健康管理システムとは?普及の背景やメリットについて解説
健康管理システムを導入すると、労働基準監督署への報告書の作成が容易になったり、従業員の健康状態を把握できたりするメリットがあります。
昨今は健康経営や人的資本経営などが重視されていることもあり、健康管理システムを導入する企業も多いようです。
この記事では健康管理システムの概要や普及が進む背景、メリットについて詳しく解説します。具体的な機能や種類についても触れますので、参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.健康管理システムとは
- 2.健康管理システムが普及している背景
- 2.1.メンタルヘルス不調の増加
- 2.2.ストレスチェックの義務化
- 2.3.テレワークや在宅勤務の増加
- 3.健康管理システムを導入するメリット
- 3.1.健康データ管理を効率化できる
- 3.2.報告書の作成業務による負担を軽減できる
- 3.3.フォローアップ体制を充実できる
- 3.4.健康経営に取り組みやすくなる
- 3.5.健康課題を見つけやすくなる
- 4.健康管理システムの機能
- 5.健康管理システムの種類
- 6.健康管理システムを導入しよう
健康管理システムとは
健康管理システムとは、従業員の健康に関する事務作業を自動化したり、健康関連のデータを一元管理したりできるシステムです。
ストレスチェックの義務化や健康経営の推進などにより、従業員の健康管理に関連した業務が増えてきました。そのため、健康管理を導入して業務効率化を図る企業も多く見られます。
実際に2020年以降、健康管理関連のソリューション市場は増加傾向にあるとの報告があることからも、健康管理システムが普及していることがわかります。次に健康管理システム普及の背景について詳しく解説します。
健康管理システムが普及している背景
健康管理システム普及の背景には、次のような社会動向が関係しています。
- メンタルヘルス不調の増加
- ストレスチェックの義務化
- テレワークや在宅勤務の増加
各項目について詳しく解説します。
メンタルヘルス不調の増加
企業の従業員や公務員のなかでメンタルヘルス不調を抱える人が増えています。
たとえば令和3年4月1日~令和4年3月31日にかけて実施された地方公務員の健康状況に関する調査によると、「精神および行動の障害」を患って休職する人の数が顕著な増加傾向を示しました。
(参考:地方公務員健康状況等の現況の概要|一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会)
令和3年に「精神および行動の障害」が原因で休職した人の数は15年前に比べ約2倍に拡大しています。
「精神および行動の障害」とは、国際疾病分類では精神障害に分類される疾患です。業務で発病する可能性のある代表的な精神障害として、うつ病や急性ストレス反応などが挙げられます。
また厚生労働省が発表した調査によると、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業もしくは退職した企業の従業員は、13.3%に上りました。企業で働く人の10人に1人以上がメンタルヘルス不調により、長期休業や退職を余儀なくされたことになります。
(参考:令和4年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況|厚生労働省)
以上から公務員と企業に関わらず、メンタルヘルス不調を患う労働者は多いことがわかります。そこで労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的に、ストレスチェックが義務化されました。
ストレスチェックの義務化
ストレスチェックの義務化により、企業は健康診断と共にストレスチェックの結果を労働基準監督署に報告することが義務付けられました。
ストレスチェックを導入するにあたり、まずは調査票を従業員に配布する必要があります。厚生労働省が推奨する調査票には、57問あるいは23問にも及ぶ質問項目があり、それを集計して管理しようとすると担当者に大きな負担がかかります。
そのため従来は予算を投じて、ストレスチェックを外注化する企業が多い状況でした。そこで健康管理システムを導入することで、ストレスチェックを外注化せずとも、各企業でデータの集計と管理を行えるようになりました。
健康管理システムにはストレスチェック未受検者へのフォローメールの送信や、高いストレスを抱えた従業員の自動判定など、ストレスチェックの推進をサポートする機能も備えられています。
テレワークや在宅勤務の増加
テレワークや在宅勤務を導入した企業が増えてきましたが、それと同時に健康管理についての課題も見られるようになりました。従業員が出社する機会が減少したため、労働安全衛生法で事業者に求められる健康管理への対応が難しい状況です。
そこで健康管理システムを導入すると、従業員の健康状況を把握しやすくなり、不調者のサインに早く気づけるようになります。また産業医や保健師が従業員の健康関連のデータを面談時に確認しやすくなり、労働安全衛生法で求められる健康管理を実施しやすくなります。
テレワークの健康管理については次の記事も参考にしてください。
健康管理システムを導入するメリット
健康管理システムを導入するメリットは次のとおりです。
- 健康データ管理を効率化できる
- 報告書の作成業務による負担を軽減できる
- フォローアップ体制を充実できる
- 健康経営に取り組みやすくなる
- 健康課題を見つけやすくなる
各メリットについて解説します。
健康データ管理を効率化できる
健康管理システムを導入すると、健康情報を一元管理できます。バラバラになった次の健康情報をまとめることで、データ管理の効率化が可能です。
- 健診結果
- ストレスチェック結果
- 残業時間
- 面談記録
- 保険指導 など
以上を別々のシステムで管理しようとすると、データ更新の手間や誤りが生じて、担当者にも負担がかかります。健康管理システムによる管理業務の効率化で、従業員の負担を軽減できるのです。
報告書の作成業務による負担を軽減できる
健康管理システムには、労働基準監督署への報告書を作成する機能も実装されています。従業員に対して行ったストレスチェックや健診結果を集計する機能もあるため、手作業では負担の大きかったデータ集計業務の大幅な工数削減も可能です。
フォローアップ体制を充実できる
健康管理システムを利用すると、一般健康診断や特殊健康診断などで異常が見つかった従業員を効率的に管理できます。そのため、特定保健指導や再受診の提案などのフォローアップを容易に実施できます。
また健康面に影響を与える労働の実態も把握しやすくなり、労働環境に問題がある場合にも迅速な対応が可能です。
健康経営に取り組みやすくなる
健康経営に取り組むためには、健康関連のデータを集計、分析して施策の改善を図る必要があります。健康管理システムは健康に関する各種データの集計や分析に役立つ機能が豊富に実装されているため、健康経営に取り組みやすくなるでしょう。
また企業のイメージアップにつながる健康経営優良法人の認定を受けるために開示すべき情報を整理する際にも、健康管理システムが役立ちます。
健康経営優良法人については、次の記事を参考にしてください。
健康課題を見つけやすくなる
健康管理システムを利用すると、ストレスヘルス不調や各種疾患につながるような健康課題を事前に見つけやすくなります。そのため従業員が健康に問題を抱える状態を、未然に防ぐための対策を講じやすくなります。
たとえば残業時間が多い部署を抽出して、該当部署の業務負担を軽減したり、従業員の個々人のストレスの悪化を事前に察知して面談を実施したりして、予防策の実施が可能です。
健康管理システムの機能
健康管理システムの主な機能は、次のとおりです。
- 人事や労務担当者向けの管理機能
- 個人情報の管理機能
- レポート作成機能
- 産業医への面談を予約する機能
- オンライン診断機能
個人情報の管理機能には各従業員の保険情報を管理する機能も含まれており、保険指導の履歴、健診結果の管理ができます。また豊富なデータ管理機能が搭載されている上に、産業医との面談を予約する機能もあり、産業医も従業員の健康をサポートしやすくなるでしょう。
レポート作成機能は、労働基準監督署にストレスチェックや健診の結果に関する報告書を作成する場合に役立ちます。
健康管理システムの種類
健康管理システムの種類には主に次の3タイプがあります。
- 従業員の健康リスクの解消まで対応できるタイプ
- 健康関連のデータ収集や管理に特化したタイプ
- 従業員のコンディションを管理できるタイプ
「従業員の健康リスクの解消まで対応できるタイプ」には、産業医との面談管理機能や健康プログラムなどの従業員の健康リスクを解消するための機能が充実しています。
「健康関連のデータ収集や管理に特化したタイプ」には、健康診断などの健康データを一元管理する機能が豊富に実装されています。また健康診断の日程調整や受検のリマインド機能なども備えられている点も特徴です。
「従業員のコンディションを管理できるタイプ」は、リモートワークや在宅勤務をする従業員が多い企業におすすめです。従業員の一日の健康状態を集計するための機能やリモートワークの点呼機能などが実装されています。
健康管理システムを導入しよう
健康管理システムには、労働基準監督署への報告が義務付けられているストレスチェックや、健診結果に関する報告書を作成するための機能が実装されています。さらに従業員の健康管理をサポートするための機能が充実している点も魅力です。
従業員の不調をいち早く察知して、事前に対策を講じたい場合にも役立つため、健康管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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