【2020年】50人未満で申請可能!「小規模事業場産業医活動助成金」を解説

(最終更新日:2020年6月9日)

人事担当者の方は、産業医を選任すると助成金を申請できることをご存知ですか?

(独)労働者健康安全機構では、企業の産業保健活動を推進するため、各種の助成金制度を設けています。


中でも「小規模事業場産業医活動助成金」は従業員50人未満の事業場産業医・産業保健師を選任した際の費用や、契約した産業医・産業保健師に労働者が直接健康相談できる環境を整備した際にかかった費用などを申請することで、助成金が受け取れる制度です。

労働者健康安全機構のホームページによれば、助成金制度の注目が高まり、現在は申込件数が増加しているようです。

小規模事業場産業医活動助成金のかしこい利用方法と、申請の要件などについて解説します。

目次[非表示]

  1. 1.産業医の選任・保健師の選任・直接健康相談環境整備の3コースがある
    1. 1.1.自社の産業保健活動がどのコースに対応しているか確認する
  2. 2.産業医と契約し活動を行う「産業医コース」の要件・助成金額など
    1. 2.1.産業医コースの助成対象と助成金額
    2. 2.2.〈産業医コース〉申請のための要件
    3. 2.3.〈産業医コース〉産業保健活動の助成金を受け取るまでの手続き
  3. 3.保健師と契約し産業保健活動を行う「保健師コース」の要件・助成金額など
    1. 3.1.保健師コースの助成対象・助成金額
    2. 3.2.〈保健師コース〉申請のための要件
    3. 3.3.〈保健師コース〉助成金を受け取るまでの手続き
  4. 4.産業医や保健師に相談できるようにする「直接健康相談環境整備コース」の要件・助成金額など
    1. 4.1.環境整備コースの助成対象・助成金額
    2. 4.2.〈環境整備コース〉申請のための要件
    3. 4.3.〈環境整備コース〉助成金を受け取るまでの手続き

産業医の選任・保健師の選任・直接健康相談環境整備の3コースがある

自社の産業保健活動がどのコースに対応しているか確認する

職場で労働者の健康管理を効果的に行うためには、医学に関する専門職が不可欠です。

そして、従業員の健康を維持・増進させ、長く働いてもらえる環境を整えることの大切さは、企業規模の大小とは関係ありません。

また、「働き方改革」が進む近年では、産業医の選任義務が課されていない従業員50人未満の事業場でも、産業医を選任するケースが増えているようです。

産業保健体制の整備は、今いる従業員の離職防止や新規採用率の向上、企業のイメージアップなどブランディングとしても効果が期待できるからです。


労働者健康安全機構の「小規模事業場産業医活動助成金」には〈産業医コース〉〈保健師コース〉〈直接健康相談環境整備コース〉の3つのコースがあり、小規模事業場の産業保健活動を後押ししています。

以下で、1つずつ解説していきます。


産業医と契約し活動を行う「産業医コース」の要件・助成金額など

産業医コースでは、小規模事業場が2019年度以降、産業医と産業医活動の全部または一部を実施する契約を締結し、実際に産業医活動が行われた場合の費用を助成します。

産業医コースの助成対象と助成金額

産業医と、職場巡視、健康診断異常所見者に関する意見聴取、保健指導など、産業医活動の全部または一部を実施する契約をした場合に助成します。

●1事業場当たり6カ月ごとに10万円を上限とし、2回まで助成します。


〈産業医コース〉申請のための要件

  1. 小規模事業場(常時50人未満の労働者を使用する事業場)であること。
  2. 労働保険の適用事業場であること。(厚生労働省ホームページ掲載の「労働保険適用事業場検索」にて該当した事業場を適用事業場とみなす)
  3. 2019年度以降、産業医と職場巡視、健診異常所見者に関する意見聴取、保健指導など、産業医活動の全部または一部を実施する契約を新たに締結していること。
  4. 産業医が産業医活動の全部または一部を実施していること。
  5. 産業医活動を行う者は、自社の使用者・労働者以外の者であること


〈産業医コース〉産業保健活動の助成金を受け取るまでの手続き

① 産業医と産業医活動の契約

産業医と、産業医活動の全部または一部を実施する契約を締結する。

② 産業医活動の実施

契約に基づき産業医による職場巡視、健康診断異常所見者に関する意見聴取、保健指導など、産業医活動の全部または一部を実施する。

③ 産業医に対する支払い

産業医に対して、契約に基づき費用を支払う。

④ 支給申請(1回目)

必要な書類(6カ月分の産業医に支払った費用の領収書など)を添えて、労働者健康安全機構へ助成金の支給申請を行う。

⑤ 支給決定通知の受け取り、助成金受領

労働者健康安全機構から支給決定通知が届き、助成金が振り込まれる。

⑥ 支給申請(2回目)

必要な書類(6カ月分の産業医に支払った費用の領収書など)を添えて、労働者健康安全機構へ助成金の支給申請を行う。

⑦ 支給決定通知の受け取り、助成金受領

労働者健康安全機構から支給決定通知が届き、助成金が振り込まれる。

出典:「小規模事業場産業医活動助成金」の手引(令和元年度版)(産業医コース)


保健師と契約し産業保健活動を行う「保健師コース」の要件・助成金額など

保健師コースでは、小規模事業場が2019年度以降、新たに保健師と健診異常所見者や長時間労働者に対する保健指導、高ストレス者に対する健康相談、健康教育などの産業保健活動の全部または一部を実施する契約を締結し、実際に産業保健活動が行われた場合に、費用を助成します。

保健師コースの助成対象・助成金額

保健師と健診異常所見者や長時間労働者らに対する保健指導など、産業保健活動の全部または一部を実施する契約をした場合に助成します。

●1事業場当たり6カ月ごとに10万円を上限とし、2回まで助成します。


〈保健師コース〉申請のための要件

  1. 小規模事業場(常時50人未満の労働者を使用する事業場)であること。
  2. 労働保険の適用事業場であること。(厚生労働省ホームページ掲載の「労働保険適用事業場検索」にて該当した事業場を適用事業場とみなす)
  3. 2019年度以降、新たに保健師と、健診異常所見者や長時間労働者に対する保健指導、高ストレス者に対する健康相談、健康教育などの産業保健活動の全部または一部を実施する契約を新たに締結していること。
  4. 保健師が産業保健活動の全部または一部を実施していること。
  5. 産業保健活動を行う者は、自社の使用者・労働者以外の者であること。


〈保健師コース〉助成金を受け取るまでの手続き

① 保健師と産業保健活動の契約

保健師と産業保健活動の全部または一部を実施する契約を締結する。

② 産業保健活動の実施

契約に基づき保健師による健診異常所見者や長時間労働者に対する保健指導、高ストレス者に対する健康相談、健康教育などの産業保健活動の全部または一部を実施する。

③ 保健師に対する支払い

保健師に対して、契約に基づき費用を支払う。

④ 支給申請(1回目)

必要な書類(6カ月分の保健師に支払った費用の領収書など)を添えて、労働者健康安全機構へ助成金の支給申請を行う。

⑤ 支給決定通知の受け取り、助成金受領

労働者健康安全機構から支給決定通知が届き、助成金が振り込まれる。

⑥ 支給申請(2回目)

必要な書類(6カ月分の保健師に支払った費用の領収書など)を添えて、労働者健康安全機構へ助成金の支給申請を行う。

⑦ 支給決定通知の受け取り、助成金受領

労働者健康安全機構から支給決定通知が届き、助成金が振り込まれる。

出典:「小規模事業場産業医活動助成金」の手引(令和元年版)(保健師コース)


産業医や保健師に相談できるようにする「直接健康相談環境整備コース」の要件・助成金額など

直接健康相談環境整備コースでは、小規模事業場が、

①産業医と、職場巡視など産業医活動の全部または一部を実施する契約

②保健師と、健診異常所見者や長時間労働者に対する保健指導など、産業保健活動の全部または一部を実施する契約

上記の契約のいずれかに契約した産業医または保健師に労働者が直接健康相談できる環境を整備する条項を含めて締結し、労働者へ周知した場合に助成します。


環境整備コースの助成対象・助成金額

産業医と締結する産業医活動契約、または保健師と締結する産業保健活動契約のいずれかに、契約した産業医または保健師に労働者が直接健康相談できる環境を整備した条項を含めた場合に助成します。

●1事業場当たり6カ月ごとに10万円を一律支給。2回まで助成します。


〈環境整備コース〉申請のための要件

  1. 小規模事業場(常時50人未満の労働者を使用する事業場)であること。
  2. 労働保険の適用事業場であること。(厚生労働省ホームページ掲載の「労働保険適用事業場検索」にて該当した事業場を適用事業場とみなす)
  3. 産業医と、職場巡視など産業医活動の全部または一部を実施する契約、または保健師と、保健指導など産業保健活動の全部または一部を実施する契約のいずれかに契約した産業医または保健師に、労働者が直接健康相談できる環境を整備する条項を含めて2018年度以降新たに締結していること。
  4. 労働者へ産業医または保健師と労働者が直接相談できる仕組みを周知していること。
  5. 産業医活動もしくは産業保健活動を行う者は、自社の使用者・労働者以外の者であること。


〈環境整備コース〉助成金を受け取るまでの手続き

①産業医または保健師と産業医活動などの契約

産業医または保健師と締結する産業医活動契約に、産業医または保健師に労働者が直接健康相談できる環境を整備した条項を含めた内容の契約を締結する。

②直接健康相談環境整備の周知

労働者へ産業医または保健師と労働者が直接健康相談できる環境を整備したことを周知する。

③支給申請(1回目)

契約施行開始日から6カ月経過後、必要な書類を添えて、労働者健康安全機構へ助成金の支給申請を行う。

④支給決定通知の受け取り、助成金受領

労働者健康安全機構から支給決定通知が届き、助成金が振り込まれる。

⑤支給申請(2回目)

1回目の申請対象となった産業医活動など実施期間の最終月の翌月から6カ月経過後、必要な書類を添えて、労働者健康安全機構へ助成金の支給申請を行う。

⑥支給決定通知の受け取り、助成金受領

労働者健康安全機構から支給決定通知が届き、助成金が振り込まれる。
出典:「小規模事業場産業医活動助成金」の手引(令和元年度版)(直接健康相談環境整備コース)


小規模事業場産業医活動助成金「3コース」について、理解できましたか?

助成金に関する問い合わせは、労働者健康安全機構か最寄りの産業保健総合支援センターで受け付けています。

助成金を活用して、産業保健体制を整備してみてはいかがでしょうか。

参考:労働者健康安全機構令和元年度版 産業保健関係助成金(労働者健康安全機構HP)


◆あわせて読みたい関連記事:「再生医療ベンチャーが、従業員50人未満で産業医を選任した理由は?(企業事例)

  【2019年度版】ストレスチェック助成金の準備と申請の方法を解説! | エムステージ 産業保健サポート 従業員50人未満の事業場が受けとる事が出来るストレスチェックの助成金について、申請方法など2019年時点の最新情報を解説します。 エムステージ 産業保健サポート

◆「産業医の選任」についてもっと知りたい方はこちらの記事もチェック:「産業医を探すにはどんな方法がある?メリット・デメリットを解説します

記事作成:サンポナビ編集部

 産業医についてお悩みなら

産業医を選任したい、産業医を見直したい、企業の産業保健活動に悩みがある…。産業保健のお困りごとは、エムステージの「産業医サポートサービス」が解決します。

関連記事


【企業事例】2017年に健康経営を宣言「DAIDO-ココ・カラ」と称して積極的に推進する大同生命の健康経営の取組み

「健康経営優良法人」の認定は、企業にとって多くのメリットがあります。大同生命保険株式会社では、自社独自の健康経営プログラム「KENCO SUPPORT PROGRAM」を運用し「ホワイト500」を取得。先進的な取組について、同社の活動を推進する人事総務部の増岡博史さんにお話を伺いました。

「健康経営」取り組む現場は混乱中!2017年企業からのSOSを振り返る

働き方改革だ、健康経営だ、長時間残業は減らせ、など2017年は企業人事を混乱の渦に巻き込む潮流が多くあった。株式会社エムステージ執行役員鈴木友紀夫氏に、ここ一年ほどの企業現場から寄せられたSOS、産業医選任についての取り組み例などを聞いた。

「健康投資管理会計ガイドライン」とは? 運用&会計開示のメリットを紹介

2020年6月に策定された「健康投資管理会計ガイドライン」。ガイドラインに関する企業での運用、会計を開示することのメリットについてまとめた記事です。