【書評】部下の不調原因を理解する必要はない。一番に自分のケアを


2014年に労働安全衛生法が改正され、2015年12月から従業員が50人以上いる事業所ではストレスチェックが義務付けられました。また、50人未満の事業者は努力義務になりました。

みなさんの職場はストレスチェックを実施していますか?実施はしていても、ストレスチェック創設の目的である「メンタルヘルス不調の未然の防止」につなげられていないという企業は多いのではないでしょうか。私自身、ストレスチェックを行い、希望する従業員がいれば産業医の面接指導をセッティングするという制度上の流れは理解しているものの、いち管理職として自身の部下へどのようなサポートをすればいいかが分からず頭を悩ませていました。

そんなときに出合ったのが、今回ご紹介する本です。

能瀬 博之(のせ・ひろゆき)


広島大学卒業。

新卒で入社した地方の中小企業で2年目から採用・教育を担当し、現在13年目。

その他、総務、広報、ISOなど幅広く携わるマルチプレイヤー。27歳で始めたマラソンが趣味で、最近は視覚障害者の伴走やトレイルランニングにハマっている。

マネジメントはがんばらないほどうまくいく~うつうつ部下をいきいき部下に変える世界一シンプルな方法

マネジメントはがんばらないほどうまくいく~うつうつ部下をいきいき部下に変える世界一シンプルな方法

著者:三宅琢

定価:本体1380円(税別)

発行:クロスメディア・パブリッシング

産業医が書く、現場管理職がするべき部下のケア

産業医の立場から、現場をマネジメントする管理職が、”うつうつと元気がなく、モチベーションの低下した部下”を、”いきいきと主体的に働いて、成果を上げる部下”に変える方法を書いています。著者は眼科医として勤務していた時代、ハードワークと不規則な生活から心身に不調をきたします。そんなとき、「人生はいつ終わるか分からない」と実感させられるできごとに直面しました。自分の人生に向き合う中で産業医の道に進むことになります。


産業医の仕事は「病気を診るのではなく環境を診る」こと。そして、これからの産業医に求められることは「多様な課題を抱える企業のニーズから学ぶことで、不調な人を出さないように改善していく提案をすること、また不調から復帰してきた人も快適に働ける環境を提案する」ことだと述べています。


さて、著者の紹介はこの辺にして、そんな考えをもった著者が唱える「現場の管理職が行うべき部下のケア」について紹介したいと思います。書かれているのは、とてもシンプルで、かつ簡単にできる方法です。冒頭にも書きましたが、この本を読んだとき、私は元気のない部下にどのように対応すればいいのか、あれこれ考え、悩んでいました。しかし、この方法を知り、ふっと肩が軽くなりました。

マネジメントの対象は職場で起きることと割り切る

大前提として、管理職の仕事の多くはマネジメントであり、その対象は職場で起きることと割り切った上で、職場で見える行動にのみフォーカスすればよい、と述べています。部下の元気がない原因を探る必要はないのです。なぜなら、人の心を他人が理解することはできないから。そういったことは専門家に任せて、管理職は仕事のマネジメントと同様に、表面化している行動のみで部下を評価するべきとしています。


職場におけるストレスの3大原因は「不平等感」「孤立感」「裁量権の不在」。しかし、何にストレスを感じるかは人それぞれの適性や感じ方(認知)の違いによって180度変わるし、原因を見つけることは必ずしも重要ではない。その代わり、ストレスを受けた結果として外に現れる症状に対し、対処を行うことが重要だと述べています。


では、どのように対処していけばよいのでしょうか。

自分が手本になり、セルフケアの重要性を伝える

上司がまず行うべきことは自分自身のケアです。健康とは「普通にしていれば健康は失われない」と思われがちですが、「自分で意識的にケアしなければ、なかなか維持できるものではない」もの。その上で健康を維持するためのすべて基本はセルフケアであり、部下のケアは3割程度で構わないので、自分がお手本となり、セルフケアが重要だという考え方を示すべきだと書いています。部下にセルフケアの重要性を認識してもらい、職場全体としてそういう風土を作ることが、管理職として第一に行うべきことなのです。


上司は部下の不調の原因を理解する必要はなく、自分のケアを一番に考える。このように考え方を改めるだけで、だいぶ気楽にメンタルヘルスケアに向き合えるようになりました。


また本書では、部下の元気がないことで起こる問題を「心身の健康」と「マネジメント」の問題に分け、それぞれ上司が行うべきことを3ステップで紹介しています。具体的な方法については、ぜひ本を手に取っていただきたいと思います。きっと明日から実行しようと思えるくらい、とても簡単なステップです。

この本を読んで、メンタルヘルス対策に抱いている「難しい」というイメージを変えてみませんか。


文/能瀬博之 編集/サンポナビ編集部


▼ 産業医のご紹介から、選任後の実働支援までをワンストップで提供いたします

つづけて読みたい

▼ 能瀬さんによるほかの書評はこちら

労働者向けの本に学ぶ、会社がしてはいけないこと【9割の会社はバカ 社長があなたに知られたくない「サラリーマン護身術」】


あわせて読みたい

ストレスチェック後の面接指導について、よくある10の疑問

ストレスチェック導入しました~実施事務従事者のホンネ≪準備編≫


産業医に関するお悩みは ありませんか?

産業医を選任したい、見直したい、企業の産業保健活動に悩みがある……。産業保健のお困りごとは、株式会社エムステージの産業医サポートサービスが解決します。

関連記事


【2019年度版】ストレスチェック助成金の準備と申請の方法を解説!

従業員50人未満の事業場が受けとる事が出来るストレスチェックの助成金について、申請方法など2019年時点の最新情報を解説します。

社労士が語る「休職・復職」の実務に対応するためのポイント

メンタルヘルス休職者への対応はどうする?就業規則の整備や休職期間設定などのノウハウを社会保険労務士がレクチャー。産業保健サポートサービスを提供する株式会社エムステージが開催した「職場のメンタルヘルス対応と産業保健」のセミナーレポートです。

派遣社員のストレスチェックは派遣元と派遣先、どちらが実施する?

従業員50人以上の事業場にはストレスチェック制度の実施が義務付けられています。この50人以上には、派遣労働者は含まれるのでしょうか。また、派遣労働者のストレスチェックの実施や集団分析は、派遣元と派遣先、どちらが実施するのでしょうか。


開催予定のセミナー

人気記事ランキング


ダウンロードランキング