【管理のポイント】健康情報「取扱規程」の策定と要配慮個人情報、第三者提供の注意点

労働者の健康情報の取り扱いには細心の注意が求められます。

要配慮個人情報の適切な管理には「取扱規程」を策定することをはじめ「第三者提供」の際には労働者の同意を得る必要もあります。

健康情報管理のポイントについて確認しておきましょう。

健康に関する「要配慮個人情報」の管理には「取扱規程」が必要


従業員の健康情報は「要配慮個人情報」として慎重に扱う必要がある

「要配慮個人情報」とは、職場で不当な差別や偏見などが起こらないように配慮すべき情報のことです。

健康診断の結果や病歴、ストレスチェックの結果、事後措置に関する情報などが、この「要配慮個人情報」に該当します(個人情報保護法 第2条、個人情報保護法 第4章)。

2018年4月に厚労省が公示した指針(正式名称「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取り扱いのために事業者が講ずべき措置」)では、健康に関する情報を「要配慮個人情報」として、個人情報よりも慎重な取り扱いをすることを定めています。

そして、事業者には守秘義務がありますので、健康に関する個人情報を適切に管理する必要があるのです。

健康情報の取扱いに関する「守秘義務」とは?

健康診断に関わる担当者や、健康情報の管理責任者は、法令で義務付けられた行為を遂行するに必要な場合や、本人の同意がある場合を除き、業務が知り得た労働者の秘密や情報を漏らしてはいけないことが法律で定められています。

※刑法134条、労働安全衛生法105条など


「健康情報の取扱規程」で定める内容の例

従業員の健康情報を保護するとともに、取り扱いは慎重に行う必要がありますが、そのためには「健康情報の取扱規程」を策定することが必要です。

健康情報を管理する方法は、鍵のかかる棚に保管することや、電子媒体の場合はID・パスワードでセキュリティ対策をすること。

それだけでなく、健康方法を「誰が」「どのように」「どんな目的で」など、健康情報の使用状態も把握することが大切です。

そういった「健康情報の取扱規程」の具体的な構成内容として、以下のことを策定しておく必要があるでしょう。

●健康情報の取扱規程

第 1 条 目的

第 2 条 健康情報等の定義と範囲

第 3 条 健康情報等の取扱い

第 4 条 健康情報等を取り扱う者及びその権限並びに取り扱う健康情報の範囲

第 5 条 健康情報等を取り扱う目的等の通知方法及び本人同意の取得方法

第 6 条 健康情報等の適正管理の方法

第 7 条 健康情報等の開示、訂正等及び使用停止等

第 8 条 健康情報等の第三者に提供する場合の取扱い

第 9 条 第三者から健康情報等の提供を受ける場合の取扱い

第10条 事業承継、組織変更に伴う健康情報等の引継ぎに関する事項

第11条 健康情報等の取扱いに関する苦情の処理

第12条 取扱規程の従業員への周知の方法

第13条 教育・啓発

第14条 その他(主管、見直し、実施期日等)

出典:(独)労働者健康安全機構「産業保健21」第97号


「健康情報の取扱規程」策定と運用の方法・ポイント


「健康情報の取扱規程」を策定する時のポイント

労働者が安心して健康情報の管理を企業に任せられるよう、取扱規程の策定時にもポイントがあります。

まず、取扱規程の策定について検討する際は、事業主だけで決めることはNGです。

衛生委員会などの、必ず労働者の参加する場所で討議する必要があることに注意します。

そして、取扱規程を策定した後は、社内イントラネットに掲載することや、就業規則に記載するなどの方法で従業員に周知しましょう。


「健康情報の取扱規程」運用時のポイント

健康情報の取扱規程を運用する際にポイントとなるのが“情報の管理レベル”を知り、適切に取り扱うことです。

例えば、一口に健康診断の結果と言っても「法定項目の内容」であるか「それ以外(がん検診の結果など)」であるかで管理のレベルは変わってくるのです。

また、情報の種類によっては、労働者本人の同意が必要なものがあります。そして、取り扱う担当者を定めておく必要もあるため、以下の表で確認しておきましょう。


要配慮個人情報を「第三者提供」するときに注意すること


要配慮個人情報を“第三者提供”する際には「本人の同意」が必要

健康診断の結果などの要配慮個人情報を第三者とやりとりする際には、労働者本人の同意を得る必要がある場合があるため注意します。

同意の「要・不要」は、その情報提供が法令で義務付けられている行為を遂行するために必要なものかどうかによって決まります(個人情報保護法 第23条など)。

なお、労働者本人の同意を「事後に得る」ことがあってはなりません。必ず、第三者に情報を提供する「事前に」労働者から同意を得る必要があるのです。


健診機関、産業医などの「第三者」に提供する際の注意点

健康に関する要配慮個人情報の「第三者」提供先としては、産業医や保健師といった自社の産業保健スタッフや、健康診断の委託先機関がこれにあたると言えます。

例えば、がん検診の結果など、企業に実施義務のない健診項目の結果を第三者に提供する際には、労働者からの同意が必要となります。

その際にも、策定した「健康情報の取扱規程」に沿った運用をすることが欠かせません。

「要配慮個人情報」の取扱いについて確認できましたか?

労働者の健康に関する情報の取扱いは、労使間の信用にもかかわるため特に注意が求められます。

適切な管理を目指すようにしましょう。

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