「心の健康づくり計画」企業の義務内容と助成金を解説

労働安全衛生法では、企業に「心の健康づくり計画」の策定することを義務付けています。

「心の健康づくり計画」を実施することで、働く人のメンタルヘルス対策ができるだけでなく、生産性やモチベーションの向上に効果があります。

メンタルヘルス対策は厚生労働省も力を入れている分野であり、条件を満たすことで助成金が受給できる制度もあります。

「心の健康づくり計画」策定の方法と助成金について見ていきましょう。

目次[非表示]

  1. 1.企業には「心の健康づくり計画」を策定する義務がある
    1. 1.1.「心の健康づくり計画」を策定・表明する
    2. 1.2.「心の健康づくり計画」の運営と注意すべきポイント
  2. 2.まだ策定していない場合は「心の健康づくり計画助成金」もチェックする
    1. 2.1.「心の健康づくり計画助成金」を受けるための要件とは?
    2. 2.2.「心の健康づくり計画助成金」申請方法と実施期間・申請期間

企業には「心の健康づくり計画」を策定する義務がある

「心の健康づくり計画」を策定・表明する

メンタルヘルス対策の第一歩は、企業がメンタルヘルス対策の方針を立てることからはじまります。

企業にはメンタルヘルス対策の基本方針として「心の健康づくり計画」を策定することが義務付けられています(労働安全衛生法第69条)。

「心の健康づくり計画」の策定方法は、まず以下1から7の事項を盛り込んだ計画書を作成しますが、作成の際には事業者や衛生担当者・産業保健スタッフなどが衛生委員会で十分に審議する必要があります。

  1. 事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明に関すること
  2. 事業場における心の健康づくりの体制の整備に関すること
  3. 事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施に関すること
  4. メンタルヘルスケアを行うために必要な人材の確保及び事業場外資源の活用に関すること
  5. 労働者の健康情報の保護に関すること
  6. 心の健康づくり計画の実施状況の評価及び計画の見直しに関すること
  7. その他労働者の心の健康づくりに必要な措置に関すること

出典:労働者健康安全機構「職場における心の健康づくり

「心の健康づくり計画」の策定事例は、厚生労働省のページで確認することができますので参考にしてみてください。なお、策定の際にはストレスチェックの実施に関する事項も盛り込む必要があります。

「心の健康づくり計画」の運営と注意すべきポイント

「心の健康づくり計画」の計画書が出来上がったら、次はその計画書を社内に公開します。

「心の健康づくり計画」を効果的な取組みにするために、まずは経営者などトップの層が計画に対して積極的に取り組む姿勢を表明し、労働者から意見があればその意見も勘案します。

そして、安全衛生担当者や人事労務担当者などが上手に連携し、活動を進めることが大切になります。

なお、活動にあたっては以下の項目に留意すべきとされています。

①「心の健康問題の特性」を知ること

心の健康問題の特性として、個人差が大きいことや客観的に状況を把握しにくいことから、偏見や誤解に注意が必要

②「労働者の個人情報」を保護すること

労働者個人の健康情報を保護し、適切な範囲で情報を取り扱う

③人事労務管理との関係

人事異動・職場配置・職場組織などの変化は労働者の負担にもなるため、人事労務管理は適切に行われる必要がある

④家庭・個人生活など職場以外の問題

心の健康問題は、職場のストレスだけでなく、家庭環境などの私生活から影響を受けることも多いため注意が必要

まだ策定していない場合は「心の健康づくり計画助成金」もチェックする

「心の健康づくり計画助成金」は、厚生労働省の産業保健活動総合支援事業の一環として設けられたものです。

「職場の健康づくり計画」の策定にあたり、一定の要件を満たし、申請することで1企業(または1事業主)あたり100,000円の助成を受けることができます。

助成されるための要件と申請方法について見ていきましょう。

「心の健康づくり計画助成金」を受けるための要件とは?

助成を申請するための要件は、まず「メンタルヘルス対策促進員」から助言・支援に基づいて「心の健康づくり計画」を事業者が作成し、その計画に基づいてメンタルヘルス対策を実施するが必要があります。

※メンタルヘルス対策促進員の訪問・相談依頼は、全国の産業保健総合支援センターにお問い合わせください。

その他、満たすべき要件は以下となります。

  1. 労働保険の適用事業場であること。
  2. 登記上の本店又は本社機能を有する事業場であること。(個人事業主については、開業届の写しが必要)
  3. 訪問したメンタルヘルス対策促進員から助言・支援を受け、平成 29 年度以降、新たに「心の健康づくり計画」を作成していること。
  4. 作成した「心の健康づくり計画」を労働者に周知していること。
  5. 「心の健康づくり計画」に基づき具体的なメンタルヘルス対策を実施していること。
  6. メンタルヘルス対策促進員から、「心の健康づくり計画」に基づき具体的なメンタルヘルス対策が実施されたことの確認を受けていること。

出典:労働者健康安全機構「心の健康づくり計画助成金の手引

「心の健康づくり計画助成金」申請方法と実施期間・申請期間

申請は「心の健康づくり計画」の実施後に可能となります。

実施期間の2019年4月1日から2020年3月31日までに行われた活動が助成対象です。

また、申請の事前にはメンタルヘルス対策促進員から「具体的なメンタルヘルス対策が実施されたかどうか」を確認してもらう必要もあるため注意します。メンタルヘルス対策促進員の確認後、以下の必要書類を労働者健康安全機構へ提出します。

なお、①~③は様式がありますので内容を記載して提出し、④~⑧は企業で用意するものです。

〈必要書類など〉

  1. 「心の健康づくり計画助成金支給申請書」
  2. 「メンタルヘルス対策促進員企業訪問報告書」
  3. 「心の健康づくり計画助成金申請チェックリスト兼同意書」
  4. 登記事項証明書(登記簿謄本):「履歴事項全部証明書」または「現在事項全部証明書」(発行日から3か月以内の原本。個人事業主については開業届けの写し)
  5. 「心の健康づくり計画」が記された書類
  6. 労働保険料一括納付に係る証明書(当該事業場のみ)
  7. 振込先が記載された通帳の写し
  8. 事業場への返信用封筒(切手を貼り付けたもの)

出典:労働者健康安全機構「心の健康づくり計画助成金の手引

※①~③の様式は(独)労働者健康安全機構のホームページにて確認できます。

申請期間は2019年5月24日から2020年6月30日ですので、期間内に事業者が申請するようにします。

また、助成金の支給を受けた事業場は、書類を5年間保管する必要がありますので注意します。


「心の健康づくり計画」の実施は、労働者のモチベーションアップや生産性の向上に効果が期待できます。

また、活動を進める際には衛生委員会の場を有効活用し、産業医からの意見を取り入れつつ「心の健康づくり計画」を実りのある取組みにしていくことが大切です。


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