【2022年度】申請要件・期間は?「小規模事業場産業医活動助成金」の解説
(最終更新日:2022年4月6日)
人事担当者の方は、産業医を選任する、保健師を導入する等、産業保健活動を行うことで助成金が申請できることをご存知でしょうか。
(独)労働者健康安全機構では、厚生労働省の産業保健活動総合支援事業の一環として、企業の産業保健活動を推進するため、各種の助成金制度を設けています。
中でも「小規模事業場産業医活動助成金」は従業員50人未満の事業場が産業医・産業保健師を選任した際の費用や、契約した産業医・産業保健師に労働者が直接健康相談できる環境を整備した際にかかった費用などを申請することで、助成金が受け取れる制度です。
小規模事業場産業医活動助成金のかしこい利用方法と、申請の要件などについて解説します。
目次[非表示]
- 1.産業医コース・保健師コース・直接健康相談環境整備コースの3つがある
- 2.産業医と契約し活動を行う「産業医コース」の申請要件・助成金額・期間
- 2.1.産業医コースの助成対象と助成金額
- 2.2.〈産業医コース〉申請のための要件
- 2.3.〈産業医コース〉産業保健活動の助成金を受け取るまでの手続き
- 2.4.産業医コースの申請に関する実施期間・申請期間
- 3.保健師と契約し産業保健活動を行う「保健師コース」の申請要件・助成金額・期間
- 3.1.保健師コースの助成対象・助成金額
- 3.2.〈保健師コース〉申請のための要件
- 3.3.〈保健師コース〉助成金を受け取るまでの手続き
- 3.4.保健師コースの申請に関する実施期間・申請期間
- 4.産業医や保健師に相談できるようにする「直接健康相談環境整備コース」の申請要件・助成金額・期間
- 4.1.環境整備コースの助成対象・助成金額
- 4.2.〈環境整備コース〉申請のための要件
- 4.2.1.助成金を受けるための「事業場」の要件
- 4.2.2.助成金を受けるための「取組」の要件
- 4.3.〈環境整備コース〉助成金を受け取るまでの手続き
- 4.4.環境整備コースの申請に関する実施期間・申請期間
産業医コース・保健師コース・直接健康相談環境整備コースの3つがある
自社の産業保健活動がどのコースに対応しているか確認する
職場で労働者の健康管理を効果的に行うためには、医学に関する専門職の存在が必要です。
そして、従業員の健康を維持・増進させ、長く働ける環境を整えることの大切さは、企業規模の大小とは関係ありません。
働き方改革や健康経営への注目が高まる近年では、産業医の選任義務が課されていない従業員50人未満の事業場でも、産業保健スタッフを選任するケースが増えているようです。
その理由のひとつに、産業保健体制の整備は、従業員の離職防止や新規採用率の向上、企業のイメージアップなどブランディングとしても効果が期待できるからです。
労働者健康安全機構の「小規模事業場産業医活動助成金」には〈産業医コース〉〈保健師コース〉〈直接健康相談環境整備コース〉の3つのコースがあり、小規模事業場の産業保健活動を後押ししています。
以下で、1つずつ解説していきます。
産業医と契約し活動を行う「産業医コース」の申請要件・助成金額・期間
「産業医コース」では、小規模事業場が新たに産業医と産業医活動の全部または一部を実施する契約を締結し、実際に産業医活動が行われた場合の費用を助成します。
産業医コースの助成対象と助成金額
産業医と、職場巡視、健康診断異常所見者に関する意見聴取、保健指導など、産業医活動の全部または一部を実施する契約をした場合に助成します。
●1事業場当たり6カ月ごとに10万円を上限とし、2回まで助成します。
〈産業医コース〉申請のための要件
- 小規模事業場(常時50人未満の労働者を使用する事業場)であること。
- 労働保険の適用事業場であること。(厚生労働省ホームページ掲載の「労働保険適用事業場検索」にて該当した事業場を適用事業場とみなす)
- 産業医と事業場が「産業医活動に係る契約」(職場巡視、健診異常所見者に係る 意見聴取、保健指導等、産業医活動の全部又は一部を実施する契約)を締結して いること。
- 産業医が産業医活動の全部または一部を実施していること。
- 産業医活動を行う者は、自社の使用者・労働者以外の者であること
〈産業医コース〉産業保健活動の助成金を受け取るまでの手続き
① 産業医と産業医活動の契約
産業医と、産業医活動の全部または一部を実施する契約を締結する。
② 産業医活動の実施
契約に基づき産業医による職場巡視、健康診断異常所見者に関する意見聴取、保健指導など、産業医活動の全部または一部を実施する。
③ 産業医に対する支払い
産業医に対して、契約に基づき費用を支払う。
④ 助成金の支給申請
契約施行開始日から6か月以上経過した後、申請期間を確認の上、必要な書類を添えて、労働者健康安全機構へ助成金の支給申請を行う。
⑤ 支給決定通知の受け取り、助成金受領
労働者健康安全機構から支給決定通知書が届き、本助成金が支払われる。
産業医コースの申請に関する実施期間・申請期間
小規模事業場産業医活動助成金【産業医コース】の実施期間と申請期間は以下のようになっています。
●取組の実施期間
①上半期:2022年4月1日~2022年9月 30 日まで
②下半期:2022年10 月1日~2023年3月 31 日まで
※「継続する6か月以上の産業医活動実施期間」の最終日が、上記①又は②の期 間中である必要があります。また、取組の実施時期によって申請期間が異なりますので注意してください。
●助成金の申請期間
①上半期の場合:2022年11月1日~2023年3月31日まで(消印有効)
②下半期の場合:令和2023年5月1日~令和2023年10月31日まで(消印有効)
当ブログ「サンポナビ」では、無料のガイドブックを公開していますので、ぜひチェックしてみてください。
保健師と契約し産業保健活動を行う「保健師コース」の申請要件・助成金額・期間
「保健師コース」では、小規模事業場が、新たに保健師と健診異常所見者や長時間労働者に対する保健指導、高ストレス者に対する健康相談、健康教育などの産業保健活動の全部または一部を実施する契約を締結し、実際に産業保健活動が行われた場合に、費用を助成します。
保健師コースの助成対象・助成金額
保健師と健診異常所見者や長時間労働者らに対する保健指導など、産業保健活動の全部または一部を実施する契約をした場合に助成します。
●1事業場当たり6カ月あたり10万円を上限とし、2回まで助成します。
〈保健師コース〉申請のための要件
- 小規模事業場(常時50人未満の労働者を使用する事業場)であること。
- 労働保険の適用事業場であること。(厚生労働省ホームページ掲載の「労働保険適用事業場検索」にて該当した事業場を適用事業場とみなす)
- 保健師と事業場が「産業保健に係る契約」(健診異常所見者や長時間労働者等に 対する保健指導、高ストレス者等に対する健康相談、健康教育等の産業保健活動 の全部又は一部を実施する契約)を締結していること。
- 保健師が産業保健活動の全部または一部を実施していること。
- 産業保健活動を行う者は、自社の使用者・労働者以外の者であること。
〈保健師コース〉助成金を受け取るまでの手続き
① 保健師と産業保健活動の契約
保健師と産業保健活動の全部または一部を実施する契約を締結する。
② 産業保健活動の実施
契約に基づき保健師による健診異常所見者や長時間労働者に対する保健指導、高ストレス者に対する健康相談、健康教育などの産業保健活動の全部または一部を実施する。
③ 保健師に対する支払い
保健師に対して、契約に基づき費用を支払う。
④ 助成金支給申請
契約施行開始日から6か月以上経過後、申請期間を確認の上、必要な書 類を添えて、労働者健康安全機構へ本助成金の支給申請を行う。
⑤ 支給決定通知の受け取り、助成金受領
労働者健康安全機構から支給決定通知書が届き、本助成金が支払われる。
保健師コースの申請に関する実施期間・申請期間
小規模事業場産業医活動助成金【保健師コース】の実施期間と申請期間は以下のようになっています。
●取組の実施期間
①上半期:2022年4月1日~2022年9月 30 日まで
②下半期:2022年10 月1日~2023年3月 31 日まで
※「継続する6か月以上の産業医活動実施期間」の最終日が、上記①又は②の期 間中である必要があります。また、取組の実施時期によって申請期間が異なりますので注意してください。
●助成金の申請期間
①上半期の場合:2022年11月1日~2023年3月31日まで(消印有効)
②下半期の場合:令和2023年5月1日~令和2023年10月31日まで(消印有効)※ 申請期間中でも助成金支給申請の受付を終了することがありますのでご 了承ください。
産業医や保健師に相談できるようにする「直接健康相談環境整備コース」の申請要件・助成金額・期間
直接健康相談環境整備コースでは、小規模事業場が、
①産業医と、職場巡視など産業医活動の全部または一部を実施する契約
②保健師と、健診異常所見者や長時間労働者に対する保健指導など、産業保健活動の全部または一部を実施する契約
上記の契約のいずれかに契約した産業医または保健師に労働者が直接健康相談できる環境を整備する条項を含めて締結し、労働者へ周知した場合に助成します。
環境整備コースの助成対象・助成金額
産業医と締結する産業医活動契約、または保健師と締結する産業保健活動契約のいずれかに、契約した産業医または保健師に労働者が直接健康相談できる環境を整備した条項を含めた場合に助成します。
●1事業場当たり6カ月ごとに10万円を一律支給。2回まで助成します。
〈環境整備コース〉申請のための要件
助成金を受けるための「事業場」の要件
- 小規模事業場(常時50人未満の労働者を使用する事業場)であること。
- 労働保険の適用事業場であること。(厚生労働省ホームページ掲載の「労働保険適用事業場検索」にて該当した事業場を適用事業場とみなす)
助成金を受けるための「取組」の要件
以下、1~3のすべてを実施している必要があります。
- 産業医活動に係る契約(産業医と職場巡視等、産業医活動の全部又は一部を実 施する契約)又は産業保健活動に係る契約(保健師と保健指導等、産業保健活動 の全部又は一部を実施する契約)のいずれかの契約を締結し、かつ、労働者が産 業医又は保健師に直接健康相談できる環境を整備する内容を盛り込んで契約を締 結していること。(連続する6か月以上の契約)。
- 労働者へ産業医または保健師と労働者が直接相談できる仕組みを周知していること。
- 産業医活動もしくは産業保健活動を行う者は、自社の使用者・労働者以外の者であること。
〈環境整備コース〉助成金を受け取るまでの手続き
① 産業医または保健師と産業医活動などの契約
産業医と締結する産業医活動契約又は保健師と締結する産業保健活動契約のいずれ かの契約を締結し、かつ、労働者が産業医又は保健師に直接健康相談できる環境を整 備する。
② 直接健康相談環境整備の周知
労働者へ産業医または保健師と労働者が直接健康相談できる環境を整備したことを周知する。
③ 産業医または保健師に対する支払い
産業医または保健師に対して、契約に基づき費用を支払う。
④ 助成金支給申請
契約施行開始日から6か月以上経過後、申請期間を確認の上、必要な 書類を添えて、労働者健康安全機構へ本助成金の支給申請を行う。
⑤助成金支給決定通知書の受取、助成金の受領
労働者健康安全機構から支給決定通知書が届き、本助成金が支払われる。
環境整備コースの申請に関する実施期間・申請期間
小規模事業場産業医活動助成金【環境整備コース】の実施期間と申請期間は以下のようになっています。
●取組の実施期間
①上半期:2022年4月1日~2022年9月 30 日まで
②下半期:2022年10 月1日~2023年3月 31 日まで
※「継続する6か月以上の産業医活動実施期間」の最終日が、上記①又は②の期 間中である必要があります。また、取組の実施時期によって申請期間が異なりますので注意してください。
●助成金の申請期間
①上半期の場合:2022年11月1日~2023年3月31日まで(消印有効)
②下半期の場合:令和2023年5月1日~令和2023年10月31日まで(消印有効)※ 申請期間中でも助成金支給申請の受付を終了することがありますのでご 了承ください。
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「これから産業医を選任したいけど、よくわからない点が多い・・・」
「担当者は、どんな準備をしておけば良いの・・・?」と、お悩みではありませんか?
当ブログ「サンポナビ」では、産業医の選任に関する無料のガイドブックを公開していますので、ぜひチェックしてみてください。
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小規模事業場産業医活動助成金「3コース」について、理解できましたか?
助成金に関する問い合わせは、労働者健康安全機構か最寄りの産業保健総合支援センターで受け付けています。
助成金を活用して、産業保健体制を整備してみてはいかがでしょうか。
参考:労働者健康安全機構令和3年度版 産業保健関係助成金(労働者健康安全機構HP)
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