パートは健康診断実施の対象者? 企業の義務となる範囲を確認しよう

企業には、労働安全衛生法により、労働者の健康診断の実施が義務付けられています。労働者にはさまざまな契約形態がありますが、パートタイム労働者などの短時間労働者は実施義務の対象になるのでしょうか。健康診断の種類と、企業が実施義務となる労働者の範囲を確認してみましょう。

目次[非表示]

  1. 1.企業は、労働者に対して健診を実施する義務がある
  2. 2.1年以上の契約で正社員の4分の3以上働くパートは健診実施義務の対象
  3. 3.「実施が望ましい」パートで、定期健診を受診したのは7割
  4. 4.厚労省が紹介する、パートを対象に健診を実施する優れた事例

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企業は、労働者に対して健診を実施する義務がある

企業は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者の健康確保のために、労働者に対して医師などによる健康診断を実施することが義務となっています。また、労働者は、企業が行う健康診断を受けなければなりません。

まず、企業に実施が義務付けられている健康診断の種類を見てみましょう。

職種に関係なく、常時雇用する労働者を対象とした「一般健康診断」と、有害な業務に従事する労働者に対する「特殊健康診断」や「じん肺健診」などがあります。

健康診断の種類と対象

健康診断の種類と対象

出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署資料より

これらの健康診断の実施義務の範囲には、パートタイム労働者などの短時間労働者は含まれるのでしょうか。

1年以上の契約で正社員の4分の3以上働くパートは健診実施義務の対象

企業は、一般健康診断の場合、無期契約もしくは契約期間が1年以上の有期契約で、正社員の週所定労働時間の4分の3以上働くパートタイム労働者に対しては、健康診断を実施する義務があります。

また、法令上の実施規定はないものの、一般健康診断の場合、無期契約もしくは契約期間が1年以上の有期契約で、正社員の週所定労働時間の2分の1以上、4分の3未満働くパートタイム労働者は、実施が望ましいとされています。一方で、2分の1未満の場合は、実施根拠規定がありません。

また、契約期間が1年未満の有期契約のパートタイム労働者にも、労働時間に関わらず健康診断を実施する根拠規定はありません。

ちなみに特殊健康診断の場合は、有害業務に常時従事する場合、契約形態や週所定労働時間に関わらず健康診断を実施する義務が定められています。

パートタイム労働者の健康診断の実施義務

出典:厚生労働省リーフレットより

「実施が望ましい」パートで、定期健診を受診したのは7割

「パートタイム労働者等の健康管理事業調査報告書」(2014年、厚生労働省事業)によると、パートタイム労働者が働く事業所のうち、パートタイム労働者を含む労働者を対象に定期健診を実施している事業所は85.9%、正社員のみを対象に実施している事業所は11.7%でした。

また、パートタイム労働者アンケートでは、定期健診の実施が望ましいとされている「正社員の週所定労働時間の2分の1以上、4分の3未満働くパートタイム労働者」のうち、定期健診を受診したのは72.1%でした。

パートタイム労働者アンケート

出典:厚生労働省「パートタイム労働者の健康診断を実施しましょう!!」より

パートタイム労働者が勤務先に実施して欲しい健康管理・健康増進の取り組みとしては、「定期健診」が最も多い36.2%でした。

パートタイム労働者アンケート

出典:厚生労働省「パートタイム労働者の健康診断を実施しましょう!!」より

厚労省が紹介する、パートを対象に健診を実施する優れた事例

厚生労働省は、パートタイム労働者を対象に健康診断を実施する優れた取り組み事例を紹介しています。

1、健診の実施日を増加

従来は年に1日だけ健診車に来てもらって実施していたが、特定の日や時間帯だけに健康診断を実施すると、受診できないパートタイム労働者がいた。そのため、健診車の巡回日を増やした。健康に配慮することで職場環境がよくなり、業務効率が向上するなどの効果が出ている。

2、健診実施時間分の給与を支給

健康診断は、パートタイム労働者の業務終了後に行うことが多いが、「給与を支払うことが望ましい」とされているため、健診実施時間分の給与を支払っている。パートタイム労働者も仕事として受診するため、受診率はほぼ100%になっている。

参考にして、パートタイム労働者の健康診断の実施を検討してください!


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