【平成29年度版】ストレスチェック助成金、解説します!
平成27年よりスタートした「ストレスチェック助成金制度」。
平成29年度には、従業員50人未満の事業場に対してストレスチェックを実施する「努力義務」が発表されました。加えて、助成金の申請に関する内容も改正され、より実施がしやすく変化しています。
今回は、ストレスチェック助成金の概要と申請から取得までの流れを紹介し、29年度の改正点やその他の助成金制度についても解説します。
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<目次>
まずはじめに、ストレスチェックとは?
ストレスチェックとは、厚生労働省によると下記のように説明されています。
ストレスチェックとはストレスに関する質問票(選択回答)に労働者が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。
ストレスチェックは労働者のストレスの度合いを把握するだけでなく、労働者自身にもストレスを認知させる目的があります。
さらに、調査結果を踏まえて職場を働きやすく改善し、労働者のメンタル面での不調を未然に防ぐという目的もあります。
ストレスチェック制度は、平成26年(2014年)6月に公布された「労働安全衛生法の一部を改正する法律」(平成27年12月1日施行)によって、従業員50人以上の事業場に実施が義務付けられました
平成29年度に制度改正!何が変わったの?
ストレスチェックの助成金制度は、平成27年(2015年)からスタートしています。
当時は、50人未満の事業場がストレスチェックを行う際、「他の小規模事業場と団体を構成する」という条件があり、規模の小さい事業場がストレスチェックを行いづらい状況がありました。
しかし、平成28年4月の改正により、「他の小規模事業場と団体を構成する」条件が撤廃され、50人未満の事業場でも簡単にストレスチェックを実施する事が出来るようになりました。
そして平成29年(2017年)の改正により、助成金制度は下記の変更点が追加されました。
- 従業員50人未満の事業場は実施の「努力義務」
- 小規模事業場登録の届出が撤廃
- ストレスチェック実施対象期間は1年度単位
- 申請期間は4月15日から翌年度6月30日まで
- 産業医の活動が「ストレスチェック実施後に面接指導を実施すること」「面接指導の結果について、事業主に意見陳述をすること」の2点に変更
ストレスチェックの助成金を受け取るには、下記の条件を満たす必要があります。
- 労働保険の適用事業場であること。
- 常時使用する従業員が派遣労働者を含めて50人未満であること。
- ストレスチェックの実施者が決まっていること。
- 事業者が産業医資格を持った医師と契約し、ストレスチェックに係る医師による活動の全部又は一部を行わせること。
- ストレスチェックの実施及び面接指導等を行う者は、自社の使用者・労働者以外の者であること。
ストレスチェックの助成金は、条件の5にあるように、外部機関にストレスチェックを委託した場合にのみ支払われます。また、従業員50人未満の事業場に対してのみ適用されるもので、50人以上の事業場には適用することができません。
ストレスチェックを実施した場合に受け取れる助成金の上限は、下記のようになっています。
- 1従業員につき500円
- 1事業場あたり産業医1回の活動につき21,500円(3回を上限とする)
50人未満の事業場は産業医の雇用義務はありませんが、実際に産業医を雇用し、ストレスチェックを行う企業は産業医1回の活動ごとに助成金を受け取る事が出来ます。
ストレスチェックの実施を産業医と共に行った場合に助成金が出るシステムになっているため、国としては産業医の雇用を推奨する方向にあると言えます。
また、ストレスチェックの助成金は、小規模の事業場の費用負担を軽減する目的があります。小規模の職場であるからこそ、従業員の不調を早めに見つけて対処することが必要と考えられます。小規模の職場においても、ストレスチェックの結果を踏まえて働きやすい環境に改善し、利益や生産性の向上に繋がるよう導くことが可能です。
ストレスチェックの助成金を受け取るまでの流れ
ストレスチェックの助成金を受け取るまでの流れは下記の通りです。
【1】ストレスチェック導入の準備
ストレスチェック実施方法など社内もしくは実施者と検討の上、ルールを決定し、あらかじめ従業員へ通達を行います。
※従来では、50人未満の事業場が助成金を受けとる際は「小規模事業場登録届出」を提出する必要がありましたが、改正により提出義務がなくなりました。
【2】ストレスチェックの実施
平成29年度におけるストレスチェックの実施対象期間は
【平成29年度4月1日から平成30年度3月31日】となります。
医師または保健師などの実施者が内容を確認した質問表を配布、もしくはITシステムを用いてストレスチェックを実施します。
実施結果を実施事務従事者が集計し、医師等などの実施者が分析、分析結果を回答者である従業員へそれぞれ通知をします。
【3】面接などの指導
医師などの実施者が必要と判断した者に対して実施者から面談の告知を行い、従業員から面談希望の申出があれば、事業者は面接の場を設ける必要があります。
面談結果等から事業者は従業員に対して就業上の措置を行います。
【4】ストレスチェック助成金の申請
ストレスチェック実施後に「独立行政法人労働者健康安全機構」に助成金の受け取り申請をする必要があります。
以下が助成金を受け取るために必要な書類になります。
- ストレスチェック助成金支給申請書
- 産業医との契約書(写)
- 産業医の要件を備えた医師であることを証明する書類(写)
- 労働保険概算・確定保険料申告書等(写)
- 労働保険料一括納付に係る証明書(該当事業場のみ)
- ストレスチェック実施者の要件を備えていることを証明する書類(写)(該当者のみ)
- ストレスチェック実施報告書(様式第2号)
- ストレスチェックに係る医師による活動報告書(様式第3号)
- ストレスチェック実施者へ支払った費用の領収書(写)
- 産業医へ支払った費用の領収書(写)
- ストレスチェック助成金支給申請チェックリスト 兼 同意書(様式第4号)
- 事業場宛ての返信用封筒(82 円切手貼付)
ストレスチェックの助成金を受け取るためには以下の条件を守らなければなりません。
- ストレスチェックの実施から6ヶ月以内でなければならない。
- 平成29年度4月15日から平成30年度6月30日までの間に申請をしなければならない。
また、申請期間は申請状況によって、助成金の給付額が上限に達してしまい、予告なく受付が終了してしまう可能性もあります。
そのため、ストレスチェックをなるべく早く実施し、実施後すぐに助成金の申請を行う事が確実です。
【5】審査の結果通知および支給
申請の内容が適当であれば労働者健康安全機構から「助成金支給決定通知書」が送付され、助成金が指定した金融機関の口座へ振り込まれます。
内容が適当でない場合、労働者健康安全機構から「助成金不支給決定通知書」が送付されます。
以上がストレスチェックを実施し、助成金を受け取るまでの流れとなります。
ポイントとして
- ストレスチェック実施の際して、事前に「小規模事業場登録届出」を提出する必要がなくなった
- 申請書類の提出はストレスチェック実施後6ヶ月以内に提出する必要がある
- 今年度のストレスチェック実施対象期間は【平成29年4月1日から平成30年3月31日まで】
- ストレスチェック助成金申請期間は【平成29年4月15日から平成30年6月30日まで】
の4点をしっかりと抑えておきましょう。
ストレスチェック以外にも様々な助成金が
ここまで、ストレスチェックの助成金について説明してきました。
ストレスチェック助成金は、厚生労働省による「産業保健活動総合支援事業」の一環として行われています。ストレスチェック助成金は、「産業保健関係助成金」という区分に入ります。平成29年(2017年)度、産業保健関係助成金には新たに下記の助成金がプラスされました。
職場環境改善計画助成金(Aコース)
ストレスチェック実施後に産業医の指導を受け、集団分析結果を踏まえて職場環境改善計画書を作成し、改善の実施に向けて負担した費用を助成するものです。企業の規模は選びません。
職場環境改善計画助成金(Aコース)についてはこちら
職場環境改善計画助成金(Bコース)
産業保健総合支援センターのメンタルヘルス対策促進員の助言を受け、同様に集団分析結果を踏まえて職場環境改善計画書を作成し、計画に基づいた実施した改善策にかかった費用を助成するものです。企業の規模は選びません。
職場環境開園計画助成金(Bコース)についてはこちら
心の健康づくり計画助成金
産業保健総合支援センターのメンタルヘルス対策促進員の助言を受けて心の健康づくり計画を作成し、計画に基づいて対策を実施した場合に費用を助成するものです。企業の規模は選びません。
心の健康づくり計画助成金に関する概要はこちら
小規模事業場産業医活動助成金
労働者50人未満の事業場が産業医活動の全部または一部の実施を産業医と契約し、活動が行われた際に費用を助成するものです。
小規模事業場産業医活動助成金に関する概要はこちら
この他にも、厚生労働省では雇用に関しての支援や助成金、障害者に向けての支援や助成金などの各種事業にも取り組んでいます。
以上、ストレスチェックの概要からストレスチェック助成金について給付条件から実際に給付を受けるまでの流れを解説してきました。
現在、企業における労働者のメンタルヘルスの管理は非常に重要な課題と言っても過言ではありません。そのため、50人未満の事業場であってもストレスチェックを実施する事は労働者のメンタルヘルスを管理するには必要不可欠と言えるでしょう。
現在は50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施は努力義務と定められていますが、今後義務化となる可能性は十分にあるでしょう。
義務化となる将来を見据えて、まずは助成金を活用してストレスチェックの実施体制を整え、今後の事業場の従業員の増加あるいは50人未満の事業場のストレスチェック実施の義務化に備える事をおすすめいたします。
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