〈Q&Aでよくわかる〉リワークとは?施設の探し方・利用法・料金を紹介
最終更新日:2022年11月20日
働く現場におけるメンタルヘルス不調対策は、喫緊の課題になっています。
中でも、メンタルヘルス不調を原因とした休職については、復職後の再休職や退職といった悩みを抱えている従業員・企業も少なくないと考えられます。
本記事では「リワークって何?」といった部分から、リワーク施設での活動内容・料金といったテーマを紹介しています。
Q&Aで解説:リワークとは?重要視される背景と機関・施設の3種類
Q:リワークとは?休職中にどんな活動をするの?
A:リワークとは、リハビリを通じて職場復帰(復職)を目指すこと。あるいはそのプログラムのことです。
リワークとは「Return to work」の略語であり、うつ病をはじめとした何等かの病気で休職している従業員に対し、職場復帰を促す活動を指します。
また、リワークプログラムを受けることで、職場復帰後の定着率を向上することも期待できます。
リワークの方法はさまざまですが、一般的には休職中の従業員等が医療機関やリワーク施設へ通い、専門のプログラムを受けることで、復職(場合によっては再就職)を目指すものです。
Q:なぜ、リワークが重要視されているの?
A:リワークを通じ、再休職・退職してしまうリスクの軽減が見込めるからです。
うつ病は再発する可能性が高く、その再発率はおよそ60%といわれています(※)。
そのため、復職後に再休職あるいは退職してしまうケースも多く、従業員・企業がともにダメージを負うことも考えられます。
リワークを通じ、適切なプログラムを経てから復職することで、こうしたリスクを低減できることが見込めるため、近年では大きな注目を浴びているのです。
●コラム:メンタルヘルス不調による休職者・退職者の数
厚生労働省の「令和2年度 労働安全衛生調査」によれば、年間(※)で7.8%の企業においてメンタルヘルス不調による休職者(連続1か月以上休業)が発生しています。
また、メンタルヘルス不調を原因とした退職も含めると、その数は9.2%にもなります。
これはあくまでメンタルヘルス不調が判明している数であり、不調の事実を伝えずに退職したケースは含ないため、実際にはもっと多くのメンタルヘルス不調者がいることも考えられます。
※1年間:2019年 11 月1日から2020年 10 月 31 日
Q:リワークはどこの機関・施設で受けることができる? 費用負担は?
A:①精神科系の医療機関、②地域障害職業センター、③福祉系リワーク施設等、主に3つの機関・施設等でリワークを受けることができます。
①精神科系の医療機関:投薬などの治療を行いつつ、専門医のもとでリワークを受けることで職場復帰を目指します。費用は健康保険(自立支援医療制度も使えます)が適用されます。
②地域障害職業センター:行政が運営するリワーク機関。費用は雇用保険が適用されますが、各都道府県につき1か所程しか存在しません。そのため受入れできる人数も限りがあり、入所待機中の人が多いケースもあります。
③福祉系リワーク施設:ヘルスケア事業者などが運営するリワーク施設。自己負担1割(くわしくは後述)で通所することが可能。全国各地に施設があるため通所しやすく、再休職を防ぐ定着支援等、サポートが充実している施設も多いといわれています。
※以下、特に断りがない場合を除き、福祉系リワーク施設に関するリワークの内容・費用などについて解説します。
リワーク施設への通所:復職に向けた活動内容と利用料金
Q:リワーク施設への通う頻度・期間はどれくらい?
A:通所の頻度は週2日~5日が一般的ですが、フェーズによって個別に決まることがある。通所期間は3か月~半年程度であることが多い。
リワークの目的は、適切なプログラムを受け、職場復帰を目指すことにあります。
そのため、定期的かつ一定期間の通所を行うことが大切とされています。
例えば、リワークの開始時は生活リズムを整えるフェーズでもあるため、通所は週に2日から始める。
その後、状態が改善傾向にあり、復職を見据えたフェーズに移行すると、週4日・5日と通所の頻度が高くなります。
また、通所期間についても(施設あるいは個人の状態によって異なりますが)おおむね3か月~半年程度が必要な期間とされています。
Q:リワーク施設では、復職に向けてどんな活動をするの?
A:職場復帰を見据えた生活習慣の適正化、ストレスマネジメントに関する学習、グループワークなどが行われています。
リワーク施設への通所による生活リズムの適正化をはじめ、自らのストレスと上手に付き合うためのストレスマネジメントやセルフケアが学べるリワーク施設もあります。
その他にも、グループワークやプレゼンテーション等を通じ、コミュニケーションスキルを身につけることが可能です。
また、定期的に面談が設定されていることが多く、面談によって復職までのプランを組み立ててもらうことができます。
(施設によってリワークプログラムの内容は異なりますのでご注意ください。)
Q:リワーク施設の利用料金はいくらかかる?
A:福祉系リワーク施設は、自己負担1割で利用することができます。
リワーク施設の利用には、一般的に「1か月の利用日数」×「施設ごとに決められた料金」が発生しますが、自治体から助成金が出るため、自己負担は1割です。
また、前年度の収入状況(世帯年収)によって自己負担の上限金額も決まっており、おおむね1か月9,300円から、最大でも37,200円程度の料金で通うことができます。
●リワーク施設利用料金(参考)
・世帯年収およそ300万円以下:自己負担0円/月
・世帯年収およそ300~600万円以下:自己負担9,300円/月
・世帯年収およそ600万円以上:自己負担37,200円/月
リワーク施設の探し方/リワーク終了後の職場復帰・再就職
Q:〈探し方〉休職時、どのようにすればリワーク施設に通えるの?
A:好きなリワーク施設を自分で見つける、もしくは会社や病院からリワーク施設を紹介される場合もある。
さまざまな団体が全国各地でリワークの施設を運営しており、交通の便や立地など通いやすい施設を選ぶことができます。
そのほか、所属する会社や通院する病院からリワーク施設を紹介されるケースもあります。
リワーク施設は、それぞれで設備やプログラムの内容が異なりますので、よく調べてから施設を選ぶようにしましょう。
Q:休職・復職、リワークについて、企業ではまずどのように対応すれば良い?
A:休職時のリワーク施設利用や、復職(職場復帰)に関するルールを就業規則で定める。
休職・復職に関するルールを就業規則で定める際には、衛生委員会等で調査審議を行います。
特定のリワーク施設を利用してもらう場合はその旨を審議し、主治医や家族、産業医との連携やプライバシーの保護、試し出勤制度の整備なども就業規則にて定めておきます。
Q:リワークのプログラムが終わったら、必ず元の会社に戻らなければならないの?
A:リワーク終了後、無事に職場復帰する人もいれば、違う仕事に再就職する人もいます。
前述したように、リワーク施設は“また働くことが出来るようになるための訓練をする場所”です。
割合としては元の職場に戻る人が多いようですが、違う仕事に再就職をするケースもあります。
支援の内容はリワーク施設によって異なるものの、再就職支援を行う団体もあるのです。
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以上、リワークと施設の利用に関するQ&Aを紹介しました。
リワーク機関・施設を選ぶ際には「自分のペースに合わせて復職までサポートしてくれるか」「職場復帰後の支援はどのようなものがあるのか」などといった視点で探すこともおすすめです。
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