. 特定健診と特定保健指導の実施義務は保険者に課される
    1. 特定健診の実施は保険者の義務
    2. 特定健診
    3. 特定保健指導
  3. 事業者健診と特定健診との重複項目の費用は事業者が負担


特定健診とは?生活習慣病の予防と早期発見が目的

特定健診とは、40歳以上を対象とした健診

特定健診とは40歳~74歳の人を対象に行う、メタボリックシンドロームに着目した健診です。日本人の死亡原因の約6割を占める生活習慣病の予防と早期発見を目的とされています。

特定健診のリスクが発見された場合には、生活習慣などを改善する特定保健指導へつなげることが目的とされています。


特定健診により、特定保健指導につなげる目的

また「特定保健指導」とは、保健師や管理栄養士などによる生活習慣見直しのサポートです。対象者は、特定健診の結果から生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣改善で生活習慣病の予防効果が多く期待できると判断された人になります。


●生活習慣病について

「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」のことで、医療費の約3割、死亡者数の約6割を占めています。

例えば以下のような疾患が含まれるとされています。

食習慣:インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高尿酸血症、循環器病(先天性のものを除く)、大腸がん(家族性のものを除く)、歯周病など

運動習慣:インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高血圧症など

喫煙:肺扁平上皮がん、循環器病(先天性のものを除く)、慢性気管支炎、肺気腫、歯周病など

飲酒:アルコール性肝疾患など

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生活習慣病は、バランスの取れた食生活、適度な運動習慣を身に付けることにより予防可能です。

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特定健診と特定保健指導の実施義務は保険者に課される

特定健診の実施は保険者の義務

特定健診・特定保健指導実施の義務を課されるのは、市町村や健康保険組合などの医療保険者です。2008年4月から「高齢者の医療の確保に関する法律」により、健康保険組合等の保険者に実施が義務付けられました。

それでは、事業者は特定健診と特定保健指導にどのように関わるのでしょうか。


特定健診

特定健診の基本的な健診項目は、事業者に実施義務がある雇い入れ時の健診や定期健診などの事業者健診の項目とおおむね一致しています。

保険者は、事業者から雇い入れ時の健診や定期健診などの結果を受領すれば、特定健診を実施したことになります。

保険者から健診に関する記録の写しの提供を求められた事業者は、その記録の写しを提供しなければならないとされています。


ただし、保険者が事業者から受領した健診結果で特定健診を実施したことにするためには、健診結果に特定健診の項目について記録されている必要があります。

事業者が行った健診で、特定健診の項目が欠損している場合は、欠損分については保険者が追加実施しなければなりません。


保険者は、事業者が健診を実施する際、事業者や健診機関に必要な項目の実施を委託することで、特定健診の健診項目を含んだデータを受領することができます。

特定健診の対象者にとっても、事業者健診と特定健診をそれぞれ受けることは負担になりますので、同時に実施するためには、保険者と事業者、健診機関の連携が重要です。


特定保健指導

事業者には、労働安全衛生法により健診の実施は義務付けられていますが、保健指導の実施は努力義務となっています。

そのため、保険者が事業者へ特定保健指導の実施を働きかけても実施しない場合は、保険者が実施する必要があります。


特定保健指導は、保険者には実施義務を課しているものの、対象者にとって受診は義務ではなく、個人の意思で利用することになります。

そのため事業者は、従業員が特定保健指導を受けるための時間の賃金を負担する義務は負いません。

しかし、厚生労働省が事業者団体・関係団体の長宛てに出した「特定健康診査等の実施に関する協力依頼について」には、「特定保健指導等を受けるための機会の拡充や実施率の向上は、労働者の健康の保持増進につながり、医療費適正化等を通じて事業者の保険料負担にも関係することから、事業者におかれては、就業時間中の特定保健指導に要した時間の賃金等の取扱いについて、特段の配慮をいただき、協力いただきたい」と書かれています。


特定健康診査・特定保健指導の実施義務は保険者のみにあるとは言え、確実に実施するには、事業者や健診対象者の理解は不可欠です。

保険者は、事業者に対しては、健診の確実な実施とデータの提供、従業員への健診と保健指導の受診促進、健診対象者に対しては健診・保健指導の積極的な受診について、理解と協力を得ていかなければなりません。



事業者健診と特定健診との重複項目の費用は事業者が負担

特定健診と特定保健指導の費用は誰が負担するのでしょうか。

雇い入れ時の健診や定期健診などの事業者健診と特定健康診査が同時に実施される場合、特定健康診査と重複する健診項目の費用は、事業者が負担します。

なぜなら、「高齢者の医療の確保に関する法律」では、労働安全衛生法に基づく雇い入れ時の健診や定期健診、学校保健安全法に基づく職員健診など、他法令に基づいて実施される健康診断は、特定健康診査より実施が優先されることになっているからです。

事業者健診と特定健診が重複しない項目については、保険者が負担します。

また、受診者本人の自己負担額については、各保険者の判断で決めることになります。

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