【2022年】メンタルヘルス・マネジメント検定ってどんな試験?よくある疑問をQ&Aで解説
(最終更新日:2022年1月17日)
職場での心の健康管理(メンタルヘルス・マネジメント)の取り組みが重要視される中、
「メンタルヘルス・マネジメント検定試験」が注目を集めていています。
コースの違いや内容、難易度などよくある疑問にお答えします。
目次[非表示]
- 1.Q1 メンタルヘルス・マネジメント検定試験って?
- 2.Q2 メンタルヘルス・マネジメント検定のコースの種類は?
- 2.1.Ⅲ種(セルフケアコース)
- 2.2.Ⅱ種(ラインケアコース)
- 2.3.Ⅰ種(マスターコース)
- 2.4.〈受検前の基礎知識〉検定のコース名にある「セルフケア」「ラインケア」とは?
- 3.Q3 各コースの出題内容は?
- 4.Q4 過去問はあるの?
- 5.Q5 受験資格はあるの?
- 6.Q6 受験者数はどのくらい?
- 7.Q7 各コースの試験の合格基準と合格率は?
- 7.1.試験の合格基準
- 7.2.試験の合格率
- 7.3.2022年、試験勉強のポイントは「受験対策のオンライン講座」
- 8.Q8 2022年の試験日はいつ?
- 9.Q9 合格後の流れは?
- 10.Q10 ほかのメンタルヘルスケア関連資格や研修との違いは?
Q1 メンタルヘルス・マネジメント検定試験って?
A.メンタルヘルス・マネジメント検定試験は働く人たちの心の不調を未然に防ぎ、活力ある職場づくりを目指すために、職場での役割に応じて「メンタルヘルスケア」を学ぶ検定試験です。
高度な専門知識や臨床的技術ではなく、メンタルヘルスに関する基礎的知識や、対処方法について学ぶことができます。
厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を受け、大阪商工会議所と施行商工会議所が実施しています。
労働者の心の健康の保持増進のための指針
厚生労働省が職場でのメンタルヘルスケアの原則的な実施方法を定めたもので、「メンタルヘルス指針」とも呼ばれています。
平成18年(2006年)に策定、平成27年(2015年)に改定されました。
職場のメンタルヘルス対策を効果的に進めるためには、
会社としての取り組みとともに、その関係者である人事労務管理スタッフ、管理職、一般社員がそれぞれの役割を認識し、メンタルヘルスに関する正しい知識を持つことが大切です。
メンタルヘルス・マネジメント検定では、職場での役割によって3つのコースが設定されているので、ご自身のキャリアに合わせて選択してみてください。
Q2 メンタルヘルス・マネジメント検定のコースの種類は?
A.試験は、Ⅲ種(セルフケアコース)、Ⅱ種(ラインケアコース)、Ⅰ種(マスターコース)の3コースに分かれています。
それぞれの対象と学べる内容を確認してみましょう。
Ⅲ種(セルフケアコース)
対象:一般社員
到達目標:自らのストレスの状況・状態を把握することにより、不調に早期に気づき、自らケアを行い、必要であれば助けを求めることができる
Ⅱ種(ラインケアコース)
対象:管理監督者(管理職)
到達目標:部下が不調に陥らないよう普段から配慮するとともに、部下に不調が見受けられた場合には安全配慮義務に則った対応を行うことができる
Ⅰ種(マスターコース)
対象:人事労務管理スタッフや経営幹部
到達目標:自社の人事戦略・方針を踏まえた上で、メンタルヘルスケア計画、産業保健スタッフや他の専門機関との連携、従業員への教育・研修等に関する企画・立案・実施ができる
〈受検前の基礎知識〉検定のコース名にある「セルフケア」「ラインケア」とは?
◇セルフケア【Ⅲ種の対象】とは
労働者自身がストレスに気付き、対処するための知識、方法を身につけて実施する
◇ラインによるケア【Ⅱ種の対象】とは
管理監督者が、心の健康に関して職場環境の改善や労働者への相談対応をする
「セルフケアとラインケア」についてもしっておくことが合格へのカギになります。
「メンタルヘルス対策のPDCAサイクル『4つのケア』をわかりやすく解説」の記事でわかりやすく解説していますので、こちらも要チェックです。
メンタルヘルス指針によると、メンタルヘルスケアは
①セルフケア
②ラインによるケア
③事業場内産業保健スタッフ等(産業医や衛生管理者、保健師ら)によるケア
④事業場外資源(専門的な知識を持つ外部の人やサービス)によるケア
の4つのケアが継続的かつ計画的に行われることが重要です。
人事労務管理スタッフ、管理職、一般社員、職場内の産業保健スタッフ、外部の専門家…それぞれが、職場のメンタルヘルス対策の担い手になります。
Q3 各コースの出題内容は?
A.メンタルヘルス・マネジメント検定試験の公式ページでは、試験出題内容として3つのポイントを示しています。
①疾病の未然防止と健康増進に重点を置いています
②管理監督者による部下のケア、組織全体による職場・従業員のケアを促進します
③産業保健だけでなく、人事労務管理の観点も重視しています
コース別に、設定されている目的と、出題内容を見てみましょう。
Ⅲ種(セルフケアコース) 【一般社員対象】
目的は、組織における従業員自らのメンタルヘルス対策の推進です。
自身のメンタルヘルス状態に気づき、相談することが出来るようになることが目標。
●Ⅲ種(セルフケアコース)の出題内容
①メンタルヘルスケアの意義
②ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
③セルフケアの重要性
④ストレスへの気づき方
⑤ストレスへの対処、軽減の方法
⑥社内外資源の活用
Ⅱ種(ラインケアコース) 【管理職対象】
目的は、部門内、上司としての部下のメンタルヘルス対策の推進。
不調にいち早く気づき、安全配慮義務に則った対応が可能なレベルを目指す。
<出題内容>
①メンタルヘルスケアの意義と管理監督者の役割
②ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
③職場環境等の評価および改善の方法
④個々の労働者への配慮
⑤労働者からの相談への対応 (話の聴き方、情報提供および助言の方法等)
⑥社内外資源との連携
⑦心の健康問題をもつ復職者への支援の方法
Ⅰ種(マスターコース) 【人事労務管理スタッフや経営幹部対象】
目的は、社内のメンタルヘルス対策の推進。
戦略的なメンタルヘルス対策を計画し、専門スタッフとの連携、研修の企画立案等を行なえるレベルを目指す。
<出題内容>
①企業経営におけるメンタルヘルス対策の意義と重要性
②メンタルヘルスケアの活動領域と人事労務部門の役割
③ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
④人事労務管理スタッフに求められる能力
⑤メンタルヘルスケアに関する方針と計画
⑥産業保健スタッフ等の活用による心の健康管理の推進
⑦相談体制の確立
⑧教育研修
⑨職場環境等の改善
おおまかな試験内容がイメージできましたか?
Q4 過去問はあるの?
A.メンタルヘルス・マネジメント検定試験のパンフレットには過去問題が各コース一問ずつ紹介されています。
Ⅲ種(セルフケアコース)
Q. ストレスに関する次の記述のうち、最も不適切なものを一つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。
①ストレスを予防、軽減していくためには、第一に早い段階でストレスに気づくことが大切である。
②ストレス要因は、業種や職種、職位などによっても異なるため、前もってストレスとなり得るリスク要因を知っていても役に立たない。
③「自分で仕事のやり方が決められない」という低コントロールの状態は、職場においてまず注意すべきリスク要因といえる。
④ある状況がストレス要因となるかどうかは、人がその状況を「どう認知するか」に規定される。
Ⅱ種(ラインケアコース)
Q. 部下のメンタルヘルス不調の早期発見・早期対応に関する記述のうち、最も不適切なものを一つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。
①現在、50人以上の事業場において義務化されているストレスチェック制度は、労働者自身の気づきとセルフケアを促すものであり、メンタルヘルス不調者のスクリーニングを目的としていない。
②うつ病のスクリーニングを行った場合、偽陽性が多く見られることから、それだけでメンタルヘルス不調を発見するのは難しい。
③労働者のメンタルヘルス不調は、管理監督者として部下の変化に気を配ることで、早期発見に繋がりやすい。特に、その変化の理由がはっきりしない場合や理解しがたい内容の場合は、メンタルヘルス不調を疑う必要がある。
④部下にうつ病での休職歴があると判明した場合、当該部下の勤怠や仕事ぶりに問題が見られなくとも、すぐに医療現場の受診を促した方が良い。
Ⅰ種(マスターコース)
Q. ストレスチェック制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを一つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。
①ストレスチェックについて、常時50人以上の労働者を使用する事業者は、事業場の労働者に対して、1年以内ごとに1回、定期に実施する義務を負い、労働者には受検義務がある。
②ストレスチェック実施者は、医師、保健師に限られ、調査票の選定、ストレスチェックの実施の企画及び結果の評価に関与する。
③ストレスチェック結果の通知は、事業者が直接受検者に通知する。
④常時50人以上の労働者を使用する事業者は、1年以内ごとに1回、定期に、心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書を所轄労働基準監督署に提出しなければならない。
答えは、 Ⅲ種:② Ⅱ種:④ Ⅰ種:④ です。
正解できましたか??
試験は公式テキストの内容と、応用から出題されます。
コース別の公式テキストが全国の主要書店で販売されていますので、チェックしてみてください。
Q5 受験資格はあるの?
A.受験資格はありません。誰でも希望のコースを受験できます。学歴・年齢・性別・国籍などの制限もありません。
Q6 受験者数はどのくらい?
A.令和1年度(2019年度)公開試験の受験者数は、合計で45,005人です。
また、過去の公開試験・団体試験の受験者数の推移を見てみると
2019年度 50,756人
2018年度 48,338人
2017年度 45,005人
2016年度 45,053人
2015年度 42,025人
2014年度 38,054人
2013年度 34,835人
となっており、受験者は増加傾向にあります。
Q7 各コースの試験の合格基準と合格率は?
A.上位コースになるほど合格率は低くなる。
試験の合格基準と公開試験の合格率を見てみてみましょう。Ⅰ種になると、難易度がぐっと上がることがわかります。
試験の合格基準
Ⅲ種(セルフケアコース):配点100点中 70点以上の得点
Ⅱ種(ラインケアコース):配点100点中 70点以上の得点
Ⅰ種(マスターコース) :①②の得点の合計が105点以上。但し、論述問題の得点が25点以上。
試験の合格率
Ⅲ種(セルフケアコース):71.2%
Ⅱ種(ラインケアコース):46.4%
Ⅰ種(マスターコース) :19.8%
※2021年11月に実施された試験データより。
2022年、試験勉強のポイントは「受験対策のオンライン講座」
2021年3月末、メンタルヘルスマネジメント検定試験を運営する大阪商工会議所では、受験対策に有効なオンライン講座のスタートを公表しました。
オンライン講座では、時間や場所を選ばずに学習することが可能となっておりますので、受験をお考えの方はオンライン講座の情報についてチェックしておきましょう。
Q8 2022年の試験日はいつ?
A.2022年の試験は3月20日(日)に開催される。
試験には公開試験と団体特別試験があります。
公開試験
年2回(Ⅰ種は年1回)、北海道から九州まで全国15都市の指定会場で一斉に実施しています。
≪2022年の公開試験日程≫
【第32回 メンタルヘルマネジメント検定】
試験日 :2022年3月20日(日)
実施コース :Ⅱ種(ラインケアコース)、Ⅲ種(セルフケアコース)
申し込み期間:2021年1月31日(月)から2月11日(金・祝)まで(一般受付)
※試験日程の詳細は必ず公式ホームページにてご確認ください。
団体特別試験
企業・団体・学校が、所属する従業員や職員、学生を対象に、メンタルヘルスケアの教育・研修の一環として実施します。
団体の都合にあわせて、日時、場所を設定できます。Ⅱ種とⅢ種が対象です。
Q9 合格後の流れは?
A.合格後もスキルアップの機会が用意されている。
合格者のうち、希望者には合格証明書が発行されます。
発行手数料は1通1,230円です。
また、大阪商工会議所は、Ⅰ種合格者を対象にした「I種合格者フォーラム」(登録無料)を設置しています。
メンタルヘルス対策の最新情報やイベント開催のお知らせなどがメールマガジンで届きます。セミナーや交流会にも参加でき、合格後もスキルアップを図ることができます。
Q10 ほかのメンタルヘルスケア関連資格や研修との違いは?
A.誰にでも受験資格があり、試験を通じてメンタルヘルスの基礎が学べる。
職場のメンタルヘルスケアを学ぶことができる、ほかの資格や研修との違いはなんでしょうか。
メンタルヘルス・マネジメント検定の魅力は、受験資格が設けられておらず、誰でも受験できることです。
産業カウンセラーと心理相談員を例に挙げます。
産業カウンセラー
働く人たちが抱える問題を自ら解決できるよう援助する専門家です。
働く人と職場(組織)の両方を支援します。
一般社団法人日本産業カウンセラー協会が実施する資格試験を受験できる人は、協会の講座を修了した人か大学院研究科で心理学関係の特定の専攻を修了した人に限られています。
心理学やカウンセリングなどの技術や知識について一定の水準を求められているのです。
心理相談員
職場のメンタルヘルス対策に必要な知識を学び、
心身に配慮した健康づくりについて理解している人に与えられる名称です。
事業主の自主的な労働災害防止活動を促進している「中央労働災害防止協会(中災防)」が実施する研修を修了した人が、心理相談員の名称を使えます。
対象者は、大学で心理や社会福祉、保健系の学科を卒業した人や、保健師の資格を持つ人、看護師、助産師、労働衛生コンサルタントの資格を持ち、健康に関する面接や相談の経験が一定以上ある人など、心理やカウンセリング、産業保健に関する知識や経験を持つ人に限られます。
中央労働災害防止協会/心理相談専門研修(心理相談員養成研修)
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メンタルヘルス・マネジメント検定は、心理学や産業保健についての専門的な知識や経験はない人でも受験できます。
職場のメンタルヘルスケアについて学びたいという方の基礎的な検定としておすすめです。
以上、メンタルヘルス・マネジメント検定試験について、よくある疑問についてお答えしました。
受験する皆さんの合格をお祈りしております!
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