1万社以上の中小企業が認定を目指す「健康経営優良法人」


国認定のさまざまな”ホワイト企業マーク”について、非営利一般社団法人安全衛生優良企業マーク推進機構(SHEM)の木村誠理事長が、それぞれの取得のメリットや取得に必要な条件をシリーズで紹介します。

2回目は「健康経営優良法人(中小法人部門)」です。



木村 誠(きむら・まこと)


非営利一般社団法人安全衛生優良企業マーク推進機構理事長。

1968年、長野県生まれ。東洋大学法学部卒業。

1991年、第一生命保険相互会社(現第一生命保険株式会社)入社。2003年、株式会社ユニバーサルステージ設立。代表取締役(現任)

2015年、非営利一般社団法人安全衛生優良企業マーク推進機構(SHEM)設立


中小企業で、従業員の健康に配慮した全社的な取り組み、いわゆる「健康経営」が広がりを見せています。

その象徴の一つが、経済産業省の実施する「健康経営優良法人認定制度」に対する中小企業の注目の高まりです。

今回は、

・なぜ健康経営に注目する中小企業が増えているのか

・健康経営優良法人を目指すメリットは何か

主にこの2点についてご説明したいと思います。


健康経営優良法人認定制度とは?


健康経営優良法人認定制度とは、健康の保持・増進に対して、特に優良な取り組みを実践している企業や法人を顕彰する制度です。経済産業省が実施しています。



健康経営に取り組む優良な法人の「見える化」で、健康経営への取り組みが社会的な評価につながる環境を整備することを目標としています。


健康経営優良法人に認定された中小法人は1年で2.5倍に


健康経営優良法人認定制度は、従業員数によって「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」に分かれています。このうち中小規模法人部門における認定数の推移を確認してみましょう。

認定初年度となる2017年度の認定法人数は318法人でしたが、その翌年には認定法人数が約2.5倍の776法人にまで伸びています。



参照:経済産業省「健康経営の推進について」


健康宣言事業の参加法人は全国で1万2,000法人以上

認定までには至っていないものの、健康経営には積極的に取り組んでいるという企業・法人の数も、非常に速いペースで増えています。


中小企業が健康経営優良法人の認定を受けるためには、協会けんぽなどが実施している「健康宣言事業」に参加する必要があります。その参加数が2016年の2,970法人から、2017年には1万2195法人にまで増えているのです。実に4倍以上です。


参照:日本健康会議「健康なまち・職場づくり宣言2020の見直しについて」


参加しているすべての企業が健康経営優良法人の認定を目指している訳ではないかと思われますが、企業の健康経営への意欲を見る上で、この数値は重視していいでしょう。


これほど健康経営が中小企業に注目され、そして実践されている背景には、現代日本が抱える性質や課題があります。これは健康経営優良法人が設立された経緯にもつながるものです。


確実に減少していく現役世代人口


出典:総務省統計局「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」


少子・超高齢時代が加速している日本では、いわゆる現役世代の人口が年々減少しています。つまり、国にとって、働き手が一層貴重な財産となっていくのです。


これは、従業員の健康が会社の生産性に直結する企業でも同じことが言えるでしょう。さらに言えば、現役世代の減少は、若い働き手の確保が難しくなることも意味しています。すでに有効求人倍率は1倍を上回っており、労働市場は超売り手市場に突入しています。


従業員の高齢化で、健康経営の重要性はさらに増していく


超高齢社会は、企業の従業員年齢の高齢化も招いています。


出典:総務省統計局「労働力調査」65歳以上労働者の平均年齢を70歳と仮定した場合の推計値


総務省の調査によると労働力人口の平均年齢は年々上昇しており、2015年には45歳を超えています。この傾向は今後も続いていくでしょう。


健康経営を話題にする際、よく出てくる言葉に「プレゼンティズム」というものがあります。これは、出勤はしているものの健康に問題があるために、仕事で十分なパフォーマンスが発揮できない状態を指す言葉です。日本語では「疾病就業」とも呼ばれます。

当然ですが個人のパフォーマンスの低下は組織全体の生産性に影響します。それが事業の中核をなすベテラン社員であればなおさらです。


従って、

・従業員の健康保持・増進を促す

・健康上の問題があれば速やかに発見し対応できる

このような体制を構築できる健康経営の実践が、企業の生産性を高め、さらには業績を改善・向上することにつながるのです。


健康経営優良法人となることで採用力と生産性を高める


・超売り手市場化による若手の採用難化

・高齢化による従業員の健康問題

これらの課題を解決するために有効な手立ての一つが健康経営の実践であり、「健康経営優良法人」の認定を受けることです。


前回の「ホワイトマーク」に関する記事でもご紹介しましたが、以下の統計は経済産業省が2016年度に行った調査の結果です。


参照:経済産業省「健康経営の労働市場におけるインパクト調査」


この調査では、約1,400人の就活生と就活を控えた学生を持つ1,000人以上の親に、就職を希望する企業の条件について質問しました。


その結果、「従業員の健康や働き方に配慮している」企業を志望すると回答した学生は4割を超えており、企業の知名度や規模、給与基準よりも重視されているという結果が出たのです。つまり、健康経営を実践していることは就活生にとって非常に強力なアピールポイントとなり得ることを意味しているのです。


健康経営優良法人に認定されると、経済産業省のホームページに企業名が掲載され、認定のロゴマークを広報活動に利用することができます。採用活動にも活用できますので、健康的な働き方を重視する学生には効果的なアピールとなるでしょう。


また当然ですが、健康経営優良法人の認定を受けるには社内で健康経営の体制を構築し、健康の保持・増進に対する取り組みを実践する必要があります。そのプロセスで従業員の健康状態の維持・改善が実現できれば、組織の生産性向上につながります


そのほか、自治体や金融機関によっては、

・認定企業に対して融資の優遇制度を設ける

・競争入札で加点評価をする

などといった動きも見られます。取引先など社外に対しても良いPRとなるでしょう。今後、認定によるメリットはますます大きくなっていくと考えられます。


健康経営優良法人の認定基準


中小法人部門での健康経営優良法人の認定基準は、大きく五つの項目に分けられます。


①経営理念・方針(経営者の自覚)

経営者が従業員の健康管理に取り組むことを明文化し、その文書などを組織内外に発信することなどが求められます。

②組織体制

工場、店舗などすべての事業場に従業員の健康管理の担当者を設置することなどが求められます。

③制度・施策実行

生活習慣病の予防対策やメンタルへルス対策など、具体的な取り組みへの実施状況が問われます。

④評価・改善

必要に応じて、医療保険者に40歳以上の従業員の健康診断のデータを提供することが求められます。

⑤法令遵守・リスクマネジメント

定期健診の実施有無や健康管理上の法令違反など、安全衛生上の状況について問われます。


このうち、③を除いた四つの項目についてはすべての内容を満たし、③については一定数をクリアすることが認定基準となります。


健康経営優良法人の申請方法


中小規模法人部門の認定までの流れについては、大きく分けて四つのフェーズとなります。

1. 協会けんぽなど保険者が取り組む「健康宣言」事業に参加

2. 「健康経営優良法人(中小規模法人部門)認定申請書」を提出

3. 健康経営優良法人認定委員会による審査

4. 日本健康会議による認定

認定日は例年2月頃、認定期間は認定日から翌年の3月31日までの約1年間となります。


まとめ


健康経営は、企業にとって必須の経営課題となりつつあります。健康経営優良法人の認定を受けることが、社内外に対する健康企業であることの確固たる証明になります。健康経営に取り組む上でのガイドラインとしても活用可能です。

・若手社員を確保したい

・従業員に元気に働いてもらいたい

・生産性を高めたい

このような経営課題を抱えるすべての中小企業にとって、健康経営優良法人の認定は目指す価値のあるものとなるでしょう。


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