企業事例×55 万人のストレスチェック結果から考える コロナ禍 3 年目に向けた 《新》メンタルヘルス対策
2022年2月15日・18日、産業保健サービスを提供する株式会社エムステージと、人材の“採用”から“定着”、その先の“活躍”までを支援する株式会社ヒューマネージの共催により、健康経営・産業保健に関するオンラインセミナー(無料)を開催。
精神科医・産業医の堤多可弘氏による特別講演をはじめ、株式会社ニチレイ様と日本生命保険相互会社様による健康経営の事例も紹介されました。
企業の人事労務・総務担当者をはじめ、産業保健スタッフ等500名以上が参加したセミナーの様子をレポートします。
〈特別講演〉「コロナ時代のメンタルヘルス対策」~企業のコミュニケーション3.0~
特別講演には、精神科であり産業医としてもご活躍されている堤多可弘氏が登壇。
新型コロナウイルスの流行や働き方が多様化している社会的背景から、今こそ職場で必要なコミュニケーションについて語りました。
職場におけるコミュニケーションでは「上手な叱り方や褒め方」も重要であり、その実践方法(具体例)と要点を解説。
同時に、産業医とともに職場の健康経営を実現していくために、社内の不調者をいち早く発見できる「KAPEサイン」や「2×2メソッド」なども併せて紹介しました。
また、相談上手になれるアサーションの手法や、より良い対話方法としての「DESC法」にも触れたほか、復職支援に対応する各種ツールの紹介など、実務に役立つ内容が例示されました。
企業2社による、健康経営推進の取り組み事例
〈講師:金澤小也香氏〉企業事例①株式会社ニチレイ様
株式会社ニチレイに保健師として在籍されている金澤小也香氏は、同社グループで取り組むメンタルヘルス不調対策の活動について講演。
セルフケアの推進では、従業員一人ひとりがメンタルヘルスの基礎知識を習得できるよう、e-ラーニングおよびセミナーも実施しています。
また、同社では万が一メンタル不調者が発生した場合にも対応が可能となるフォロー体制が整備されています。
人事や管理職、産業保健スタッフのきめ細かな連携体制をはじめ、復帰・復職のフロー策定等、様々な活動内容とその重要性についても語りました。
〈講師:田中学氏〉企業事例②日本生命保険相互会社様
2社目の事例では、日本生命保険相互会社にて健康経営推進部の課長を務める田中学氏が登壇。同社の健康経営への取り組みについて語りました。
社内での具体的な取り組みとして述べたのは、各部署の健康カルテを所属長に共有して健康課題を把握し、所属長自身が改善策を策定し実行するラインケアです。
そのほか、WEBラーニングでのセルフケア動画の提供や、『こころのひろば』設置など、セルフケアの充実にも取り組んでいることを紹介しました。
メンタルヘルスに関する調査報告と産業保健の動向
〈講師:永野史彰氏〉コロナ禍2年目における、55万人のストレスチェック大規模分析の報告
株式会社ヒューマネージの展開するストレスチェックサービス『Co-Labo』。
同社事業戦略グループの永野史彰氏は、コロナ禍2年目の働く人々のメンタルヘルスについて、同社のストレスチェック『Co-Labo』の結果データ、55万人の大規模分析の結果を報告しました。
そして、「コロナ禍2年目において、働く人のストレスにどのような変化が起きたのか、どのような影響を与えているのか」 をデータから以下のように読み解き、コロナ禍3年目となる2022年に向けた提言を行いました。
①20代を除いて高ストレス者率が良化した2020年の「抵抗期」とは異なり、2021年は全世代のストレス反応が悪化しており、「疲憊(ひはい)期」に入っている。それを踏まえ、管理者によるラインケアや管理者自身のセルフケア、管理者によるラインケア、管理者自身のセルフケアを促進するしていくこと。
②2020年と2021年でストレスチェックの結果を比較した結果、ストレッサー、ソーシャルサポート、ストレス反応の多くの項目においてポイントの悪化が見られた。ポイント悪化に対してのストレスコーピングとして、ソーシャルスキルやソーシャルサポートの拡充や、特に悪化が見られた「働きがい」に対して、エンゲージメント・サーベイの活用等による改善を図ること。
③出社とリモートワークを組み合わせた「ハイブリット出社」が最もストレスリスクが低いという結果から、個人の素質や業務特性に応じたテレワークの活用など、オンライン化する労働環境に即した形に、マネジメントおよびコミュニケーションを アップデートすること。
〈講師:佐山智哉〉産業保健の最新動向~実際の取り組みを紹介~
産業保健支援サービスを提供する株式会社エムステージ。最後は、同社にて産業保健事業部のマネージャーを務める佐山智哉が登壇。
産業保健の最新動向について講演し、コロナ禍2年目のストレスチェック結果より、高ストレス者の増加と「働きがい」が低下している状況を解説しました。
また、若年層だけでなく全世代でメンタルヘルス不調のリスクが高まっている点を振り返り、改善のための事例を提示。
コロナ禍による様々な影響・変化を背景に、企業等では産業保健体制の強化や見直しが活発になっていることに触れました。
そして、身体的・精神的な健康に社会的な健康が加わった状態=ウェルビーイング(Well-being)に着目した取り組みの解決方法として、エンゲージメント向上のための具体的な方法を紹介。
セミナーは盛会のうちに幕を閉じました。
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株式会社エムステージでは、今後も産業保健や健康経営をテーマにしたセミナーを開催予定です。
ぜひ、人事や労務ご担当の方、経営者の方は、参加をご検討ください。