二次健康診断の流れを徹底解説!給付の条件や内容を把握して受診率をアップさせよう
労災保険二次健康診断等給付を利用すると、無料で二次健康診断を受診できます。
今回は給付を活用して二次健康診断を受ける流れについて、詳しくお伝えします。二次健康診断の内容や保健指導についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.二次健康診断とは
- 2.二次健診と二次検査の違い
- 3.労災保険から二次健康診断の給付を受けるための条件
- 4.二次健康診断の流れ
- 4.1.二次健康診断の対象者を確認する
- 4.2.二次健康診断の対象者に受診を促す
- 4.3.対象者が二次健康診断を受ける
- 4.4.医師の意見を聴く
- 5.二次健康診断の給付を受けるための手続き
- 5.1.給付を受けるための注意点
- 5.1.1.請求期間
- 5.1.2.給付を受けられる回数
- 5.1.3.給付を利用して受信できる医療機関
- 6.労災保険からの給付内容
- 7.二次健康診断の流れを把握して対象者に受診を促そう
二次健康診断とは
二次健康診断とは職場の定期健康診断などの結果で異常所見が見つかった場合に、さらに追加で健康診断を受けられる制度です。
職場の健康診断から1年以内であれば、脳血管や心臓の状態を確認するための二次健康診断や、疾患を予防するための特定保健指導を無料で受診できます。
二次健診と二次検査の違い
二次健診と二次検査は同じ意味で使われることが多いため、どちらを用いても間違いではありません。
しかし両者を使い分けた場合、健康診断の結果を受けて受診する再検査や精密検査の全般に対して二次検査と呼ぶこともあります。そして、労災保険二次健康診断給付を利用して無料の検査を受けることを二次検診と呼ぶ場合もあります。
労災保険二次健康診断等給付は、職場の定期健康診断などの一次健康診断の結果を受けて実施されるものです。以降で、労災保険二次健康診断等給付を受けるための条件について詳しく解説します。
労災保険から二次健康診断の給付を受けるための条件
一次健康診断で行われる以下の検査で異常が認められると、労災保険の給付を受けられます。
- 血圧検査
- 血中脂質検査
- 血糖検査
- 腹囲の検査またはBMIの測定
以上について異常がない場合でも、産業医の意見をもとに給付される場合もあります。
ただし、脳・心臓疾患の症状を有していたり、労災保険の特別加入者だったりする場合は給付を受けられません。
(参照:労災保険二次健康診断等給付|厚生労働省)
二次健康診断の流れ
二次健康診断の流れは次のとおりです。
- 二次健康診断の対象者を確認する
- 二次健康診断の対象者に受診を促す
- 対象者が二次健康診断を受ける
- 医師の意見を聴く
各項目について詳しく解説します。
二次健康診断の対象者を確認する
まずは一次健康診断の結果を整理して、二次健康診断の対象者を確認しましょう。
健康診断の結果は大切な個人情報ですので、取り扱いには十分に注意して診断結果の整理を進めてください。
一次健康診断の結果を整理する場所や保管場所をあらかじめ決め、診断結果の紛失や漏洩を予防することをおすすめします。
また二次健康診断の該当者への説明の場所も事前に決めておくと、受診を促しやすくなります。
産業保健師がいる場合は、一次健康診断の整理や対象者のリストアップなどの業務についてサポートを受けられます。
一次健康診断を実施した後の処理をスムーズに進めるためには、産業保健師に業務を依頼するのもひとつの手段です。
一次健康診断についての詳細は、次の記事で紹介しているので、参考にしてください。
二次健康診断の対象者に受診を促す
従業員に一次健康診断の結果を渡して、二次健康診断の対象者には健診の受診を勧めましょう。
二次健康診断に関する情報について、以下の内容を伝えるとよいでしょう。
- 二次健診の対象者であること
- 費用負担がないこと
- 健診の受診が可能な期間(一次健康診断の受診日から3か月以内)
- 健診を受けるかどうかは自分で決められること
- 健診を受ける病院について
- 企業の担当者が書類を準備するための期間が必要なこと
- 二次健診を希望する場合は早めに申し込んで欲しいこと
- 二次健康診断の結果を企業に伝えて欲しいこと
対象者が二次健康診断を受ける
対象者から二次健康診断を受けるための申し込みがあった場合は、二次健康診断等給付請求書を作成して、従業員に渡します。従業員が病院に二次健康診断等給付請求書を届け出ると、無料で二次健康診断を受けられます。
手続きをスムーズに進めたい場合は、企業が本人に代わって予約することも可能です。なお、二次健康診断等給付請求書は以下のサイトから印刷できます。
医師の意見を聴く
二次健康診断の結果を、従業員から提出してもらいましょう。提出された診断結果をもとに、2カ月以内に医師から従業員の健康維持に必要なことについて聴きます。
医師の意見をもとに、必要に応じて従業員の配置転換や短時間勤務、残業の削減などを検討しましょう。
二次健康診断の給付を受けるための手続き
二次健康診断の給付は次の流れで、受けられます。
- 企業が対象者の給付請求書を作成する
- 給付請求書を従業員に渡す
- 従業員が病院に給付請求書を提出する
- 病院が給付請求書と費用請求書を都道府県労働局に提出する
- 労働局から厚生労働本省を通じて病院に給付金が支払われる
給付金が直接、二次健康診断の受診者に支払われるわけではなく、健診サービスが無料で現物給付されます。
給付を受けるための注意点
給付を受ける際には、請求期間と給付を受けられる回数、給付を利用して受診できる医療機関が限られている点について注意しましょう。(参照:労災保険 二次健康診断等給付|厚生労働省)
請求期間
一次健康診断の受診日から3カ月以内に二次健康診断を受けましょう。ただし、以下のやむをえない状況を除きます。
- 災害により請求を行えない場合
- 一次健診を受けた医療機関の都合で、健診結果の通知が著しく遅れた場合
給付を受けられる回数
二次健康診断等給付は1年に1回のみ受けられます。1年に2回以上定期健康診断を受けた場合も、二次健康診断等給付は1回しか受けられないため注意しましょう。
給付を利用して受信できる医療機関
二次健康診断等給付を利用して健診を受けられる医療機関は、健診給付病院などにかぎられます。健診給付病院の名簿は下記の厚生労働省のサイトで確認できます。
労災保険からの給付内容
二次健康診断等給付を利用すると、労災保険から二次健康診断と特定保健指導の給付を受けられます。それぞれの内容について解説します。
二次健康診断
二次健康診断では、脳血管と心臓の状態を確認するための検査が行われます。検査内容は次のとおりです。
- 空腹時血中脂質検査
- 空腹時血糖値検査
- ヘモグロビンA1c検査(一次健康診断で受検していない場合に実施される)
- 負荷心電図検査または胸部超音波検査(心エコー検査)のいずれか一方の検査
- 頸部超音波検査(頸部エコー検査)
- 微量アルブミン尿検査(一次健診の尿蛋白検査で偽陽性や弱陽性の場合に限り実施される)
特定保健指導
特定保健指導は二次健康診断の結果にもとづき、医師や保健師によって行われる保健指導です。面接で指導を受ける内容は次のとおりです。
- 栄養指導
- 運動指導
- 生活指導
二次健康診断で脳や心臓の病気が見つかった場合は、特定保健指導は実施されません。
二次健康診断の流れを把握して対象者に受診を促そう
労災保険健康診断等給付を利用すると、従業員は二次健康診断を無料で受けられます。企業の労務管理担当や人事部で一次健康診断の結果を整理して、二次健康診断の対象者がいる場合は受診を促しましょう。
対象者が二次健康診断の受診を希望する場合は、まずは企業の担当者が二次健康診断等給付請求書を作成します。その請求書を受診希望者に渡し、病院に提出してもらうと、受診希望者は無料で二次健康診断を受けられます。
二次健康診断の流れを把握して、対象者の受診を促し、従業員の健康を守りましょう。
二次健康診断の対象者に関する情報を整理する場合は、保健師のサポートを受けることもおすすめです。保健師がサポートすることで、健康リスクを抱えた従業員をスムーズに二次健康診断へとつなげられます。
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