こんにちは!駆け出し産業医ともよです。 【Dr.ともよ連載 第1回】
企業の人事担当者としては、産業保健・健康経営をスムーズに実施するためにも産業医の本音も知っておきたいですよね。そんな声にお応えして、駆け出し産業医ともよDr.による連載をスタート! 産業医の目から見た、企業の産業保健のリアルな現場をお伝えします。
この記事は第1回です。
【第1回】こんにちは!駆け出し産業医ともよです。
第1回 こんにちは!駆け出し産業医ともよです。
こんにちは。駆け出し産業医ともよです。
いきなりですが、産業医って何をする人かご存知ですか??
「社員が50人以上いたら法律上置いとかないといけないやつだっけ…?」という感じでしょうか。
駆け出し産業医の私も、実は産業医になるまでは「白衣を着ないで会社に居るお医者さん」というイメージしかありませんでした。笑
そんな私が体当たりで産業医業務を行っている様子をお知らせしたいと思います!
産業医に興味を持った理由
私は一般病院で働く非常勤の眼科医です。幼児2人の育児中であることを含む複数の理由から、非常勤で働き続けることを希望していました。が、産休と復帰を繰り返すごとに今後の働き方に迷いが生じることもあり、何か新しいことを学べないかな…と思っている折にインターネットを見ていると、産業医の求人広告が目に留まりました。
第2子出産直後で、絶賛今後の自分探し中だった私。臨床医としての世界とは全く違うところで、自分が必要とされる場所があるかもしれない。元々人と関わることが大好きですし、自分が働きながら育児をしていることで、ワークライフバランスにも興味が深まっていましたし、何か直感めいたものを感じ、気づいたら産業医になれる方法を検索していました。
産業医科大学で開催されている夏季集中講座に参加することで産業医になれると知り、興奮気味に即申し込んだのを覚えています。
数か月後に講座受講の当選のお知らせが届き、いよいよ受講への段取りが始まりました。
上の子の保育園&おばあちゃんの援助の手配、生後7か月で哺乳瓶拒否、粉ミルク拒否の娘は同行させることにしたので、現地での預かり保育やベビーシッターさんの手配と、改めて「母親」が出張や挑戦をする際のハードルを認識しながら準備をすすめ、覚悟を決めて臨みました。家族が意外にも快く応援してくれたのが、とても心強かったです。
そんなこんなで、娘との2人3脚、そして家族の支えあり無事産業医資格を得ましたが、講座を受けてまず驚いたのは、人をみるだけでなく、作業環境測定や、職場巡視と「環境」を調べることも産業医の仕事だということ。人生初の防毒マスクをつける体験もし、「これが医師の仕事なの…!?」と臨床医とは全く違う視点での仕事に目から鱗の連続でした。
せっかく講習を受けても、今までの仕事をする生活に戻っては時機を逃してしまう、と思い、ある紹介会社の門を叩くことにしたのです。
産業医デビュー後の成功と失敗
おそるおそる産業医デビューをしたものの…基本的には1対1の面談はじめ、ひとりでやることが多い仕事なので、どうしても探り探りの面があります。
事業所の人事担当者、紹介会社の担当者はじめ助けてくださる方はいても、同じ産業医がすぐ隣で仕事していることは少ない。明確な失敗はその場ではわかりにくく、経験を積んでから「あのときもっとうまくできたかもな…」と思うことがあるかもしれません。日々精進です。
逆に、いままでの経験が役に立つことも多いんです。
たとえば私の場合、女性であること、小さい子供を持ちながら働いていることが、女性社員の面談との際に親近感を感じてもらいやすく、アドバイスを受け入れてもらいやすい点でメリットになると思うことも少なくないですし、眼科医であることを採用の際に社員の方々に周知してくださったおかげで、気軽に目のことを相談してもらえ、話題のきっかけにしていただけたりもしています。
また、安全衛生委員会で講話をしたり、ランチョンセミナーを開催したりする必要がありましたが、声がよく通って聴きやすいと、演劇経験が役に立つ場面もありました!
駆け出し産業医からのお願い
お気づきかもしれませんが、産業医は、医師免許を持つ医師が講習を受けてなる職業です。産業医のバックグラウンドは様々で、臨床とは必要な能力も別なので、産業医がどういう存在かを知っていただくためにも、遠慮せずに接していただけるとありがたいです。
例えば私は眼科医なので、折に触れ人事の方が社員の方に周知してくださり、それが会話のきっかけになったりもしています。
そもそも、医師は皆さんのように「新入社員」や「会社員」という立場は経験していないことがほとんどなので、皆さんからすると驚くような常識も知らないかもしれません…(私は産業医になるにあたって名刺交換を復習しました)
また、駆け出し産業医にとって産業医業務はとても幅広く、途方もなく感じることも多いです。人事担当者からみて、また会社からみて、優先度の高い業務を具体的に教えていただけると大変助かります。あれも、これも…と熱意と意欲が空回りしていることがあるかもしれませんが、是非ちょっと大目に見てくださいね。
なんだか大きな話になってしまいますが、念願の産業医になってみて嬉しかったのは、やはり視野が広がったことです。
臨床医として働いていると、まず出会えなかった立場の方々と一緒に幅広い仕事ができます。一医師としてだけでなく、一社会人として働いている感覚が新鮮で、また目の前のひとりの患者さんを救うだけでなく、働き方全体を良くしたいという自分の中の使命感にも気づくことができ、臨床医とはまた違った社会貢献のあり方を感じています。
「働き方改革」の波が起こされようとしている今、微力ながら私にもできることがあるかな、と思いながら日々産業医業務を行っています。社員の働き方・会社の風土を少しずつ改革したいと考える人事担当のあなたにとって、お役に立てる「産業医」という存在を、より身近に感じていただければ嬉しいです。
医師プロフィール:Dr.ともよ
国立大学医学部卒業後、地元で初期研修を終え、その後眼科医としてのキャリアをスタート。眼科専門医取得後結婚し、現在3歳と1歳の2児の母。昨年から主に事務サービス系の事業所で嘱託産業医として勤務中。中学から研修医時代まで演劇に関わり、観劇が大好き。
<つづけて読みたい>
▼この記事は「Dr.ともよの駆け出し産業医の目」の第1回です。続きは以下よりどうぞ。