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【後編】専門家に聞いた、職場のワークエンゲージメント向上に必要な活動とは

2021年2月 リモートによる取材

コロナ禍、従業員のメンタルヘルスはどのようにしてケアしていくことが大切になるのでしょうか。

近年、注目が高まる「ワークエンゲージメント」をキーワードに、専門家である臨床心理士の小林由佳先生にお話しを伺いました。


コロナ禍こそ大切にしたい、定期的なコミュニケーション

コロナ禍では、上司と部下が定期的にコミュニケーションを取り、メンタルヘルスの状態を把握することが大切になるのですね。

そうです。

定期的なコミュニケーションを通じ、その上で課題が見えてきたら、他部署・他職種との連携を意識した活動につなげてください。

例えば、人事部門からは「テレワークに関する会社の方針とルール」を打ち出してもらい、現状については産業保健スタッフへ相談、改善に向けて従業員の声を会社に上げてもらうといったことが必要になります。

また、管理職がマネジメントする人数にも注意し、多すぎるようであれば見直してください。

こうした取組みがワークエンゲージメントの向上につながっていきます。


ワークエンゲージメントが向上しているか実感するために、目標設定が必要だと考えますが、どのような指標を用いれば良いでしょうか。

最初は同業他社や全国平均値との比較(※)が参考になります。

(※「現行および新職業性ストレス簡易調査票の尺度の全国平均データ」はこちらから確認できます。

しかし2年目以降は”経年変化”が最も重要な指標となるでしょう。

まずは自社のスコアをよく見て「自社のスタンダードが何か」を把握してみてください。

そして、スコアの底上げを目標とし、ワークエンゲージメントの変動に影響していそうな変数に手を付けることが妥当だと考えます。

「ワークエンゲージメントを向上させよう」という呼びかけだけでは、具体的に何をすれば良いのかピンと来ないでしょう。

エンゲージメントに影響する様々な要因のうち、例えば「成長の機会を増やしましょう」という形で提示できれば、次の打ち手が見えてきます。


コロナ禍では従業員の成長の機会も少なくなってしまいそうですが、どのようなフォローが必要でしょうか。

部下に対して上司が成長の機会を作りづらくなってしまった現在では、発想の転換が必要です。

例えば、従業員個々人に「なりたい自分」や自分なりの目標を設定してもらうのはどうでしょうか。

同時に、上司は部下のニーズを明確に理解し、そこに関わるような業務を部下に与え、1on1等を通じて成長の過程をフィードバックしていきます。

また、こうした面談は繰り返し行っていくことが大事です。

定期的な面談を通じ、繰り返し聞くことによって部下の思考がまわりはじめ、聞くたびに核心に近づけることができます。

このようにして、個々人が自分の働きがいや働きやすさを考えるサイクルを回していくことが、ワークエンゲージメントの向上にもつながります。


企業がメンタルヘルス不調に注意しつつ、テレワークを運用していく上ではどのようなことがポイントになりますか。

従業員がテレワークに順応している会社とそうでない会社の差のひとつは「テレワークの導入目的」の違いにあると考えます。

テレワークの導入目的が明確で、従業員にとってメリットのあるもの、例えば「柔軟な働き方を目指す」「離職者を減らす」など、働く人にとって納得感のある目的であれば、スムーズに運用されているケースが多いです。

逆に「コロナが拡大しているから、出社率を減らすためにテレワークを導入した」という企業では、育児・介護のある方などが「二軍選手」としてがテレワーク組になる場合も多く、このケースではメンタルヘルス不調者が出やすい傾向です。

ですので、テレワークの運用については目的をよく考えて、従業員と話し合い、納得感や当事者意識を持ってもらうこと、そして、上司に丸投げするのではなく、人事や産業医・産業保健スタッフがサポートすることで、孤立やメンタルヘルス不調の予防につなげることが求められます。


産業医に求められる役割と“多職種連携”の重要性

現在、産業医にはどのような役割が求められていると思われますか。

コロナ禍、出社することに不安を感じる従業員がいると思います。

そのような状況では、産業医がいくら予防策や感染リスクの数値について説明しても、本人には響かないケースがあります。

このような場合に大事なのは、その従業員が「どんなことを不安に感じているのか」をヒアリングすることです。

その上で、例えばアルコール消毒液の置き場を一緒に考える等の具体的な対策を講じていくのはどうでしょうか。

つまり、産業医がこれまでに培ってきた技術を単に提供するだけでなく、職場や対象者のニーズを汲み上げ、改善策を一緒に考え、対象者が自分で考え行動に移すことができるよう支援するといった役割も求められているのです。


役割の多い産業医ですが、今後の活動でポイントになることを教えてください。

産業医はこの10年で役割も責任も増えていますので、より多職種連携を意識して活動していただきたいと思います。

産業医として「職場ではどのようなことが課題になっているのか」といった情報を収集しつつ、解決のために産業保健スタッフはもとより人事部門、職場、外部資源等と連携するバランス感覚が、今後ますます産業医活動の質に関わってくると思います。

同時に、働き方も多様化していますので、先ほどもお話ししましたが、産業医が自分の持っている技術を対象者に合わせてカスタマイズしていく能力も求められていくでしょう。

小林由佳

小林由佳

(こばやし・ゆか)岡山大学大学院医歯学総合研究科衛生学・予防医学分野修了。博士(医学)、臨床心理士。東京大学大学院医学系研究科精神保健分野客員研究員。専門は職場のメンタルヘルス、臨床心理学、行動科学。日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会代議員

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