5分でわかる「睡眠」~やさしい衛生講話 第4回
健康経営をがんばりたい、ねぎま産業(株)。
従業員が50人を超え、従業員の労働災害の防止・健康増進について話し合う「衛生委員会」を毎月開いています。産業医のハシビロ先生が労働衛生・健康について講義をする「衛生講話」をのぞいてみましょう。
ねぎま産業(株)のキャラクターたちと一緒に健康について学ぶ「やさしい衛生講話」。
第4回のテーマは「睡眠」です。
衛生委員会
企業が、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに設置するよう義務付けられている。労働者側委員や事業者側委員が衛生に関することを調査したり話し合ったりして、事業者に意見する場。毎月1回以上開催する。
衛生講話
産業医や保健師が労働衛生・健康について行う講義。従業員の健康教育の一環として、衛生委員会の中で実施する。
<登場人物プロフィール>
ハシビロ先生:ペンギン上司が「いい先生がいる」といって見つけてきた産業医。まじめで優しい。
ペンギン上司:ちょっと毒舌。健康経営を目指して奮闘しているが、いつも詰めが甘い。
ニワトリ:平社員。ツッコミ担当。ペンギン上司によく振り回されている。
睡眠の質と量、足りてる?
ペンギン上司:議長を務めますペンギンです。ではハシビロ先生、衛生講話をお願いします。
ハシビロ先生:今回のテーマは「睡眠」ですね。食事と同様に、睡眠は毎日の生活になくてはならないものですが、みなさんは毎日ぐっすり眠れていますか?
ニワトリ:睡眠だけはバッチリです!目覚まし時計なしでも起きられるのが自慢です(笑)
ペンギン上司:いいなぁ。オレはなんだか寝つけなくて全然眠れてない…。
ハシビロ先生:
それは大変ですね…!でも、実は眠れていない人って結構多いんです。
20歳以上の日本人を対象にした厚生労働省の調査によると、5人に1人が「睡眠で休養が十分にとれていない」と回答しています。※1
睡眠には心身の疲労を回復する働きがあります。
寝つけない・熟睡感がないなどの不眠症状があったり、睡眠時間が足りなかったりすると、
・生活習慣病のリスクが高まる
・日中の注意力・集中力が低下する
・うつ病にかかりやすくなる
と言われています。※2
ペンギン上司:なんてこった…。眠れないだけでつらいのに!
ハシビロ先生:ちなみに、年齢・個人によって必要な睡眠時間は大きく異なります。必要な睡眠時間の目安は「眠気により日中の活動に支障が出ない程度」です。日中の眠気を意識して必要な睡眠時間をとるようにしましょう。
しかし、仕事や勉強・家事などでなかなか睡眠時間が確保できなかったり、寝つけなかったりすることもありますよね。
そこで、睡眠時間とともに睡眠の質を高めることが大切です。
睡眠前のNG行動!
ニワトリ:睡眠の「質」かぁ…。質を上げるにはどうすればいいんですか?
ハシビロ先生:睡眠の質を上げるためには、
①睡眠の質を下げる行動を避ける
②睡眠の質を上げる習慣を取り入れる
とよいでしょう。
ではまず、①睡眠の質を下げる行動についてお話しますね。このイラストを見てください。
睡眠の質を下げる行動の1つ目は「カフェイン・ニコチンの摂取」です。
紅茶・コーヒーなどのカフェイン、煙草に含まれるニコチンには覚醒作用があります。カフェインは就寝の3~4時間前、ニコチンは就寝の1時間前からはなるべく取らないようにしましょう。※2
ニワトリ:眠気覚ましに夜遅くまでコーヒー飲んじゃった日って、なかなか寝付けなかったりするんですよね…。昔はよくやっちゃってました…(泣)
ハシビロ先生:また、「寝つきがよくなるから」と入眠のため寝酒をする人がいます。
寝酒をすると、入眠は一時的に促進されますが、中途覚醒が増えて睡眠が浅くなり、睡眠の質・量ともに下がってしまうと言われています。※2
ペンギン上司:えっ、寝酒ダメなの!?いいと思ってやってたのに…
ハシビロ先生:最後は「携帯電話の使用」です。
就床後に長時間光の刺激を受けると、目が覚めやすくなってしまうため、ベッドに入った後はなるべく携帯電話を使用しないようにしましょう。※2
ニワトリ:そうなのか…。寝つけない時によくベッドの中でスマホを見ちゃうけど、なるべく見ないようにしなきゃ。
快眠のためのポイント
ペンギン上司:ハシビロ先生…。簡単にできる、ぐっすり眠れる方法はありますか…?
ニワトリ:(ペンギン上司…。寝酒がダメだって聞いてから、心なしかちょっと声が震えているような…)
ハシビロ先生:はい、ありますよ。では、快眠の三つのポイント※3についてお話します。キーワードは「体内時計」と「体温」です。
一つ目のポイントは「体内時計のリセット」です。
人間の体内時計は24時間よりも長いため、リセットしなければ後ろにずれてしまいます。日光を浴びることで体内時計をリセットすることができます。朝起きてすぐ浴びる光が最も効果的なので、起きたらまずカーテンを開けて光を浴びるようにするといいでしょう。
二つ目のポイントは「定期的な運動」です。
具体的には、夕方から夜にウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動を定期的に行うと寝つきがよくなり、深い睡眠が得られやすくなります。就寝前に体温を一時的に上げることが大切です。しかし、激しい運動や就寝直前の運動は、かえって睡眠を妨げてしまう可能性があるので注意が必要です。
三つ目のポイントは、「ぬるめのお湯での入浴」です。
入浴は就寝の2~3時間前に、38度のお湯に25~30分ほどゆっくり入るようにするといいでしょう。半身浴の場合は、約40度のお湯で30分ほど汗をかく程度の入浴がおすすめです。
ペンギン上司:おおお…!なんだかぐっすり眠れそうな気がしてきた。さっそく今日から取り組むぞ!
ハシビロ先生:それは良かった。今回ご紹介した習慣を、ぜひ普段の生活に取り入れて取り組んでみてくださいね。
イラスト/とりのささみ。 (@torinosashimi) ・ 文/サンポナビ編集部
参考)
※3 e-ヘルスネット 休養・こころの健康 快眠と生活習慣
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