健康経営優良法人2024の申請方法や認定プロセス、要件を解説
目次[非表示]
- 1.健康経営優良法人認定制度について
- 1.1.認定制度の目的
- 1.2.認定の種類
- 1.2.1.健康経営銘柄
- 1.2.2.健康経営優良法人(大規模法人部門)とホワイト500
- 1.2.3.健康経営優良法人(中小規模法人部門)とブライト500
- 1.3.健康経営優良法人2024の申請スケジュール
- 2.健康経営優良法人への申請から認定までのプロセス
- 3.健康経営優良法人2024の認定要件について
- 3.1.業務パフォーマンス指標に関する開示
- 3.2.労働安全衛生に関する開示
- 3.3.仕事と育児・介護の両立支援
- 4.健康経営優良法人2024への取り組みで企業業績の向上に期待
2023年7月現在、健康経営優良法人2024の申請受付は開始されていませんが、例年通りであれば2023年8月末になる予定です。
認定を受けるためには健康経営に関する取り組みを報告する必要があるため、事前に準備が必要です。
申請を希望している場合は、申請受付がはじまるまでに、健康経営優良法人2024の詳細を確認して準備を進めるとよいでしょう。
本記事では申請方法や認定プロセス、認定の要件を解説するので、担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
健康経営優良法人認定制度について
健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題や日本健康会議が進める健康増進の取り組みに基づき、健康経営において優良な法人を認定する仕組みです。
また日本健康会議は、行政と民間組織が連携して日本国民の健康寿命を伸ばすため組織された活動体です。
さらに健康経営優良法人認定制度の目的を果たすために、健康経営優良法人の認定基準も話し合われています。
認定の種類は企業規模に応じて3タイプあり、基準に照らし合わせて認定企業が選ばれる仕組みです。
以降では、認定制度の目的や種類、申請スケジュールについて解説します。
認定制度の目的
認定制度の目的は、健康経営に取り組む法人を「見える化」し、社会的な評価を受けられる環境を整備することです。
求職者や関係企業、金融機関から評価を受けることで、企業が健康経営に取り組む意義を見出せるようになります。
その結果、健康経営に取り組む企業が増え、地域における健康課題の解決や社会で働く人々の健康増進につながると考えられます。
認定の種類
認定の種類は、大きく分けて次の3タイプです。
- 健康経営銘柄
- 健康経営優良法人(大規模法人部門)とホワイト500
- 健康経営優良法人(中小規模法人部門)とブライト500
それぞれについて解説します。
健康経営銘柄
健康経営銘柄は、健康経営に優れた企業のなかでも、東京証券取引所に上場する大企業に対して認定されるものです。
認定されることで、健康経営に力を入れる将来性のある魅力的な企業として紹介されます。長期的な視点で企業価値を評価する投資家にアピールする良い機会となるでしょう。
健康経営優良法人(大規模法人部門)とホワイト500
大規模法人部門では、一定以上の従業員数が所属する企業が健康経営優良法人として認定されます。業種ごとの従業員数の基準は、次のとおりです。
業種 |
従業員数 |
---|---|
卸売業 |
101人以上 |
小売業 |
51人以上 |
サービス業 |
101人以上 |
製造業その他 |
301人以上 |
(参考元:ACTION!健康経営|部門の区分)
大規模法人部門で認定された企業のなかでも、特に優れた健康経営を実践する500社がホワイト500として選出されます。
健康経営優良法人(中小規模法人部門)とブライト500
中小規模法人部門では、一定以下の従業員数または、資本金、出資金額の企業が健康経営優良法人として認定されます。各業種の基準は、次のとおりです。
業種 |
従業員数 |
資本金または出資金額 |
---|---|---|
卸売業 |
1人以上100人以下 |
1億円以下 |
小売業 |
1人以上50人以下 |
5,000万円以下 |
サービス業 |
1人以上100人以下 |
5,000万円以下 |
製造業その他 |
1人以上300人以下 |
3億円以下 |
(参考元:ACTION!健康経営|部門の区分)
上表において、「従業員数」と「資本金または出資金額」のいずれかを満たすと中小規模法人部門に該当します。
中小規模法人部門で健康経営優良法人として認定された企業のなかでも、特に優れた企業500社がブライト500として選出されます。
健康経営優良法人2024の申請スケジュール
2023年7月現在、すでに健康経営優良法人2023への申請は終了しました。次は健康経営優良法人2024に申請することになりますが、スケジュールは未発表です。
例年通りであれば、8月の後半から申請の受付が始まると考えられるので、まずは認定までのプロセスを把握しておくとよいでしょう。
健康経営優良法人への申請から認定までのプロセス
健康経営優良法人への申請から認定までのプロセスは、各部門により異なります。部門ごとにプロセスを解説するので、参考にしてください。
健康経営銘柄
健康経営銘柄では、次のようなプロセスで申請から認定が行われます。
- 健康経営度調査の実施
- 健康経営度が上位20%の上場企業を候補として選出
- 東京証券取引所において財務指標スクリーニングを実施
- 経済産業省及び東京証券取引所が共同で選定
健康経営度調査は、経済産業省が行う「従業員の健康に関する取り組みについての調査」に回答して、日本健康会議認定事務局に申請すると完了します。
健康経営銘柄には原則として、33業種ごとに1社が選定されます。
大規模法人部門
大規模法人部門では、次の流れで進みます。
- 健康経営度調査の実施
- 認定審査
- 日本健康会議において認定
健康経営度調査は、健康経営銘柄の申請と同じ要領で実施されます。
中小規模法人部門
中小規模法人部門の認定プロセスは次のとおりです。
- 保険者が実施する健康宣言事業に参加
- 自社の健康経営への具体的な取り組みを申請書に記載
- 日本健康会議認定事務局へ申請
- 認定審査
- 日本健康会議において認定
保険者とは、協会けんぽや健康保険組合連合会、国保組合などの健康保険事業を運営する組織です。
各保険者が運営する保険事業の1つに健康宣言事業があり、企業がその事業に参加すると、健康経営優良法人の認定制度に申請できます。
健康宣言事業について詳しくは、次の記事を参考にしてください。
健康経営優良法人2024の認定要件について
健康経営優良法人の認定要件については、日本健康会議で話し合われ、それを元に決定されます。
2023年7月現在、健康経営優良法人2024の認定要件は未発表です。
しかし事務局説明資料(健康経営施策の進捗状況と今後の展開)を確認すると、調査設問の改訂に関する詳細がわかります。
調査設問の改定内容をもとに、認定要件を満たすための準備をはじめるとよいでしょう。
2023年3月16日に発表された資料では、調査設問の改訂について以下の3点が示されました。
- 業務パフォーマンス指標に関する開示
- 労働安全衛生に関する開示
- 仕事と育児・介護の両立支援
各項目について、解説します。(参考:健康・医療新産業協議会 第8回健康投資WG 事務局説明資料(健康経営施策の進捗状況と今後の展開))
業務パフォーマンス指標に関する開示
2023年度は、下記の測定の結果や方法について質問がなされましたが、評価の対象外でした。
- アブセンティーズム:疾病による欠勤
- プレゼンティーイズム:出勤はしているものの健康上の問題によって完全な業務パフォーマンスが出せない状況
- ワークエンゲージメント:仕事へのポジティブで充実した心理状態
しかし2024年度では、上記3項目に関する情報開示が評価の対象になる可能性があります。
業務パフォーマンスの指標については、次の記事も参考にしてください。
労働安全衛生に関する開示
労働安全衛生については、次の2点が改定される可能性があります。
- 健康経営の目的・体制の開示有無を問う設問において、労働安全衛生も含めることを必須とする。
- 各指標の開示状況を問う設問において、労働安全衛生に関する取り組みの内容や労働災害、死亡災害の件数、度数率、強度率の選択肢を追加する。
とくに労働安全衛生に関する情報や健康経営の目的・体制について外部開示していないと、健康経営優良法人の認定から外れる可能性があるので注意が必要です。
労働安全衛生に関する情報の開示については、次の基準が示されています。
(出展:健康・医療新産業協議会 第8回健康投資WG 事務局説明資料(健康経営施策の進捗状況と今後の展開))
仕事と育児・介護の両立支援
2024年度は、新たに仕事と育児・介護の両立支援に関する取り組みが評価対象になる可能性があります。
さらに評価対象からは外されましたが、支援制度の利用率に関する設問の追加が検討されています。
追加設問のイメージとして、次のような案が挙げられています。
(出展:健康・医療新産業協議会 第8回健康投資WG 事務局説明資料(健康経営施策の進捗状況と今後の展開))
健康経営優良法人2024への取り組みで企業業績の向上に期待
今回は、健康経営優良法人2024の詳細について解説しました。例年通りであれば8月末から申請の受付が始まると考えられます。
認定要件を満たすための評価基準として想定される内容についても解説したので、これから準備を進める場合は参考にしてください。
また2023年度以前の健康経営優良法人制度について、次の記事でまとめているので、よろしければ、そちらもご覧ください。
サンポナビでは、過去に健康経営優良法人に認定された企業にもインタビュー取材を行ってきました。
ぜひ、ご覧になってみてください。
株式会社エムステージでは産業保健活動のサポートを行っており、当社サービス導入企業の144社が「健康経営優良法人」を取得しています。実際に企業の健康経営を推進するコンサルタントと保健指導や健康教育といった具体的な施策を実施する産業保健師の監修で、健康経営優良法人取得に向けたポイントをまとめた資料をご用意しています。資料ダウンロードは無料ですので、ぜひお気軽にお役立てください。