〈2021年〉アンケート結果より:企業が感じる産業保健活動のテーマ
2021年6~7月、産業保健サービスを提供する株式会社エムステージが、サービスの利用者を対象にアンケートを実施。
アンケートには272事業場が「今後、職場で力を入れたい産業保健活動」などについて回答しました。
アンケート結果から、企業における産業保健活動の注目・動向とともに、関連記事をピックアップします。
目次[非表示]
●アンケートの概要
・アンケート実施者:株式会社エムステージ 産業保健事業部
・アンケート期間:2021年6月~7月
・アンケート対象者:産業保健サービス利用事業場(有効回答数:272件)
・回答方法:WEBを利用したアンケート方式
結果から見る、強化が検討される産業保健のテーマとは
新型コロナウイルスの流行により、ニューノーマルな生活が当たり前になってきました。
働く現場でも同様に、リモートワークの普及拡大や「オフィスのあり方」が見直される等、大きな変化が訪れています。
そのような中、株式会社エムステージは、同社が提供する産業保健サービスの利用企業(事業場)に対しアンケートを実施しました(有効回答数272件)。
今後の産業保健活動において懸念されていることについて調査したところ、もっとも多い回答は「メンタル問題の未然予防」で115件。
次いで、「健康経営の実施・推進」56件、「休復職者の対応と体制整備」52件という結果になり、職場におけるメンタルヘルス不調対策への注目の高まりがわかる結果となりました。
本記事では、アンケート結果を集計・分析するとともに、産業保健活動そして健康経営の推進に役立つ情報を発信します。
●アンケートの結果と件数
「着手あるいは強化したい産業保健活動」(複数回答可/有効回答数272件)
①メンタル問題の未然予防:115件
②健康経営の実施・推進:56件
③休復職者の対応と体制整備:52件
④産業保健活動の見直し・更なる強化:33件
⑤新入・若手社員の体調不良:28件
⑥特になし:16件
⑦管理職の体調不良:12件
⑧その他:4件
回答数最多「メンタル問題の未然予防」にどう取り組む?
アンケート結果で回答数がもっとも多かったのは「メンタル問題の未然予防」。
メンタルヘルス不調対策は、企業によって取組の内容もさまざまですが、まずは従業員のメンタルヘルスの状態を把握することが肝要になります。
そのためには、適切にストレスチェックを実施し、結果をもとにした集団分析や職場改善まで行うことが効果的です。
高機能なストレスチェックシステムによる改善策
リモートワークという働き方で、従業員のメンタルヘルスはで可視化されづらくなったと言われています。
そんな中、注目されているのが「プレゼンティーズム」(出社しているにもかかわらず、心身の健康上の問題でパフォーマンスが落ちている状態)の測定によるメンタルヘルス対策です。
近年、プレゼンティーズムを計測可能なストレスチェックシステムが特に注目を集めていますので、チェックしておきましょう。
■関連記事■
メンタルヘルス不調対策のキホン「4つのケア」にしっかり取り組む
職場におけるメンタルヘルス不調の対策は「全員で取り組むこと」で効果を最大化します。
そこで重要となるのが、厚生労働省の指針で示されている「4つのケア」という活動です。
4つのケアは、「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」で構成されています。
同時に、それぞれのケアにおいて主担当となって活動する人物には、成すべき役割があるのです。
「4つのケア」の詳細と活動方法についてはこちらの記事で解説しています。
■関連記事■
保健師が解説する「セルフケア」の重要性とポイントは
また、4つのケアのひとつ目、働く人が自ら取り組むメンタルヘルス不調対策の「セルフケア」ですが、リモートワークで働く従業員がいる企業ではより重要性を増しています。
セルフケアの重要性や、適切な取組方について産業保健師が解説した記事もありますのでご覧ください。
■関連記事■
「事業場外資源によるケア」にて注目が高まる「EAP」について知る
EAPとは「従業員支援プログラム」の総称です。
平たく言えば「心身の健康に関する相談窓口」のことであり、医師や臨床心理士等の専門家が各種の相談に対応するもの。
近年では、従業員が気軽に健康相談できる外部の窓口としてEAP機関を活用する企業が増えており、株式会社エムステージにもEAPに関する相談が急増しています。
以下の記事でEAPについて解説していますので、チェックしておきましょう。
■関連記事■
健康経営の実施・推進のポイントは?
アンケートの結果で次に多かったのが「健康経営の実施・推進」であり、健康推進に関する注目度の高さがうかがえました。
健康経営の実施・推進は「健康経営優良法人」の基準をベースに
産業保健活動に注力する企業であっても「まだ見落としがあるかもしれない」とお悩みのケースもあるようです。
そのような場合には、経済産業省の認定制度「健康経営優良法人」の認定基準をベースに、産業保健活動をすすめることが効果的。
「健康経営優良法人」の認定基準をクリアすることで、体系的に健康経営を実施・推進することは可能になります。
■関連記事■
「産業保健活動の更なる強化」にも通じる健康経営
また、アンケート結果の4位「産業保健活動の見直し・更なる強化」についても同様に、健康経営推進の視点から、活動に取り組むことがおすすめです。
本質的な健康経営の実施には、経営層が意識的に介入し取り組むことが欠かせません。
そして、健康経営の推進は、「健康」にとどまらず数多くのメリットがあります。
健康経営研究会の岡田邦夫理事長にインタビューした記事では、全社的な健康経営を推進するためのヒントがありますので、チェックしておきましょう。
■関連記事■
産業保健師の活用で、ワンランク上の健康経営を
産業保健活動は、企業の衛生担当者と産業医が連携して行うことが一般的です。
しかし、衛生担当者も本来の業務と兼任であるケースがほとんどであること。そして、嘱託の産業医であれば、企業において活動可能な時間が限定的であることが多いと考えられます。
対して、一般的に訪問頻度が高く、滞在時間の長い産業保健師は、企業の活動を細かくサポートすることが可能であり、健康課題の改善に大きく寄与する存在です。
以下の記事では、近年、注目度が高い「産業保健師」について紹介しています。
■関連記事■
担当産業医に関する調査、96%が「満足」
アンケート結果から見えた、産業医への期待
アンケートでは同時に「担当産業医の満足度」も調査(有効回答数:272件)。
調査では53%の事業場が「満足」、43%の事業場が「とても満足」と回答、合計96%の事業場において、担当する産業医に満足していることが分かりました。
また、自由回答欄では産業医の活動について、更なる強化・要望を期待する声も多く見られました。
●自由回答欄のコメント(一部抜粋)
・細かい相談にも対応して頂いています(食品製造業/従業員1,000名以上)。
・衛生委員会でいろいろとご意見もいただいております。これからも活躍に期待しています(製造業/従業員500名以上)。
・複数拠点に来ていただき、またご尽力いただき満足しています(スポーツ施設/従業員数1,000名以上)。
・自ら提案、というタイプではないが要望には確実にお応えいただいている(小売業/従業員数500名以上)。
・素晴らしい産業医の先生をご紹介いただきありがとうございます(保険業/従業員数1,000名以上)。
・いつも柔軟にご対応いただき、会社の目線に立って意見を下さるので大変ありがたいです(ITデザイン/従業員数100名以下)。
・当社の社風や特徴を捉えて産業医面談をいただいておりますので、非常に安心してお願いができます。またコミュニケーションや雰囲気が優しいので、相談者も安心して面談に臨めています(教育業/従業員数1,000名以上)。
・従業員や会社からの相談に親身になってくださり助かっています(住環境業/従業員数100名以上)。
・
・
・
アンケート結果とともに、今後の産業保健活動で役立つ記事の情報をピックアップしました。
アンケートにご協力くださいました企業の方に感謝申し上げます。