サイボウズ・青野社長は、なぜ会社を“モンスター”と表現したのか?


若い世代を中心に、働くことの価値が変わってきています。

画一的な年功序列の仕組みの中で給料が上がっていくことがこれまでの価値だったとすると、今新たな価値となりつつあるのが、社員一人ひとりの「楽しさ」や「やりたいこと」。つまり、個別化された多様性です。

今回は、そうした変化の最先端を行く、サイボウズ株式会社の青野慶久(あおのよしひさ)氏の著書『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。』をご紹介します。

みなさんの、GW中の読書リストに加えてみてはいかがでしょうか?


会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。
著者:青野慶久
出版社:PHP研究所
発売日:2018/3/1
価格:1,620円

 


会社は楽しくないもの?サイボウズ・青野社長からの問いかけ


青野氏はこの本の中で、日本の会社、特に大企業の問題点を挙げています。たとえば、従業員の「会社が楽しくない」という意見に対して「会社は楽しむ場所じゃない」と返してしまう会社は少なくないでしょう。

ですが、1日の3分の2起きている時間のおよそ半分を過ごす会社に楽しさを見いだせないとしたらそれは幸せな人生と言えるのか?本書ではこの点に疑問を呈しています。


青野氏は、会社は社員を「我慢レース」に追い込んでいると主張。その元凶が年功序列の仕組みだと指摘しています。そして、これは何かおかしいのではないか?と考えはじめ、見えてきたのが会社という「モンスター」の存在です。

会社は人間が集まってできており、主役は人間のはず。それなのに、知らず知らずのうちにそこで働く人は年功序列が足かせとなって「会社のために」といって犠牲を払ってしまう。実体のない「カイシャ」というモンスターが私たち人間を支配しているような錯覚に陥っているのです。


目指すのは、「質」で勝負する働き方!


では、「カイシャ」、「仕事」はどうあるべきなのか? 青野氏は、長時間頑張った人が勝ちという「量の勝負」から、クリエイティブなアイデアや付加価値が重視される「質の勝負」に変わっていくべきだと指摘しています。そして、クリエイティブな働きは、たいてい多様な個性から生まれるとも言います。

多様な個性が会社で活躍するためには、時間や場所といった働き方の多様なニーズに応えられるような効率的なやり方を発見したり、仕組化したりしていかなくてはなりません。

多様な個性は、画一的な勤務体系や評価基準の枠ではおさまりきらないからです。


それができないような会社には、魅力的な人材が集まらなくなります。ただでさえ、少子化などの影響で労働力不足が叫ばれている中、働き手からも選ばれなくなった会社はどうなるか。変化を恐れず早急に変わることができなければ、市場からの退場を余儀なくされるでしょうか。


今の若い人たちは、年功序列に代表される今までの「カイシャ」システムのおかしさに気づいているのではないかと青野氏は分析しています。「カイシャ」というモンスターに、自分の人生まで支配されるのではないかと感じた若者たちが、「楽しさやりたいことを重視する新しい働き方にシフトするのは無理もないということに本書を通して私たちは気づかされます


これからの時代、会社と社員の関係はどうあるべきなのか?


本書はタイトルだけ見ると「会社」というものを真っ向から否定する本に見えます。しかし、本書のメッセージは決して「会社なんて辞めてひとりで生きていこう」というものではありません。青野氏がサイボウズの会社経営で培ってきた時代の変化への対応方法を示し、会社、そしてそこで働く未来ある社員に向けて、選択肢を提示しています。

働く一人ひとりは、会社が変わってくれるのを待っていてはいけません。会社というものとどう向き合うか、会社のビジョンに自分のビジョンをどう重ね、行動するかが大事になってきます。本書からは変わろう動こう。」という、個人に向けたこのメッセージが伝わってきます


一方で会社側は残業を減らさなければ」「社員にきちんと有給休暇を取らせなければという目先の改善に時間が割かれてしまっていないでしょうか?。いつまでもその高さの目線では、完全に時代の流れから取り残されてしまうでしょう。

今後は、会社は一種の「コミュニティ」となることを求められるのではないでしょうか。つまり、会社は今までのような「箱」という意味合いだけではなく、同じ意識や文化を持った人が自由に集まり活動する「場」としての役割です。


サイボウズは、外部の方から「社員が楽しく働いている」と言われることが多いと言います。働いていて楽しい会社には人が集まってきやすく、退職者も出にくい。本書の中で青野氏が説いているように、「楽しさ」は重要な経営戦略なのです。

社員は自分のビジョンを会社のビジョンと照らし合わせ、重なり合う部分で力を発揮する。会社は、社員一人ひとりが個性を発揮しやすい環境をつくる。この相互関係が楽しさの好循環を生みます。これこそが、これからの会社の生存戦略ともいえるのではないでしょうか。


会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。ならば、これからの会社と社員の関係はどうなっていくべきなのか?本書にはそのヒントがつまっています。


会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。
著者:青野慶久
出版社:PHP研究所
発売日:2018/3/1
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