あたり前のことを丁寧に!バンダイナムコビジネスアークの産業保健活動とは?

「働き方改革」や「健康経営」が注目される昨今、産業保健活動の形は企業の数だけ存在します。

そのような中、グループ会社の健康管理等を担う株式会社バンダイナムコビジネスアークが力を入れているのは、あえて言えば「あたり前のこと」を大切にした産業保健活動。

「あたり前のこと」とは、一体どのような活動なのでしょうか。

クリエイティブな人材が多い同社の産業保健活動について、取組みを主導している人事部 健康推進室の鈴木マネージャーと石毛チーフにお話を伺いました。(取材:サンポナビ編集部)


クリエイティブな業種だからこそ、産業保健活動が大切になると考えた

人事部 健康推進室の鈴木マネージャー(右)と石毛チーフ

〈株式会社バンダイナムコビジネスアーク〉

1991年設立。グループ管理本部としてバンダイナムコグループの管理戦略や管理方針を策定し、グループ経営基盤の強化を推進するとともに、グループ会社の人事・総務・経理財務・情報システムなどの共通業務を受託している。


――まずは、自己紹介と事業内容のご説明をお願いできますか。

鈴木さん:バンダイナムコビジネスアーク 人事部 健康推進室 マネージャーの鈴木と申します。

石毛さん:同じく人事部 健康推進室でチーフをしております石毛です。当社、バンダイナムコビジネスアークは、管理本部機能とグループ企業を対象にシェアードサービスを提供しています。

現在、健康推進室はバンダイナムコグループのうち、20社・従業員約7,000名の健康管理を請け負っている形になります。


――やはり、働いている方はクリエイティブな方が多いのでしょうか?

石毛さん:そうですね。

バンダイナムコグループのミッションは、商品・サービスを通じ「夢・遊び・感動」を提供することですので、バンダイナムコにはクリエイティブな人材が多く、仕事に熱中するタイプの従業員が集まってきています。

そんな理由もあって「仕事が終わらないから帰れない」のではなく「仕事に熱中して帰らない」従業員もちらほらとありました。

世の中でも「働き方改革」が進んでいますので、当社も健康への取組みにも力をいれてきました。

――時間外労働の削減にはどのような取組みをされてきたのでしょうか。

石毛さん:時間外労働ついては、現在では解消されているのですが、クリエイターが多い業種によくあるように、企画や開発といったセクションでは、長い時間働いている人間が多かったこともありました。

その具体的な対策としては「1か月の時間外労働が75時間(※)を超えたら、産業医との面談を必須とする」と、2017年にグループ全体の施策としてアナウンスしたことです。

これには効果があったようで、この2年間で残業の時間数はかなり減っています。

※法定では1か月80時間以上の時間外労働を行った労働者が申し出た場合に産業医面談を行う。

――残業時間の削減を効果的に進めるために、どのような取組みがポイントになりましたか?

鈴木さん:ひとつは、トップメッセージとして発信し、グループ全体で取り組む施策なのだという見せ方ができたこと、です。

まずはグループ全体で残業に対するイメージを共有することが大切だと考えます。

また、管理者にも従業員の日々の労働時間数を把握することが大切だと意識させるため、月末に1回だった勤怠表の締めを、月に2回(月中、月末)としました。

変更点は小さなことですが、こうすることによって、会社や管理職だけでなく、従業員一人ひとりの意識が少しずつ変わってきたのだと思います。


従業員の健康管理は、人事・産業医・保健師がチームになってフォローする

――日頃、従業員の方の健康管理はどのようにされていますか?

鈴木さん:バンダイナムコビジネスアークでは“チームによる産業保健活動”をすすめています。

具体的には、産業医と産業保健師を運用した活動になります。

当社には産業保健師の従業員がおりますので、日常的な健康管理や保健指導については保健師が担当し、課題があれば人事部門と共有しておきます。

そして、産業医が訪問したときに、課題解決に向けた判断やアドバイスをもらうようにしていますね。

石毛さん:産業医が訪問する時間は限られていますので、その時間を最大限に有効活用し、従業員へフィードバックしていきたいという思いがあります。

こうした活動を、20か所の事業場で日頃から行っています。


――産業医の選任はエムステージのサービスを利用されていますが、産業医選任の際にこだわった部分はありましたか?

鈴木さん:産業医を選任する際にこだわったことは2つあって、1つは「産業医としての経験が豊富であること」。もう1つが「企業側・従業員側双方の事情を理解しつつ中立的な産業医」でしたね。

経験については、言うまでもなく豊富に越したことはないのですが、機械的な判断に長けている産業医ではなく、現場の実情をしっかり見てくれる「眼」を持った方を求めていました。

――もう1つの「中立的な」とはどういう意味でしょうか?

鈴木さん:産業医には企業と従業員とをつなぐ“コーディネーター”としての役割も期待しているからです。

従業員本人の希望や職場の事情を聞きすぎて、安易に就業可の判断をしてしまうことで、不安を抱えたままの復職となってしまっては意味がありません。

従業員の健康状態はもとより、会社の業務内容・職場の風土をよく理解したうえで、適切な就業判断ができる産業医でないと、本質的な健康活動にはならないと考えていました。

そういった意味で、理想とする産業医が選任できたと感じています。


大切にしているのは「あたり前のことを丁寧に」取り組む産業保健活動

――どのようにして産業医を活用されていますか?

石毛さん:産業医の活用には、そのベースとなる従業員の情報をご理解いただくことが重要だと考えています。

そのために、健康診断とストレスチェックの結果を大切にしています。

これまで、従業員には健康診断とストレスチェックの大切さを啓蒙してきましたが、その甲斐もあって、健康診断・ストレスチェックとも100%に近い受検率です。

健康診断とストレスチェックの結果がしっかり揃っていることで、産業医が職場の状況を的確に把握でき、効果的な活動につながると考えています。

やはり、ラインケアではそういった結果や情報が要になってくると思いますね。


――従業員の方々が個人で取組むセルフケアについてはどうでしょうか

鈴木さん:産業保健スタッフと人事部門が熱心に活動することも重要ですが、なにより大切なのは従業員それぞれが自身の健康に向き合って、ヘルスリテラシーを向上させ、取り組んでいくことでしょう。

そこで、健康診断やストレスチェックが、心身の状態に向き合うための重要なきっかけになると考えています。

また、セルフケアのきっかけづくりに関しては「健康のためにも階段を使いましょう」と記載した啓発ポスターの制作や、社員食堂とのコラボで実施する「健康増進イベント」、各社ポータルサイトに「健康推進室だより」を掲載するなど地道に発信しています。

――健康を“自分事”にするきっかけがいくつもあるのですね

石毛さん:それだけでなく、健康に関する研修も多数行っています。

例えば、新入社員向けのセルフケア研修をはじめ、健康診断に引っかかってしまった社員へは「メタボ研修」も行いました(笑)。

そして、研修はやりっぱなしにせず、一定の期間が経過したら経営層へフィードバックしています。

そのようにして、一人ひとりが自分の健康状態に向き合い、それを健康推進室がフォローする体制になっていて、活動の成果を実感しています。

――最後に、今後の健康経営についての意気込みをお聞かせください

鈴木さん:従業員の健康のために、産業保健活動で大切なことは何か? ということについて、これまでにたくさん考えてきました。

そうして辿り着いたのは「あたり前のことを丁寧に、基本に忠実に取り組むこと」でした。

それはつまり、健康診断やストレスチェックをはじめ、法律で定められたことを“しっかり”行うこと。

当たり前のようですが、ここに産業保健活動のポイントがあると考えています。

スローガンを掲げ、目新しいことにチャレンジすることよりも、われわれが大切にしているのは法令遵守の観点から「ベーシックな部分を突き詰め、きめ細かく取り組んでいくこと」です。

ですので世間でいうところの「健康経営」という意識はあまりないんですよ(笑)。


石毛さん:お客様へエンターテインメントを提供しているわれわれだからこそ、従業員がいつまでも健康で楽しく仕事をできるよう、微力ながらサポートしていきたいと思います。


<プロフィール>

鈴木裕光(すずき・ひろみつ)

2004年 株式会社バンダイ 入社

主に女児・女性向けキャラクターの権利取得、プロモーション業務に従事。2016年人事部へ異動。労務管理、人事戦略・異動調整担当を経て2018年4月より現職。


石毛 哲(いしげ・さとし)

1994年 株式会社ナムコ入社 

産業カウンセラー、キャリアコンサルタント資格を取得後、2007年より健康推進室にて健康推進業務に携わっている。

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