【解説】何から始める?「衛生委員会」設置・立ち上げのポイント5つ

最終更新日:2021年10月21日

従業員が50名を超える際には、衛生委員会を設置・立ち上げることが必要になります。

本記事では「衛生委員会を設置する時には、何をすれば良いの?」というテーマについて、ポイントを解説します。


衛生委員会の設置に関する義務・意義について知っておく

衛生委員会の設置・実施は企業の義務

衛生委員会の立ち上げで重要になるのが、衛生委員会の義務と意義について知っておくことです。

衛生委員会の設置・実施は、労働安全衛生規則(※)によって次のように定められており、事業者の義務とされていますので、必ず実施してください。

(※)労働安全衛生規則 委員会の会議

第二十三条 事業者は、安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「委員会」という。)を毎月一回以上開催するようにしなければならない。

出典:労働安全衛生規則第23条の2


衛生委員会を立ち上げるだけではNG。適切に運営し意義ある活動にする

「義務を果たすために、とりあえず毎月開催する……」ということはやめましょう。

衛生委員会を立ち上げるからには、意義のある活動にしていくことが大切です。

衛生委員会の意義についてですが、労働者のけが・病気を防ぐことを目的とし、対策を行うための調査機関であり、産業保健活動の審議機関とされています。

つまり、衛生委員会の際に職場の状況を発信し、それに対する改善策を検討することが必要となるのです。

例えば、ある部署だけ時間外労働が頻発し、常態化しているようなケースでは「どのようにして残業を減らすか」といったことを審議する必要があるでしょう。

また、専門家の意見として産業医から助言をもらう場としても大切な活動になります。


衛生委員会の設置・立ち上げ時に知っておきたい5つのポイント

衛生委員会の設置・立ち上げのポイント①:委員(メンバー)構成の構成

衛生委員会のメンバーは、法律で定められているメンバーと、自由に決めて良いとされているメンバーの2つがあります。

法律で定められているメンバーには主に次の5つの役割です。

  • 議長(委員長):1名
  • 衛生管理者:1名以上
  • 産業医:1名以上
  • 構成メンバー:上記以外のメンバー、人数の定めなし(※)

(※)構成メンバーについては、職場管理者や職場代表者がなりますが、職場の問題点について管理者の立場から方針を説明したり、また職場にフィードバックしたりする必要もありますので、適任者を選出するようにしましょう。


また、議長以外のメンバーの半数については、労働組合等から推薦する者から指名しなければなりません(労働安全衛生法 第18条第4項、第17条第4項)。

このほかに、必須ではありませんが、健康管理を担当している産業保健師や安全管理者、作業環境測定士、施設管理担当者など、社内の衛生管理、健康管理に携わる人が参加しているケースもあります。


衛生委員会の設置・立ち上げのポイント②:規程・ルールを定める

衛生委員会を立ち上げる際には、委員会に関するルール・規程を定めることが必要です。

規程には、開催頻度、開催時期、委員の任期、欠員が出た際の委員の選任、議事録の保管など、衛生委員会に関するさまざまな事項を定めます。

また、衛生委員会に出席できない状況になった際の取り決めや、専門委員の指名なども取り決めておきましょう。

●衛生委員会に関するルール・規程の一例とフォーマット

・衛生委員会の目的

・調査審議事項(労災の発生状況、安全衛生に関する計画の策定、長時間労働に関する報告と改善策など)

・衛生委員会のメンバー(構成員)

・衛生委員の任務

・衛生委員の任期

・衛生委員会の成立

・専門委員の指名/出席

・衛生委員会の事務局 など


ちなみに、衛生委員会の規程は作成例(規程のサンプル/フォーマット)が独立行政法人 労働者健康安全機構のホームページにてダウンロードできますので、ぜひ事前にチェックしておきましょう。


衛生委員会の設置・立ち上げのポイント③「議事録」について知る

衛生委員会を実施したら、審議した事項を「議事録」に記載します。

その上で、定められた期間は保管する必要があります。

当ブログ「サンポナビ」では、衛生委員会の議事録フォーマットがダウンロードでき、保存期間についてもくわしく解説した記事がありますので、あわせてチェックしてみてください。


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衛生委員会の設置・立ち上げのポイント④:年間スケジュールの策定

衛生委員会の立ち上げ時には、年間の産業保健活動スケジュールを組み立てることが大切です。

年間スケジュールについては、12回分で組み立てることが一般的とされています。

そして、衛生委員会の年間スケジュールは、自社の活動に即して組み立てる必要があります。

例えば、屋外での業務が多い業種では、夏本番になる前の6月などに熱中症対策について衛生委員会を行い、衛生講話を通じて情報を共有することや、ストレスチェック実施の前には委員会にて審議を行い、効果的を高めることなどが挙げられます。

また、衛生委員会は毎月開催されるものですので、多くの企業が衛生委員会のマンネリ化という課題を抱えているといわれていますので、ぜひ計画的なスケジュールを組み立てるようにしてください。


衛生委員会の設置・立ち上げのポイント⑤:外部サービスも検討する

ただ、はじめて衛生委員会を立ち上げる企業等では「何から始めれば良いのかわからない……」と、具体的な年間スケジュールを計画することが難しい場合もあるでしょう。

そのような場合には、衛生委員会の立ち上げサポートを行っている企業に相談することも一つの手です。

産業医の紹介会社では、産業医の選任だけでなく、衛生委員会の立ち上げもフォローしている場合がありますので、こうしたサービスを探すことが近道となります。

企業に産業医を紹介するサービスを取り扱うエムステージでは、産業医の選任と同時に、貴社専任のコーディネーターが衛生委員会の設置もサポートいしていますので、こうした会社に相談する方法もおすすめです(衛生委員会設置のみのサービスはございません)

衛生委員会は、企業の産業保健の中核に位置付けられる活動ですので、適切に設置・実施することが重要になりますので、ぜひ衛生委員会を意義のある活動にしてください。



「はじめての衛生管理者ガイドブック」や「衛生委員会の議事録フォーマット」など、産業保健業務に役立つ資料は以下のリンクからご確認いただけます。

資料ダウンロードは無料ですのでお気軽にお役立てください。

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サンポナビ編集部

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