ストレスチェック導入しました~実施事務従事者のホンネ≪実施編≫

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50人以上の従業員がいる事業所で、実施が義務化されているストレスチェック。サンポナビを運営する株式会社エムステージは2018年8月、ストレスチェックの実施が義務になる前に全社的にストレスチェックを実施しました。実施事務従事者になった総務担当のSさんに、準備段階や実施期間に感じた不安や課題、義務前にストレスチェックを導入する意義などをインタビュー。Sさんは「守秘義務があるため、社内に業務を相談できないことが不安だった」と振り返り、信頼できる産業医や社外の産業保健のプロの存在が実施事務従事者のよりどころになると話します。


>>≪準備編≫では社員に実施した周知の方法や、Sさんが周知の際に配慮した点などを紹介しています。


【ストレスチェック】

ストレスに関する質問票に労働者が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる検査。労働安全衛生法の改正により、2015 年 12 月から労働者が 50 人以上いる事業所では、毎年1回実施することが義務付けられた。


【ストレスチェックの実施者】

医師、保健師などストレスチェックを企画し、結果の評価をする人。


【ストレスチェックの実施事務従事者】

実施者の指示により、ストレスチェックの実施の事務(個人の調査票のデータ入力、結果の出力又は記録の保存≪事業者に指名された場合に限る≫などを含む)に携わる人。

厚生労働省:労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル

▼ストレスチェックの実施者と実施事務従事者についてはこちらの記事もどうぞ

サンポナビ:ストレスチェックの実施者と実施事務従事者は何をするの?


高ストレス者に面接勧奨のメールを送信


▼ ストレスチェックの仕組み


―ストレスチェックの受検を終え、高ストレスと判定された社員へはどのような対応をしましたか


高ストレス者の選定基準は会社が決めることができます。エムステージでも事前に選定基準を産業医に相談し、衛生委員会で決定していました。ストレスチェック実施後、実施者である産業医の結果確認のもと、高ストレス者に面接勧奨のメールを送りました。


その上で、クラウドサービス上で全社員に対して、受検のお礼と実施者によるストレスチェック結果の確認が終了したことを報告。「高ストレスの方に本日、面接指導のご案内をメールで送付しましたのでご確認をお願いします」と案内しました。弊社はメンタル不調や健康に関する外部相談窓口とも契約していますので、その旨も伝え「気軽にご利用ください」と呼びかけました。これは、面接を希望した場合、会社にストレスチェックの結果が通知されることに抵抗がある社員もいるのではないかと考えたからです。


今回のストレスチェックでは、弊社は、外部のストレスチェックサービスを導入したため、システム上で高ストレス者の管理や対象者への個別メールの送付をすることができました。手作業でメールを送るよりも、送付先のミスが起こりにくいため、安心感をもって作業をすることができました。


面接を受けた場合の情報開示の範囲を対象者に説明


―高ストレス者への面接勧奨の際に配慮した点はありますか


産業医の先生と事前に打ち合わせをした際に「面接は強制ではないので、受けてみてはどうですか?というレベルでとどめてください」という助言をいただきました。

面接勧奨のメールには「面接指導を受けることになれば、自身が高ストレス者であり、面談の必要性があるという情報が実務従事者以外の人事権がある人や上司に開示されます」ということを書いています。また、「面接指導をした結果として就業上の措置を講じる必要がある場合は、そのことも会社側に公表します」ということも説明しました。


「面接は受けたいが、自分が高ストレスであることを会社に知られたくない」という場合もあると思います。そんな方のために「高ストレス面接とは別に通常の産業医面接も実施しているので、健康相談として申請をしてもらうということも可能です」と案内しています。健康相談で面接ということであれば、高ストレス者であることは会社に開示されません。ただ、健康相談として面接をした上で、産業医が会社に伝える必要があると判断した場合は、産業医から本人にお話をして、開示はされることもあるとは思います。しかし、少なくとも最初の面接の段階で知られたくない、という人には配慮できます。


実施事務従事者の心理的負担は大きい



―実施事務従事者には守秘義務が課されます。迷ったり、困ったりしたことはありましたか


弊社は産業保健サポートサービスを提供していますが、今回のストレスチェックはその部署に頼らずに実施してみました。

弊社の場合は、実施事務従事者は1人でしたので、社内の誰にも業務の相談はできません。そんな仕事は、これまでの社会人生活の中で初めての経験でした。実施前も実施期間中も、どの情報を誰にどこまで出していいのか、ということで悩む場面は多かったです。事前に色々調べて、万全を期して実施したつもりでも、想定通りにはいかず、「あれ?これってどうすればいいの?」ということは起きます。

弊社では、実施者である産業医の先生が相談に乗ってくださり、フォローをしていただいたので、とてもありがたかったです。実施事務従事者の心理的負担は、産業医などの実施者としっかりとしたコミュニケーションが取れるかどうかでかなり変わってくると思います。例えば、産業医が名義貸しで信頼関係がなかったら、実施事務従事者は誰にも相談できずに困ってしまいます。信頼できる実施者や、外部からサポートする産業保健サービスがよりどころになると感じました。


―ストレスチェック制度で、集団分析は努力規定となっています。集団分析をされてみてどうでしたか


会社がストレスチェックを実施する意味として、集団分析は重要だと思っています。集団分析をすることで、会社としてどこに何を補強するべきか、どんなサポートが必要なのかが見えてくるからです。


▼ ストレスチェックの集団分析の意義


集団分析は、個人が特定されてはいけないため、10人以上の集団をつくって分析することになっています。弊社には全国11の拠点があります。その中には、10人未満のところもあるので、事業所ごとの分析はできませんでした。そのため、複数事業所を合わせて、「小規模事業所」というくくりにして、大規模・中規模事業所とストレス値を比較しました。そのほか、管理職、非管理職、職種ごとなどさまざまな集団をつくりました。意外な分析結果になったものもあり、集団分析をする意味を感じました。これからの組織の在り方を考える上での要素になるのかなと思います。


―集団分析で大変だった点はありますか


せっかく会社としてストレスチェックを実施するので、会社の役に立つ情報を得たいですよね。そのためにどのような集団を分析するかという点が、案外難しかったです。今回は、事前に総務で比較する集団の案を考え、経営層に確認を取りました。

「こういう集団を分析したい」と決めたら、そのために必要な個人のデータを集める必要があります。例えば等級や勤続年数、有給の消化率など、見たい集団をつくるための元データですね。その作成に思った以上に時間がかかりました。

集団分析をあまりしないのであれば、仕込む個人データを最小限にすることはできます。ただ、会社としては、最終的には社員のストレスを減らすためにストレスチェックを実施していますから、集団分析をしなければ会社がストレスチェックをする意味が弱くなってしまうと思うのです。ストレスチェックの導入を決めた段階で、会社としてどんな集団を比較したいのか、そのために必要なデータは何かということを決めておいた方がいいと思います。


―ストレスチェックの実施を通して、実施事務従事者として感じた課題はありますか



次回の課題として、一番大切なことはストレスチェックを受けてもらうための社員教育だと感じました。なぜ会社がストレスチェックをするのか、個人にとってどんな意味があるのかということを知ってもらうことにもう少し時間をかけてもよかったのかなと思います。つまり、「よくわからなかったから受けなくてもいいや」という未受検は、なくしていきたいと思っています


また実際にやってみて、実施事務従事者となる社員の心構えが重要だと思いました。社内の人に相談できないと、一人で抱え込んでしまいがちです。それがかえってストレスになってしまう実施事務従事者もいると思います。だからこそ、信頼できる産業医やプロの産業保健サービスなど外部の相談相手の存在は大きいのです。


―50人未満で導入してみてよかったと思いますか

よかったと思います。これを義務になってからいきなりやっていたら、実施事務従事者としての心理的な負担はさらに大きかったと感じています。やってみて初めてわかる課題が必ずあります。特に従業員50人以上が見えてきた事業所は、実施事務従者になる人のためにも、早めに実施することをお勧めしたいです。


文・編集/サンポナビ編集部


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