【まとめ】「健康経営優良法人2020」認定基準・メリット・申請法を解説
(最終更新日:2020年6月25日)
2017年度からスタートした、経済産業省の認定制度「健康経営優良法人」は、年々認定企業数が増えています。
2020年には大規模法人部門 1,481法人、中小規模法人部門4,723法人が認定。
そして、健康経営優良法人に認定されることは「ホワイト企業のステータス」にもなるため、注目が高まっています。
今回は、そんな企業の担当者の方に向けて、認定基準やメリットなどよくある疑問をひとつずつ解説します。
目次[非表示]
「健康経営優良法人2021」認定のための基礎知識
「健康経営優良法人」は企業(法人)の規模によって3つの認定制度がある
まずは「健康経営優良法人」とは何かを知るところから始めましょう。
「健康経営優良法人」とは、経済産業省の認定制度です。
積極的な健康活動に取り組んでいる企業(法人)に対して、毎年認定を行っています。
これは、いわば行政からホワイト企業としての”お墨付き”をもらうことともいえます。
詳細については経済産業省のホームページにて確認することができますが、定義については以下に記載しておきます。
●健康経営優良法人とは?
健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度です。
健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目的としています。出典:経済産業省「「健康経営優良法人2020」認定法人が認定されました!」
「大規模法人部門」と「ホワイト500」のちがいとは
健康経営優良法人には、規模の大きい法人や医療法人を対象とした「大規模法人部門」と中小規模の法人や医療法人を対象とした「中小規模法人部門」の2部門があります。
そして、これとは別に「ホワイト500」という認定基準もあるのです。
このホワイト500は、大規模法人部門の中でも、特にレベルの高い上位の500法人が「ホワイト500」に認定されます。
〈認定基準の区分〉大規模・中小規模を分ける「従業員の人数」
従業員の人数によって、大規模法人か中小規模法人か区分けされる
大規模法人部門と中小規模法人部門、どちらの部門になるかは、業種ごとに、申請時点における「常時使用する従業員」の人数から決められています。
「常時使用する従業員」とは「予め解雇の予告を必要とする者」に当てはまる人を指します(労働基準法第20条)。
また、この「常時雇用される従業員」は、必ずしも正社員に限りません。
一定の条件を満たしたパートやアルバイトでも「常時雇用する従業員」として該当する場合があるため注意しましょう。
●大規模法人部門:人数の区分
- 製造業その他:301 人以上
- 卸売業:101人以上
- 小売業:51人以上
- サービス業:101人以上
●中小規模法人部門:人数の区分
- 製造業その他:1人以上 300人以下
- 卸売業:1人以上 100人以下
- 小売業:1人以上 50人以下
- サービス業:1人以上 100人以下
自分の会社がどの業種に当てはまるのかは総務省の日本標準産業分類で確認できるので、迷ったときはチェックしてみてください。
健康経営優良法人は「健康経営銘柄」と何が違う?
「健康経営銘柄」とは、健康経営に優れた企業を原則1業種1社選定するものです。
また、対象となるのは東京証券取引所の上場会社のみです。
経済産業省と東京証券取引所との共同で行われる、という点も健康経営優良法人と異なります。
健康経営銘柄は、健康経営優良法人の認定制度より先に、2015年度から始まりました。第4回目となる「健康経営銘柄2020」では40社が選定されています。
下の図では、その区分けが分かりやすく記載されています。
出典:経済産業省「健康経営優良法人の申請について」
「健康経営2020」より制度変更あり!認定の基準は?
2020年には変更も。健康経営優良法人の認定基準
普及促進や健康経営の質の向上を目指し「健康経営優良法人2020」からは制度の変更が行われていますので注意します。
健康経営優良法人の認定基準は、主に以下の5つで構成されています。
●健康経営優良法人2020の主な認定基準
- 経営理念(経営者の自覚)
- 組織体制
- 制度・施策実行
- 評価・改善
- 法令遵守・リスクマネジメント(自主申告)
この5つの大項目にはm実施が必須であるものと、何項目か以上実施していることが条件になっている項目があります。
また、大規模法人部門、中小規模法人部門でそれぞれ基準が異なりますので、一つずつ見ていきましょう。
健康経営優良法人2020「大規模法人部門」の認定基準
大規模法人部門の認定基準は、前述した「経営理念」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」「法令遵守・リスクマネジメント」という5つの大項目に分類されます。
そして、中項目~小項目では細かな条件が提示されており、これらを一定数クリアする必要があります。
なお「ホワイト500」の認定要件に関しては、大規模法人部門の基準に比べ「一段上」に設定されています。
詳細については次の図で確認することができます。
出典:経済産業省「健康経営優良法人2020(大規模法人部門)の認定基準」
●「大規模法人部門」認定基準を満たすためのポイントは?
必須項目になっている産業医又は保健師が健康保持・増進の立案・検討に関与については、産業医と企業担当者の連携が欠かせません。
しかし、企業に所属しているものの、産業医が健康活動に積極的でない場合には、この基準を達成することは困難になります。
「健康経営にコミットしてくれる、頼れる産業医を選任したい」
とお考えの方は、こちらの関連記事も参考にしてみてください。
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健康経営優良法人2020「中小規模法人部門」の認定基準
「中小規模法人部門」の認定基準も、大規模法人部門と同様の「5大項目」に大別されます。
また、認定基準の基本的な骨格も共通している部分が多いため、中小規模法人部門だからとって、決して認定のハードルが低いわけではありません。
また、中小規模法人部門の認定企業の事例を見ると、産業医や産業保健師を有効活用している例がほとんどです。
経営者による「トップのかけ声」や、従業員の「やる気」だけで実現することはなかなか難しいため、産業医にアドバイスをもらい、計画的に要件をクリアしていくことが、結局のところ近道と言えそうです。
中小規模法人部門の認定基準&認定要件は以下の図で確認しておきましょう。
出典:経済産業省「健康経営優良法人2020(中小規模法人部門)の認定基準」
「健康経営優良法人2020」申請から認定までのステップ
大規模法人部門、中小規模法人部門で認定プロセスが異なります。
「健康経営優良法人2020」で公表されたプロセスをもとにまとめてみましたので、チェックしておきましょう!
「大規模法人部門」認定までの5ステップ(ホワイト500を含む)
STEP1:「健康経営度調査」に回答する
※経済産業省が実施する、従業員の健康管理に関する取組やその成果を把握するための「従業員の健康に関する取り組みについての調査」(健康経営度調査)に回答する
STEP2:健康経営優良法人の「申請書」を受領する
※回答結果をもとに、健康経営優良法人(大規模法人部門)の要件に適合しているかの判定を受けます。認定基準に適合している場合には「申請書及び誓約書等」が同封されます。
STEP3:「申請書」を提出する
※上記の申請書類を健康経営優良法人の認定事務局に提出します。
STEP4:健康経営優良法人の認定委員会による審査
STEP6:日本健康会議による認定
「中小規模法人部門」認定までの5ステップ
STEP1:「健康宣言」事業に参加
※「健康宣言」は協会けんぽ等の保険者が取り組んでいます。
STEP2:「健康経営優良法人(中小規模法人部門)認定申請書」の作成
※申請書や基準解説書、Q&Aなどについては経産省の資料にてチェックできます。
STEP3:「健康経営優良法人(中小規模法人部門)認定申請書」を提出
※提出先は協会けんぽや健康保険組合など。
STEP4:健康経営優良法人の認定委員会による審査
STEP5:日本健康会議による認定
●健康宣言ってなに?
中小規模法人部門については、所属している保険者(全国健康保険協会及び健康保険組合)が健康宣言の取り組みをしていない場合は申請ができません。
保険者による健康宣言の取組の有無については、所属されている保険者にお問い合わせください。
▼全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康宣言についてはこちら
「健康企業宣言」募集中!
「健康経営優良法人2021」の申請期間・認定基準は?
「健康経営優良法人2021」申請期間は「健康経営優良法人2020」と同様のスケジュールで進むことが公表されています。
ですので「健康経営優良法人2021」の申請期間は、以下のスケジュールが想定されます。
●大規模法人部門(ホワイト500含む)
健康経営度調査:2020年8月末~10月末
※健康経営度調査を受けなければ申請はできません。
●中小規模法人部門
申請期間:2020年8月末~10月末
〈編集部注〉申請期間については記事作成時点での情報です。必ず経済産業省などのホームページにて確認してください。
また、認定基準については2020年の7月頃に公開が予定されていますので、こちらもあわせてチェックしておきましょう。
認定にはどんなメリットがある?「健康経営優良法人2020」
健康経営優良法人、認定のメリットは、生産性向上・業績向上・株価上昇etc
健康経営優良法人に認定されることのメリットは「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的評価を受けることができる、という点だといえます。
もう少し具体的にすると…
経済産業省の公表によれば、以下のようなメリットが挙げられています。
●健康経営優良法人に認定されるメリット
・従業員への健康投資を行うことで、活力向上、生産性向上、組織の活性化が見込める
・結果的に業績が向上し、株価も向上する
※その他にも「健康経営に取り組んでいるかどうかが、就職先の決め手になるか」という質問したところ、就活生・親双方で7割以上が重要な決め手になるとの回答がありました。
中小企業にもメリット!自治体からの表彰や低利融資も
中小企業が健康経営優良法人に認定された時のメリットは、自治体から表彰される可能性があることです。
これは、企業にとってよいブランディングになります。
それだけでなく、地銀や信金などからの低利融資を受けられることもあるようです。
経済産業省は「中小企業への健康経営の普及について」という資料を公開していおり、その中で中小企業が健康経営優良法人に認定されることのメリットについて、詳細に説明しています。
中小企業の経営者の方は、一度ご覧になってみることをおすすめします。
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以上、健康経営優良法人に関する情報をまとめてみました。
健康経営優良法人の認定は、企業のブランディングだけにとどまらず、従業員の離職防止にも大きな期待が集まっています。
サンポナビでは、健康経営優良法人に認定された企業にもインタビュー取材を行ってきました。
ぜひ、ご覧になってみてください。
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