〈企業事例〉従業員50人未満でも産業医を選任し「社風」の改革を実現
製造業向けの様々なソフトウェアを取り扱う株式会社セイロジャパン。
事業所単体での従業員数は50人未満ながらも産業医を選任し、保健体制を構築しています。
産業医選任に至った経緯や活用内容について、同社人事総務担当の沼尻様にお話しを伺いました。
産業医の導入で「社風」の改革を目指す
最初に、事業内容や従業員数について教えて頂けますか。
株式会社セイロジャパン 人事総務の沼尻岳人と申します。
当社は製造業の企業様向けに「CAD/CAM/CAE」という金型や部品の設計・加工・解析などに使用するソフトウェアを取り扱っている会社です。
「CAD/CAM/CAE」は専門的なソフトなのですが、言い換えれば「ものづくりに携わる技術者の様々な課題を解決するために必要なソフト」という事になります。
1982年の創業以来、全国的に営業所を展開し、現在の総従業員数は70名程度ですが、ここ春日部(埼玉県)に本社があり、一番人数の多い本社で従業員数は35名です。
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事業所単体では従業員が50名未満ですので、産業医の選任義務はありませんが、産業医の導入に至った経緯はどのようなものでしたか。
大きな理由は二つあるのですが、一つは会社としてベテラン層(50代・60代)と若手従業員の健康面・メンタル面を支援していきたいというのがありました。
やはり、50代以上ともなると健康面でのフォローが必要になってくることが想定されますし、若手にはメンタルヘルスの不調予防をしていきたいという想いがありました。
産業医を選任したもう一つの理由についても教えて頂けますか。
もう一つの理由は、産業医の導入で「社風」を改革したかったというのがあります。
ほんの数年前くらいまで日本の多くの企業がそうだったように、実は当社もいわゆる自分の健康を差し置いてでもバリバリ働いてしまうような雰囲気のある社風でした。
一方で、世の中の流れとしては「働き方改革」が始まり、当社も転換期を迎えました。
そんな中「健康をキーワードに社風を改革しよう」というメッセージがトップから発信され、産業医の導入に至ったのです。
産業医との連携で、全社的に高まる「健康意識」
実際に産業医を導入して「社風」に与えた影響はどうでしょうか。
働き方や健康管理に関して、とてもいい影響がありましたね。
例えば、二次健診の受診率がぐっと上がりました。
以前は、仕事を休んで二次健診を受けることを遠慮してしまう従業員もいたのですが、産業医の先生が「悪くなる前に、早め早めで健康管理することの大切さ」を周知・指導してくだっているおかげで、負い目を感じずに受診ができるような社風になりました。
また、先生のメッセージについては、われわれ総務を介して、全社的に発信し続けています。
どのような方法で健康に関するメッセージを発信していますか。
産業医の先生が健康講話・健康教育で指導してくださった内容を、全社メールを活用して発信しています。
その他にも、総務の日報で産業医の先生との活動報告を記載するのですが、その日報を見てくれている従業員も増えています。
また、最近では、先生の健康講話の場面をオンラインで配信することも始めました。
これにより、各拠点の従業員でも映像を見ることができるようになり、参加者も増加しました。
今は、従業員の健康に対する意識が一層高まったと感じます。
産業医の訪問時は、どのような活動をされていますか。
当社の事業所は従業員が50人未満なので、衛生委員会を開催する義務はありません。
それに「とりあえず毎月……」という形式的な衛生委員会になってしまうよりも、当社に合った形で産業医の先生に介入して頂きたいと考えていました。
そこで、先生から提案して頂いた「健康講話」を中心に行うようにしています。
これが、従業員のヘルスリテラシー向上・基礎固めにとって良い取組みになっています。
健康講話の内容は、新型コロナウイルス予防やストレス対策など、基礎的なものからトレンドをおさえたものまで、さまざまな情報を提供して頂いています。
会社の課題に対応できる産業医を探していた
産業医を導入する際、どのような産業医をご希望でしたか。
先ほどの話に少し戻りますが、50代・60代のベテラン社員の健康が気がかりだったことと同時に、若手社員のメンタルヘルスにも配慮したかったので、そこに対応して頂ける産業医を探していました。
また、産業医は選任せず、専門的な相談は労基署の相談窓口を個別で活用することも考えました。
しかし、相談窓口を利用するかどうかが、最終的に従業員まかせになってしまい、結局利用しないのでは?という懸念もあったのです。
また、産業医との関係を構築し、産業医に当社のことをよく知ってもらった上で、当社にあった形で産業保健の活動に取り組みたいという想いがありましたので、産業医の紹介サービスを利用しました。
エムステージの「産業医サポートサービス」を利用して産業医を選任していますが、どのような部分が決め手になりましたか?
実は、他の産業医紹介サービスともかなり比較させて頂きました。
エムステージの産業医紹介サービスを選んだ決め手となったのは、やはり医師紹介のキャリア・ノウハウが他社よりも豊富だと感じたことです。
そしてもう一つは、サービスの対応する地域が限定されていないことでした。
他社は都市部のみの対応というところが多く、エムステージの場合は全国的に網羅している部分に安心感があり、利用することを決めました。
今後の産業保健活動について、意気込みをお聞かせ下さい。
産業医の先生に来て頂くようになってから、当社の健康に関する「社風」にはとてもいい影響がありましたので、まずは今取り組んでいる「基礎固め」をしっかり行っていきたいと思います。
早期発見、早期治療が当たり前にできる社風を継続発展させたいです。
また、今年に入ってからは従業員の約半数がリモートワークで働くようになりましたので、離れて働く従業員のメンタルヘルス等も行っていけるようにできればと考えています。
今後も産業医の先生と連携して、健康的な社風をつくっていきたいですね。