【準備OK?】無期転換ルールについて企業が知っておきたい10のポイント

同じ企業で5年以上働いている有期契約労働者には「無期転換ルール」が適用され、本人の希望があれば無期契約に転換することが可能です。

「無期転換ルール」に企業が対応する際に知っておきたい10のポイントを確認しておきましょう。

目次[非表示]

  1. 1.「無期転換ルール」について10のポイントで確認する
    1. 1.1.ポイント①:「無期転換ルール」とは何かを確認する
    2. 1.2.ポイント②:無期転換ルールの開始時期と対象者を知っておく
    3. 1.3.ポイント③:アルバイトやパートなど、雇用の名称にかかわらず無期転換ルールは適用される
    4. 1.4.ポイント④:契約更新のカウントに重要な「クーリング期間」について確認しておく
    5. 1.5.ポイント⑤:有期契約から無期契約に切り替わるときの注意点
    6. 1.6.ポイント⑥:無期転換後の労働条件や就業規則「別段の定め」に注意する
    7. 1.7.ポイント⑦:無期転換ルールが適用されない「特例」がある
    8. 1.8.ポイント⑧:定年後、高齢者の継続雇用にも「特例」がある
    9. 1.9.ポイント⑨:無期転換を避けるための「雇い止め」はNG。行政からの罰則も
    10. 1.10.ポイント⑩:無期転換ルールが適用されない労働者の種類

「無期転換ルール」について10のポイントで確認する


ポイント①:「無期転換ルール」とは何かを確認する

「無期転換ルール」とは、労働契約法で定められたルールです。

この無期転換ルールですが、端的に言えば「同じ会社にて、有期労働契約で5年以上働いている労働者を、無期労働契約に転換するルール」です。

厚生労働省の特設ページには次のような説明があります。

●「無期転換ルール」とは?

無期転換ルールは、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期契約労働者(契約社員、アルバイトなど)からの申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールのことです。

契約期間が1年の場合、5回目の更新後の1年間に、契約期間が3年の場合、1回目の更新後の3年間に無期転換の申込権が発生します。有期契約労働者が使用者(企業)に対して無期転換の申込みをした場合、無期労働契約が成立します(使用者は断ることができません)。

出典:厚生労働省「ご存知ですか無期転換ルール


つまり、継続して5年以上働いている有期契約の従業員から「正社員(無期契約)にしてください」と“無期転換の申込み”があった場合、企業は正社員(無期契約)に転換することがルール化されました。


ポイント②:無期転換ルールの開始時期と対象者を知っておく

この無期転換ルールですが、法律(改正労働契約法)そのものは2013年4月1日に施行されています。

そして、無期転換ルールの対象となる労働者は「5年以上働いている有期契約の労働者」ですので、この「5年間」がカウントされるのは、2013年4月1日以降に開始した有期労働契約になります。

そのため、2013年4月の5年後である2018年4月から、多くの“無期転換の申込み権利”が発生していることとなり、現在では大きな話題になっているのです。

契約期間と申し込み権利の発生については、以下の図で確認してみましょう。


出典:厚生労働省「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト


ポイント③:アルバイトやパートなど、雇用の名称にかかわらず無期転換ルールは適用される

無期転換ルールは雇用の名称にかかわらず適用されるルールです。

つまり「アルバイト」や「パート」という名称で働いていたとしても、同じ会社で5年以上働いていれば無期転換ルールの対象となります。


ポイント④:契約更新のカウントに重要な「クーリング期間」について確認しておく

例として、有期契約の従業員が更新しない形で退職し、再度戻ってきたような場合、”無契約”の期間の長さによっては「5年間」の契約期間としてカウントされない場合があるので注意します。

この「労働契約の存在しない期間」つまり「無契約期間」が、一定の期間以上続いている場合には、それ以前の契約期間はカウントの対象から除外されることになります。

この、除外されることを「クーリング」と呼びます。

クーリングとなる期間については次の図表で確認しておきましょう。


出典:厚生労働省「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」を元にi一部改変

例えば、図表①の期間を契約で働いていたとしても、②の期間”無契約”の状態であればクーリング(契約期間としてカウントされない)になることになります。

注意すべき点は「10か月以上働いていても、6か月の無契約期間があるとクーリングになる」ことです。


ポイント⑤:有期契約から無期契約に切り替わるときの注意点

有期労働契約から無期労働契約の転換は、自動で切り替わるわけではありません。

5年以上の勤務経験がある労働者からの無期転換申し込みがあった場合に適用されます。

なお、申し込みについて、法律上は口頭のみでも問題ありませんが、トラブルを回避するためにも、書面で行うことを都道府県労働局では推奨しています。


ポイント⑥:無期転換後の労働条件や就業規則「別段の定め」に注意する

無期契約になった後の労働条件(給料や待遇など)や就業規則については、個々で「別段の定め」がある部分を除いて、基本的には直前(有期雇用だった時)と同じ条件が適用されます。

この「別段の定め」には、正社員並みの責任を負わせる定めとすることも含まれます。

なお、無期転換ルールを避けるために「別段の定め」の部分を悪用することは、違法と判断される可能性があるため注意しましょう。


ポイント⑦:無期転換ルールが適用されない「特例」がある

無期転換ルールには特例があり、この「特例」の対象となる労働者には、無期転換ルールが適用されません。

では、どのような労働者が「特例」の対象となるのかというと、高度な知識を持っている、いわゆる“プロフェッショナルな有期契約労働者”がこれに該当します。

「特例」が該当する条件の例を見てみましょう。

●無期転換ルールが適用されない「特例」の条件

・高度な知識や技術を有している(博士の学位を持っている)

・特許発明の発明者など

・公認会計士、医師、弁護士などといった職種である

・契約中の年収が1,075万円以上の契約である

・携わっている業務が5年以上の期間を要するプロジェクトである場合 など

これらの条件を満たしている上で、かつ都道府県の労働局から認定を受けている労働者が「特例」の対象となります。


ポイント⑧:定年後、高齢者の継続雇用にも「特例」がある

定年後に引き続き働いている高齢の有期契約労働者にも、無期転換ルールは適用されます。

なお定年後に「特例」を適用する際にも、適切な雇用管理に関する計画を作成し、なおかつ都道府県労働局長の認可を受ける必要があります。


ポイント⑨:無期転換を避けるための「雇い止め」はNG。行政からの罰則も

労働者から無期転換の申し出があったにもかかわらず、その申し出を拒否することや、無期転換を避けるための規則を設定して阻害することは“望ましくない”とされています。

無期転換ルールでは、無期転換の申し込み権利が発生する前に「雇止め」をすることや「契約期間中の解雇」することを認めていません。

●法律上「合理的でない」と判断される取扱い

・無期転換ルールの適用を避ける目的で契約更新の回数上限を設定すること

・更新の年限を設けること

・無期転換ルールの対象とならないよう、長期のクーリング期間を設定すること など

これらの取扱いは、労働契約法(第19条)の「雇止めの法理」に基づき“合理的でない”と判断される可能性が高いため「雇止め」として無効となります。

また、罰則としては、労働基準監督署からの指導の対象となる可能性があります。


ポイント⑩:無期転換ルールが適用されない労働者の種類

無期転換ルールの対象とならない労働者とは「労働契約法の適用が除外されている」労働者となります。

具体的には、国家公務員、地方公務員などがあります。

逆に言えば、一般的な企業で働くほとんどすべての労働者が、無期転換ルールの対象になるといえます。

無期転換ルールのポイントについて確認できましたか?

企業の方は、契約で5年以上働いている従業員の待遇についてチェックしておきましょう。


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