セミナーレポート:「ウィズコロナ時代の労働衛生」産業医の役割・重要性とは
2020年11月11日、産業保健サービスを提供するエムステージは「ウィズコロナ時代における労働衛生、労務管理」をテーマに、労働新聞社、LEC東京リーガルマインドとの共催でオンラインセミナーを開催。
オンライン受講を含め、100名を超える人事・衛生担当者、経営者等の方が参加しました。
セミナーの様子をレポートします。
「ウィズコロナ時代」の到来。産業医に与えられた重要な役割とは
浜口伝博氏(産業医科大学 産業衛生教授)
企業における新型コロナ対策、キーパーソンである産業医の役割
最初に登壇したのは、株式会社ファーストリテイリングの統括産業医であり、産業医科大学産業衛生教授の浜口伝博氏。
「コロナに動じない産業保健のつくり方」をテーマに講演し、企業の新型コロナ対策において、産業医の役割を再認識することの重要性について語りました。
産業医は、常に労災や「働き方」と向き合ってきた歴史がある
浜口伝博氏は、企業で取り組む新型コロナ対策もこれまでの産業医活動の延長線上にあると言います。
もともと、産業医は労働災害や過重労働といった、職場の健康課題と向き合ってきた歴史がある。
そして、職場の新型コロナ対策においても、ベースとなる「作業環境管理」「作業管理」「健康管理」「適正管理」を基軸として応用し、適切な活動を行うことが「コロナに動じない産業保健」につながると述べました。
企業・産業医には「職場クラスター」の発生を防ぐ責任がある
次に、浜口伝博氏は、企業における対策の要点が「職場クラスターを発生させないこと」であると続けました。
私生活において従業員が新型コロナウイルスに感染してしまった場合は別として、企業で感染者が発生した場合に、職場クラスター対策を行うことは企業の責任であり、産業医の役割でもある。
また、感染リスク低減のためにリモートワークを導入した企業であれば、在宅勤務中の労災にも注意が必要となることも忘れてはならない。
企業と産業医が連携し、作業環境管理の観点で労働者の「働き方」をサポートしていくことが求められていると指摘しました。
これから、産業医は「質」で選ばれる時代になる
産業医を取り巻く状況は変化している
続いて浜口伝博氏は、今後、産業医が「質」で選ばれる時代になると語りました。
その背景には、働き方改革のスタートやテレワークの普及、副業・兼業、新型ウイルスの流行といった、労働を取り巻く環境の変化などがある。
こうした社会の動きや企業のニーズに応えることのできる「質の高い産業医」が、今後求められるようになる、と語りました。
企業から求められる「問題解決型産業医」になるために
このような変革の時代を乗り越えるためには、企業の問題を解決できる産業医を選任すること。そして、産業医自身がスキルを身につけることも大切だと、浜口氏は語ります。
浜口氏自らが理事を務める「産業医アドバンスト研修会」では、オンデマンド教育を通じて、産業医活動の実務に役立つノウハウを提供。
企業の経営・産業保健活動にコミットメントできる「問題解決型産業医」の育成に注力し、その成果や活動報告についても紹介がありました。
※「産業医アドバンスト研修会」の関連記事はこちら
「ウィズコロナ時代」を乗り越えるため、産業保健に注力する
木村直文氏(株式会社エムステージ)
企業のニーズを汲み上げ、産業保健サービスを展開してきたエムステージ
続いて、株式会社エムステージ 産業保健事業部の木村直文氏が、同社に寄せられる企業からのニーズと、産業保健サービスについて説明しました。
昨今では、企業から産業保健機能の強化に関する問い合わせも増えていると言います。
また、法的にもリスクが高い“名義貸し状態の産業医”を見直したいという企業も増加。