【調査】産業医「オンラインで」が5割。コロナ禍のアンケートでわかったこと
最終更新日:2020年7月15日
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「オンラインが5割」コロナ禍、産業医の活動はどのようにシフトしたか
新型コロナウイルスの拡大に伴い、大きく変化したわれわれの働き方。
その代表的なものが「テレワーク」の導入といえます。
では、企業で健康管理に取り組む「産業医」の活動内容はどのように変化したのでしょうか。
アンケート調査の結果でわかったこと、そして専門家の分析をあわせてお知らせします。
●アンケート調査の概要
・アンケート実施者:株式会社エムステージ
・アンケート期間:2020年6月11日~17日
・アンケート対象者:産業医90名
・回答方法:WEBを利用したアンケート調査
●アンケート調査結果の要点
・50%の産業医が「オンライン実施」への切り替えを行なった。
・多くの産業医が「衛生委員会」をオンラインで実施。
・直接確認が重要となる「職場巡視」の活動ではオンライン化が進まなかった。
・ コロナ禍、半数以上の産業医が「衛生委員会」と「企業担当者からの相談」を重要だと判断。
・ 今後求められるサービスとしても「システム化・オンライン化」と「メンタルヘルスケア」に関するものが求められていることが分かった。
5割の産業医が「オンライン」によるの活動にシフトしていた
コロナ禍、オンラインで活動した産業医が最多
「 コロナ禍における、産業保健業務の実施状況を教えてください」という質問項目に対しては、「産業医活動をオンラインで実施した」が50%で最多となりました。
次いで「通常通り訪問した」が19%、「キャンセルした」が12%、「延期した」が10%という結果でした。
産業医がオンラインで行った活動内容のトップは「衛生委員会」
産業医のオンライン活動、主軸は「衛生委員会」
産業医がオンラインでおこなった活動の多くは「衛生委員会」で、全体の8割以上。
次いで「契約企業との面談」が44.7%、「面接指導」が40.4%、「社員からの健康相談」が38.3%という結果になりました。
職場巡視など、産業医が直接、職場の確認をすることが多い業務については、オンライン化がまだ難しいという印象でした。
約5割の産業医が「衛生委員会」「企業の相談先」の重要性を実感
重要と感じるのは、やはり企業と産業医のコミュニケーション
コロナ禍では、企業との連携に重要性を感じている産業医が多いことがわかりました。
産業保健活動の軸ともいえる「衛生委員会」が半数以上の52.2%。
次いで多かったのが「企業担当者からの相談」の50%。そして「職場巡視」が36.7%と続きました。
●産業医によるフリーコメントでは、以下のような意見もありました。
「(衛生委員会について)テレビであふれる情報の解釈法や、正しい感染対策などを話し合うことができた」
「(企業からの相談について)どのようにして適切なコロナ対策をすべきか、困っている企業が多かった 」
「(職場巡視について)コロナ対策ができているかどうかの確認を行った」
「(社員向け健康教育について)デマも多いため、医学的に正しい情報を提供することが効果的・効率的な対策につながる 」
「(社員からの健康相談)コロナに関連して、自身の健康状態を心配している社員が多かった」
産業医から求められている「オンライン活動」を実現する手段
産業医がオンライン活動を行う上で必要なものは何か?
次に、産業医業務のオンライン化で求められているツールやシステムについても質問。
もっとも多かったのが「企業訪問などのオンライン日程調整」で、全体の63%以上となりました。
次いで、「健診データがオンラインで閲覧できる健康管理システム」が61.1%、「メンタル対応で臨床心理士との連携・相談サービス」44.4%となっています。
●産業医によるフリーコメントでは、以下のような意見も。
「オンラインにより産業医活動の業務が効率化でき、企業と産業医双方にメリットがある。」
「オンライン化やシステム化できることは、出来るだけオンライン・システム上で行い、人がやるべき点に注力できるような産業保健サービスを期待する。」
産業医活動の「オンライン化」専門家はどう見ているか
企業への訪問できない事態でも、産業保健活動を続けるために
●専門家による分析とコメント
産業医・精神科医 穂積 桜医師
経団連が発表した「Society 5.0の実現に向けた規制・制度改革に関する提言」でも、産業医業務の遠隔化について言及されていましたが、今後は、訪問と組み合わせて一部業務はオンラインでの対応検討が予想されます。
また第二波・第三波により、事業場に行けなくなることも考えられるため、その中で産業保健活動を止めない、変化に対応できる柔軟性が産業医にも求められています。
オンラインの面談では、対面で同じ空気を共有することで伝わっていた部分を補い、必要な情報を引き出すため、より高いコミュニケーションスキルが必要です。
労務担当者や保健師から充分な事前情報を得ておくといった、連携強化も重要なポイントとなるでしょう。
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