〈まとめ〉オンラインで産業医に活動・面談してもらうための9要件を解説

最終更新日:2022年11月2日

新型コロナウイルスの流行によって、企業における「働き方」のみならず、産業医の活動にもオンラインやリモートへ移行する流れが起こりました。

リモートによる衛生委員会が許可されたことは記憶に新しいですが、産業医活動(面談等)も、オンラインによる実施が可となりました。

本記事では、オンラインで産業医に活動してもらうための要件・注意点等について解説していきます。


目次[非表示]

  1. 1.〈2020年11月〉オンラインで産業医面談を行うことが可能に
    1. 1.1.働き方の変化に合わせ可能となった産業医の「オンライン面談(面接指導)」
      1. 1.1.1.●「情報通信機器を用いた労働安全衛生法」とは?
    2. 1.2.オンライン面談では、産業医と労働者で円滑なやりとりができなければならない
  2. 2.〈要件①~④〉産業医のオンライン面談「医師(産業医)」に関する4要件
    1. 2.1.オンライン面談で「産業医(医師)」に求められる4つの要件
  3. 3.〈要件⑤~⑦〉産業医のオンライン面談「情報通信機器」に関する3要件
    1. 3.1.オンラインで面接指導を行う際「情報通信機器」に求められる3つの要件
  4. 4.〈要件⑧~⑨〉産業医のオンライン面談「実施方法等」に関する2要件
    1. 4.1.オンラインで面談を行う際「実施方法等」に求められる2つの要件
    2. 4.2.緊急時にも対応できる体制を整備しておくこと
  5. 5.〈2021年3月〉オンラインによる産業医活動のルール公表
    1. 5.1.オンラインで産業医に活動してもらう際のルールを知っておく
    2. 5.2.産業医がオンラインで活動する場合でも、職場巡視は原則実地で行う
    3. 5.3.産業医がオンライン開催の衛生委員会に出席する場合の注意点


〈2020年11月〉オンラインで産業医面談を行うことが可能に

働き方の変化に合わせ可能となった産業医の「オンライン面談(面接指導)」

休職・復職や長時間労働者などに向け、産業医は面接指導を行うことが決められています。

これまで、産業医と労働者が”面と向かって”話し合うことが一般的だった面接指導ですが、2020年には、新型コロナウイルス感染症の対策やオンライン化の推進等を目指し、産業医による面接指導もオンラインで行うことが認められるようになりました。

ただし、産業医がオンラインで面談を行う際には、いくつかの満たすべき要件があり、これらをクリアしている必要があります。

これについては「情報通信機器を用いた労働安全衛生」にて定められていますので、以下も確認しておきましょう。


●「情報通信機器を用いた労働安全衛生法」とは?

産業医による面接指導については「情報通信機器を用いた労働安全衛生法(※)」にて定められています。

同法では、産業医による面接指導について、これまで原則的に“直接対面で行うこと”を定めていました。

しかし、2020年11月の改正により、面接指導に関する「原則対面」の箇所が削除され、オンラインによる面接指導が認められています。

※出典「情報通信機器を用いた労働安全衛生法」第66条の8第1項、第66条の8の2第1項、第66条の8の4第1項及び第66条の10第3項


オンライン面談では、産業医と労働者で円滑なやりとりができなければならない

産業医が労働者と面談を行う際には、労働者とのやりとりやその様子(表情、しぐさ、話し方、声色など)から、労働者の疲労・ストレス・その他心身の状態を把握し、その情報を元に指導や就業措置等の判断を行う必要があります。

オンラインで面接指導を行う場合も同様に、円滑なやりとりにより心身の状態を把握することが可能であることが求められます。

また、面接指導を行う産業医から要望があった場合には、直接対面による面接指導を実施することが定められています。


〈要件①~④〉産業医のオンライン面談「医師(産業医)」に関する4要件

オンライン面談で「産業医(医師)」に求められる4つの要件

オンラインで面接指導を実施する際には、満たすべきいくつかの要件があります。

これを大きく分けると「産業医(医師)に関する要件」と、「使用する情報通信機器に関する要件」の2つになります。


まずは、オンラインで面接指導を行う「医師(産業医)」に関する要件について。

2020年11月に厚労省による通達を要約すると、次の①~④のいずれかに該当していることが望ましいとしています。


要件①「自社(※)の事業場で選任している産業医である」

要件②「少なくとも過去1年以上、自社の産業医として健康管理業務に携わっている」

要件③「過去1年以内に、産業医として自社の事業場を巡視した経験がある」

要件④「過去1年以内に、産業医として面接対象者に面接指導を実施したことがある」

※ここでの「自社」とは面接指導の対象となる労働者が所属する事業場をいいます。


上記①~④は要約です。詳細については、厚労省の通達(以下)を確認しておきましょう。

●面接指導をオンラインで実施する際「医師(産業医)」がいずれか満たすべき4要件

① 面接指導を実施する医師が、対象労働者が所属する事業場の産業医である場合

② 面接指導を実施する医師が、契約(雇用契約を含む)により、少なくとも過去1年以上の期間にわたって、対象労働者が所属する事業場の労働者の日常的健康管理に関

する業務を担当している場合。

③ 面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、対象労働者が所属する事業場を巡視したことがある場合。

④ 面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、当該労働者に指導等を実施したことがある場合。


出典:厚生労働省「基発1119第2号(令和2年11月19日)」より一部改変


〈要件⑤~⑦〉産業医のオンライン面談「情報通信機器」に関する3要件

オンラインで面接指導を行う際「情報通信機器」に求められる3つの要件

産業医の面接指導をオンラインで行う場合、情報通信機器にも満たすべき要件があります。

大まかに言えば、スムーズな面談を実現するための要件と、セキュリティに関する要件です。

使用する情報通信機器が次の⑤~⑦の3つすべての要件を満たしている必要があります。


要件⑤ 医師と労働者が相互かつ円滑に表情・顔色・声・しぐさを確認できること

要件⑥ 情報セキュリティが確保されていること

要件⑦ 情報通信機器の操作が容易に利用できるものであること


上記⑤~⑦は要約です。詳細については、厚労省の通達(以下)を確認しておきましょう。

●面接指導をオンラインで実施する際「情報通信機器」が満たすべき要件

⑤面接指導を行う医師と労働者とが相互に表情、顔色、声、しぐさ等を確認できるものであって、映像と音声の送受信が常時安定しかつ円滑であること。

⑥情報セキュリティ(外部への情報漏えいの防止や外部からの不正アクセスの防止)が確保されること。

⑦労働者が面接指導を受ける際の情報通信機器の操作が、複雑、難解なものではなく、容易に利用できること。

出典:厚生労働省「基発1119第2号(令和2年11月19日)」より一部改変


〈要件⑧~⑨〉産業医のオンライン面談「実施方法等」に関する2要件

オンラインで面談を行う際「実施方法等」に求められる2つの要件

産業医がオンラインで面談を行う際には、その実施方法についても要件をすべて満たしている必要があります。

具体的には次の⑧、⑨の2点ですが、事前に周知しておくことと、プライバシーへの配慮が重要になります、


要件⑧ オンライン面接指導の実施方法を衛生委員会等で審議し、労働者に周知しておく

要件⑨ オンライン面接指導の内容が第三者に知られないよう、プライバシーに配慮すること


上記⑧~⑨は要約です。詳細については、厚労省の通達(以下)を確認しておきましょう。

●面接指導をオンラインで実施する際「実施方法等」について満たすべき要件

⑧情報通信機器を用いた面接指導の実施方法について、衛生委員会等で調査審議を行った上で、事前に労働者に周知していること。

⑨情報通信機器を用いて実施する場合には、面接指導の内容が第三者に知られることがないような環境を整備するなど、労働者のプライバシーに配慮すること。


出典:厚生労働省「基発1119第2号(令和2年11月19日)」より一部改変


緊急時にも対応できる体制を整備しておくこと

オンライン面接指導の際、産業医(医師)が緊急を要する徴候を把握した場合でも対応できる体制を整備しておくことが求められています。

具体的には、近隣の医師等や事業場の産業保健スタッフが対応できることが必要になります。


〈2021年3月〉オンラインによる産業医活動のルール公表

オンラインで産業医に活動してもらう際のルールを知っておく

2021年3月31日には「情報通信 機器を用いた産業医の職務の一部実施に関する留意事項等について」が公表されました。

この背景には、急速なデジタル化の発展とともに、産業医の活動がオンラインで行われることへの企業等からのニーズの高まりがあるとされています。

また、この留意事項には産業医がオンラインで活動する際の注意点をはじめ、産業医および事業主に求められる事項が掲載されているためぜひご一読ください。

本記事では、中でも産業医活動をオンライン化した場合の職場巡視や衛生委員会の留意点について紹介します。


産業医がオンラインで活動する場合でも、職場巡視は原則実地で行う

産業医の活動を完全にオンラインに切り替えることは難しく、その理由のひとつが「職場巡視」です。各種の産業医活動がオンライン化できたとしても、職場巡視は原則実地で行う必要があるからです。

一般的に月1回(条件を満たしている場合は2か月に1回)行われる職場巡視を通じて、労働者にとって好ましくない環境になっていないかを産業医が確認します。

具体的には、職場巡視にて作業方法や職場の衛生状態を産業医が把握し、問題がある場合には直ちにその場で、労働者の健康障害を防止するための措置を講じる必要があります。


産業医がオンライン開催の衛生委員会に出席する場合の注意点

次に。パソコンやタブレット等の情報通信機器を活用し、衛生委員会をオンライン開催する場合についてです。

昨今では、衛生委員会に産業医がオンラインで参加するケースも増加していることが考えられます。

なお、オンライン形式の衛生委員会に産業医が出席する際には、前述した「情報通信機器を用いた 労働安全衛生法第17条、第18条及び第19条の規定に基 づく安全委員会等の開催について」(令和2年8月27日付 け基発0827第1号)に則って活動する必要があります。

具体的には、出席者の声色や表情が問題無く確認できることや、情報漏えいを防ぐためのセキュリティ対策などが挙げられます。

産業医がオンライン活動する際の留意点について紹介いたしました。

企業においてはテレワークが普及会し、今後の産業保健活動はリモート化が進むことが想定されます。

同時に、産業医にもインターネットや通信機器を扱うノウハウが求められる場面が増えてきているのではないでしょうか。


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サンポナビ編集部

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